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死ぬ前に異世界へ  作者: 藤堂 日向
1章 冒険の始まりそして終わり
6/9

異世界にやってきたⅢ


ぽちゃん…ぽちゃん…


「へっくしょん!!さ、さぶい」


先ほど落っこちた崖の下は湖になっていた。

そこに落下した俺はそのまま必死に藻掻いて近くの岸にたどりついた。

あたりは大きい湖を半円に囲う様に森が広がっておりその先には薄暗い森が広がっていた。

湖の廻りはバーベキューとかキャンプが出来そうないい感じの場所だった。

しかし春っぽい季節の為濡れたままだとめちゃめちゃ寒い。


「狼から逃げきれたのはいいけど、これはまた別の問題が発生したな…」


俺は湖の近くの開けていて平地な場所を見つけ近くに腰を下ろすのにちょうど良い石があったのでそこに座った。


「とりあえず後1週間の辛抱だ…ここを拠点に耐えるすべを考えないとな。」


座りながらこれからの計画を軽く練った。

とりあえずはこのびしょ濡れの服をどうにかしないとな。

俺は早速辺りを散策し2mくらいのしっかりした枝を見つた。

それを拠点付近の木と木の間隔が近い場所にかけ物干し替わりにした。


「これで服を干すか。あとは木の枝とか紐っぽい物とか食べ物を探さないと…寒さで凍え死ぬか飢死にする。」


俺は服を脱いで先ほど設置した枝に干し、近場で枝を拾い始めた。

30分程で大量の枝を拾うことができた。


「よし!とりあえずこれで火を起こしてみるか!」


火起こしはサバイバルで一番大変で肝心な事って聞いたことがあるからな。ここは俺が某動画サイトYoukosoで得たサバイバル知識を生かす時が来たな!!

いつか遭難とか異世界に飛ばされたことを考えて学んどいて良かったぜ!!

それから俺は木の皮っぽいやつと湖の近くで見つけた鋭い石で20分程かけて研いだしっかり目の木の枝を逆Tの字にして擦り始めた。

これで火を起こしてやるぜ!!


「はぁはぁ全然ダメだ煙すら立たん!」


15分くらいシュコシュコと摩擦させていたが全く駄目だった、スピードが悪いのか力が悪いの全く分からない。


「Youkosoの人は簡単にやってたのに…あ、そういえば弓型のやつを作る動画がもあったな…それを作って火を起こせばもっと簡単にいくかな?まぁやってみるか!」


俺は早速記憶を頼りに部材を集めに向かった。

1時間後全て揃った。

幸いにしてモンスターにも出くわさず、すんなりといったが紐みたいなものが全く見つからなかった。

紐は流石にないと思ったので代わりになるような物を探したが、そんなに都合良くは見つからない。

他の材料(多種類)で30分。残りで紐っぽいやつ。

紐っぽいやつは大きな鳥の巣があり、そこの(わら)っぽいやつがとっても丈夫で細かったのこれを代用とすることにした。

無事に見つかったがだんだん暗くなってきた…

早く火を起こさないとまずいな…

食料は最悪一晩くらいはいいとしても火はまずい、このままの寒さでは風邪をひくかもしれないし、獣除(けものよ)けが無いとなると襲われる危険性が高まる…

俺はより一層焦りながら早速弓ギリ式火起こし器の作成に取り掛かった。


「今回用意したのはこちら!えーまずは丈夫で(しな)る50cmほどの枝1本、同じような枝で少し太めな20cmを2本、1cmほどの小さい枝を数本、厚めの板1枚、鳥の巣らしき場所から拝借した不思議紐1本、それに乾燥した葉、(あさ)っぽいやつ!えーこちらを使って弓ギリ式火起こし器を作っていきたいと思いまーす」


急いでつらなければならない事などすでに忘れているらしい知識5くらい(予想)の俺は誰も居ない中、誰かに説明するような口調でモノづくりを始めた。


「まずは太め20cmの木の小口中心に深さ約2cmの穴を掘りまーす」(20分)


俺はセコセコと先ほどの鋭い石を使って削りだした。

いくら鋭いといっても丈夫な木を削りだすのには相当な根気と集中力を使った。


「はぁはぁ…えーっと…続いては先ほど開けた穴にかっちり入るように1cmほどの」小さい枝を円錐上に削いでいきます!!!」(30分)


…きつすぎる、なんで石で枝を切ったり削いだりしてるわけ?俺は先進国出身だよ?

