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機械人形と生きる世界

フローラルパンジーの伝承

作者: リィズ・ブランディシュカ



 美しい花が咲き乱れる国。フローラルパンジーにはとある伝承があった。


 国の中心にある水晶の光が三つ灯った夜に、空を見て星の軌跡に願いをかけると、その願いが必ずかなうというもの。


 水晶が三つ輝く時というのは、歴史の切り替え時の事だ


 フローラルパンジーでは、五百年事に新しい時代の幕開けとして、盛大な祝いを催す。


 それは、歴史時計が三つ光り輝く時に行われるものだった。


 時間をはかる砂時計ならぬ、歴史の経過をはかる水晶時計。


 そんな伝説があるものだから、その日は多くの人々が夜更かししていたのだった。


 そう、今日こそが伝承に謳われるその日だった。






 歴史が変わる瞬間。


 それに立ち会いたいと思っているのはその男性も、他の人間と同じだった。


 男性はいつも部屋にこもっていて、機械とたわむれているような人間だ。しかし彼にだって、ロマンチストな面はある。


 彼は、機械人形に思いを寄せていて、その人形と結ばれたがっていた。


 しかし、世界では機械人形との婚姻は許されていない。


 だから、思い人である機械人形を人間にしてほしいと、星に願いをかけるつもりだった。


 しかし、その日の空は生憎、雲がかかっていた。


 風の流れ次第では、空が見えるかもしれない。


 だが、男性がいる地域にいては、それも危ういかもしれなかった。


 急いで旅支度をした彼は、遠くへ向かった。


 風向きを計算して、夜行列車にのって、空が見える場所へ。


 やがて深夜になろう頃合いに、彼は星空が綺麗な場所にたどりついた。


 流れ星は、時々きらきらと輝きながら空を駆けていた。


 男性は夢中になって願いごとを唱えた。


 そしてその後、遠くへ声を運ぶ機械、電話を手にした。


 けれど、通話相手は無機質な声と、機械的なセリフで応答するだけだった。


 男性は、やはり伝承はただのおとぎ話だったと判断した。




 しかし翌日、思わぬニュースが世界を駆け回った。


 資源大国である国が、機械人形との婚姻を認める法律を発表したのだ。


 男性は喜んで、機械人形と共にその国に向かい、プロポーズをした。



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