FC ヘビーバレル
FCのマイナーゲームをやってみた感想文です。
アクション物のため、短めのレビューです。
これは、なかなか面白いです。
戦場の狼の進化版といった感じの印象でした。
戦場アクションゲームというとコントラタイプの横スクロールアクションが主流で、怒や戦場の狼みたいな見下ろし型の戦場アクションって爽快な演出が難しいジャンルではありますが、このゲームはなかなか健闘していると思います。特に、一見ゲームの進行を難しくしているように思える残弾数ありのシステムを採用した点、これは非常に良い点だと感じました。この現実的なアクセント一つでメタルギアシリーズのような緊張感というか戦場のリアリティがグッと増しています。コントラみたいに猛り狂ったように無限に弾を撃ちまくるっていうのもゲームとしては面白いのでしょうが、現実的に考えたら『どこにそんなに薬莢持ってんの?』って話で、このゲームのように限られた残弾の内で弾を節約しながら敵を的確に仕留めて進んでいくという流れの方がリアリティがあって面白いという演出の一つの方向性を図らずも最初に見出した作品と云えるのではないでしょうか。
ゲーム全体のクオリティは戦場の狼などと比べれば格段に良くなっていますが、それでもFC中期の作とあって全てにおいて最高とは言えない程度です。
中でも特に2つの大きな難点があり、その一つはスクロールのシステム。このゲームのスクロールはゼルダのようなスッと画面がスクロールするのではなく、主人公の動きとともに強制スクロールのようにゆっくりと画面がスクロールしていく仕様となっています。これが本当に気持ち悪いというか酔うような感覚になります。FCでは画面がシャキッとスクロールするような仕様はできなかったのでしょうか。
あと一つは、このゲームの世界観を完全に崩壊させるチート武器の存在。この武器は作中に2回だけ取れるレーザーガンなのですが、よほど特別な武器として演出したかったようで、なんと、FCソフトにしてこのアイテムを取った際にボイスが出ます。声はバリバリに割れていてなんて言っているのか分からないようなデスボイスになってしまっていますが。
そしてこのレーザーガンは時間経過で消えてしまうのですが、その時間内であれば放射状に広がる輪っか型の光を放ち、光に触れればザコは瞬殺、ボスでさえ数発で溶けてなくなるというチート級というか、バランス崩壊な武器です。
あと、このゲーム、カギを持っているザコ敵を撃ち殺すと撃たれた敵が死に際にカギを落として、そのカギを回収すると至る所に置いてある弾薬箱を開けられて、中から弾薬や武器を回収、補充出来るというシステムになっているのですが、4面でゲームタイトルにもなっている『ヘビーバレル』という武器を回収していないままボスまで行ってしまうと詰んでしまうというバグも存在しています。そもそも、ボスフィールドまで到達してしまうと後戻り出来ないのに本来イベント発生トリガーとなるべき必須アイテム無しでもボスフィールドまで辿り着けてしまうというのが問題なのですが、ステージ4のボスはヘビーバレルでの攻撃以外全く受け付けないため、ヘビーバレルを取っていないともう死を待つ以外手段がない詰み確定となるこのザル設定を放置してしまっているところも問題です。
そういった数々の致命的な設定ミスはありながらも、このゲームは『なかなか面白い』ものだと直感的に感じてしまう不思議。要は良く練られた試行によるところが作用しているんだと思いました。
戦場アクション物としてはアリだと思います。
未成熟ですがアイデアとして面白い作品だと思いました。