俺はそんなことを思いながら削いでいった。


「つ、次は…少し太めの20cmの枝、側面中央に最初に作った枝の小口が入るくらいの穴をあけていきます…」(30分)」


俺はなんでこんな苦行を一人でやっているんだ?

それでも俺は誰も居ない空間に説明口調で作業をし続けた。

石もだんだん丸まってきて切れ味が悪くなって、どんどん時間がかかるようになった。

しくしく……………………

だんだん悲しくなってきた。


「次は厚めの木板(もくいた)に75度くらいで切り込みを入れ、切り込みの頂点から3mmほど奥へ斜めで左右に傷をつけ、またまた削いで…いきます…」(30分)


悲しさを通り越して無になりもくもくと削っていく。


「やっとだ…では最後に今までのものを組み立てていきます!」


最初に作った太めの枝の中心に1cmの小枝を差し込み、50cmくらいの枝の両端に切り込みを入れ、その片方の切込みに不思議紐を結び最初に作った太めの木に巻き付けもう片方の端に紐を結びつける。


「こ、これで完成です!!!!」


あぁやっと終わった、心がいかれる前に完成してよかった…

てか…


「あれ?もう外暗くね?手元が見えなくなって来たんだが…急いで火を起こさないと!!」


俺は残りの材料を使って急いで火起こしの準備をし、10分ほどで無事に火起こしを成功させた。


「はぁ、前の世界からだけど、ずっとついてないわ…」


俺はバチバチ鳴る火をぼーっと眺めながらそんなような独り言をずっと呟いていた。

だんだんウトウトしてきて、気が付いたら眠りに落ちていた。




「うきゃきゃきゃ!!」


俺は変な鳴き声で目が覚めた。


「うきゃぁ?」


起きると目の前におサルのような耳が丸い動物がいた。

そのサルは俺と目が合うと、鳴きながら小首を傾げた。


「おサルさんか、この世界にもおサルはいるんだなぁ」


なんて思っていると、サルが何かを持っていることに気が付いた。


「なんでお前は俺のパンツを持ってるの…?」


昨日はパンツ一丁で寝たはずだ。

もしかしてこのサルは俺からパンツをはぎ取ったのか?

この変態!!


「うきゃきゃ!!!」


サルはいたずら子供のような笑みを浮かべパンツをもって走り去っていった。


「待ちやがれ!!この糞猿がぁ!!」


俺はすぐに追いかけようと思ったが、全裸は流石にまずいと思い昨日干した服を取りに行こうとすると…


「うきゃきゃ!」


「うきゃ?」


そこにもおサルが2匹俺の服とズボンを持っていた。


「それだけはやめてくれ!!」


俺の頼みも虚しくサルたちは走去っていった。


「絶対に許さん!!人間を怒らせると恐ろしいって事を教えてやる!ぶっ殺す!!」


このまま追いかけても無駄だと思った俺はサルを仕留めるべく武器を作ることにした。


俺は昨日、火起こしの材料と一緒に取っておいた長めの固い木の棒の先端に散々使って切れ味の落ちた鋭かった石を不思議紐で括り付け、槍を作成した。

これであの糞猿を成敗してやる!!

早速、サルの捜索をした。

あのての輩は道楽でモノを盗むタイプだ、だから追いかけて来ないと近くで待っていたり、モノを捨てて行ったりするだろう。

だけどサルは賢いらしいから、人間にとって服は大切っていうのは知っているだろう、だからその辺で俺を待っておちょくるだろう…

俺はそんな予想を立ててサルたちが去っていった方へ目指す。


「うきゃ!うきゃきゃ」


猿の鳴き声が聞こえた。

俺はこっそり近づき木の陰から覗いてみた。


「うきゃきゃきゃきゃいきゃい(昨日狼とやりあってた?から少し警戒したが…警戒して損だったな!)」


「うきゃいきゃきゃ(あの人間弱そうだったたし、からかい甲斐がありそうだ!)」


「きゃきゃっきゃ!(あんまり人間来ないし今日は楽しもうぜ!!!)」


「きゃいきゃいきゃきゃきゃ…きゃい(そうだな、ここら辺はモンスターが強くてなかなか人間が来ないからなぁ…来ても隙がない猛者揃いだけど。)」


「うきゃいきゃきゃ…(こんなカモはなかなかいないぜ!せいぜい俺らのおもちゃになってもらおう…)」


おサルたちが何やら会議をしていた。

俺のことを馬鹿にしているに違い無い!!

まずはパンツから取り戻してやる!

俺はそう意気込むと無策にパンツを持っている猿に向かって走り出した。


「おりゃぁぁ!!!パンツ返せやこらぁ!!」


俺は大声を上げて猿を追いかけた。

無策に突っ込むおバカさんこと俺翔太は後悔しながら猿を追いかけていた。

なんかもっと考えて行動すればよかったか??


「はぁはぁ待ちやがれ!!!」


「うきゃきゃ!!(待つと言われて待つバカはいないわ!)」


「馬鹿にされている気がするなぁ!」


「うきゃ!うきゃきゃきゃ!(あ!お前はそういう類の馬鹿だな!!)」


自分が思っている以上に馬鹿にされている俺はなおも必死で追いかける。

てか潜水艦の時から走ってばかりでもう足が筋肉痛でつらい。

でもそんなことも気にしてられないし…

今更ながら筋肉痛のことを考えていると、


「がるぅぅ!!」


背後から昨日の狼の声が聞こえた。


「へぇっ!?もしかしていつも間にかぐるっと廻って昨日のところまで来ちゃったのか!?」


「うきゃきゃきゃ!(作戦成功だぜ!やっぱりこいつは昨日狼から逃げてただけだったぜ!)」


パンツも大事だけど、それよりも命の方が大事だからな…

パンツを諦めてまた崖まで逃げるかどうするか…

いや!狼を使ってあの猿を懲らしめられないか?

俺は最近お馴染みの必死に走りながら熟考していた。

うん!何も思いつかん!!

俺はパンツを諦めることにした。


「クソ猿!覚えてろよ!!」


俺は捨て台詞を吐き、大廻りでUターンし崖の上を目指した。



「はぁはぁなんかずっと息が切れてるな…」


俺はこの環境のおかげ?で体力がついてきたためそれほど必死にはならず崖までついた。


「あばよ狼!」


俺はダッシュで崖を飛び降りようとした瞬間、視界がピカっと光り輝いた。


「うわっ!まぶし!」


ドスッ!


「きゃっ!」


柔らかい何かにぶつかった。

俺はまぶしさでやられた目をゆっくりと開けると…

廻りは草原で近くには町と思われる門があった。

門番が立っていることからそれなりの大きさの町だと思われる。

今度は下に目を向けると。


「きゃー---!!!変態!!襲われるぅぅー!!」


なぜか俺はとても美人なお姉さんに馬乗りになっていた。

へ?なんで?

わけもわからずあたふたしていると。


「この曲者!!」


もの凄い剣幕で門番が走って俺の方にやってくる。


「この曲者!今すぐそこの女性から離れなさい!!」


門番は合計4人やってきて。皆持っていた槍を俺に差し向け戦闘態勢をとっている。


「ま、待って下さい!俺も何が何だか…」


混乱が解けない俺はしどろもどろになっていると。


「待つわけないだろう!!早くそこの女性を解放しなさい!!」


俺はようやく女性の上に乗っていることを思い出し、その場を飛びのいた。


「か、確保!!!」


一人の門番が女性を助け起こし、他の門番は俺に詰め寄り槍を構えた。


「貴様!なぜこのような場所で強姦をしようとした!?このまま串刺しにされたくなければ大人しくついてこい!!」


門番はすごく怒っていた。

確かになぜか女性の上に乗ってしまったけど、胸を触ったわけじゃないし…

しかもなんでこんなところにいるかわからんし。

だってさっきまで狼に追われて、崖にいてそこから湖に飛び込んだだけだよ?

どうして??


「えーっと確かに女性に馬乗りになってしまいましたが…俺も何がなんだかわかっていなくて…別に襲う気もありませんでしたよ?」


俺はゆっくり立ち上がると


「きゃー--!!!」


またもや女性の悲鳴が聞こえた。

俺は「なんだ?」とつぶやくと。


「曲者め!どの口がそれをいう!!そのぶら下げたものを隠せ!!公然わいせつ罪と強制わいせつ未遂罪現行犯で逮捕連行する!!」


俺、全裸だったわ。

ご拝読ありがとうございます!

なんとか無事?に町までたどり着くことができました!

そして今回も主人公のアホさは際立ちました…

ですがそんな彼にもすごい?特技があります!

そのうち披露する時がくる(たぶん)かと思います…


最近はこの作品初の評価とブックマークをいただきました!

皆さまのおかげでとてもモチベーションが上がっております!

このままビシバシ書いてもっともっと読んでいただけるように頑張ります!

では次もご拝読いただけますと幸いです。


※次回は6月6日に更新いたします。


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良ければフォロー下さい♪

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アカウント:@hyuga_toudou

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