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4久美ちゃんと私

 私、似合わないへんてこな髪型を封印した上柳千代子です。


 あの後、久美ちゃんと一緒にエステを受けました。

 おかげで、お肌つやつやです。

 髪も自分で言うのもなんですが、前の髪型より似合っている気がします。


 家に帰ると、家族みんなにびっくりされました。


「どういう心境の変化かな。でもこの髪型もよく似合っているよ」


 慎一郎お兄様は、何やら考えているようでしたが、ほめてくれたので良しとします。


「まあ~ずいぶんさっぱりした髪型になったわね」


 お母様は、華やかなお顔に似合うマダムのような(マダムですが)あでやかな髪形をしているので、私の変化にびっくりしていました。


「千代子は、どんな髪型にしても似合うね」


 お父様は通常でした。本当に愛されています。


「お嬢様はストレートがお似合いです。素敵です」


 久美ちゃんは、最初はびっくりしたものの、この髪型を見て喜んでくれました。

 やっぱり前の髪型は、顔には浮いていたようです。


 久美ちゃんの言うことは、本当に信頼できます。

 私のマネージャーである前に大切な友人だからです。



 久美ちゃんとは、私が8歳の時に出会いました。



 久美ちゃんの家も、前世の私の家と同じように貧乏らしく、住み込みで働きに来たのです。

 ただ学校の成績は、ものすごくよかったそうで、父と母が私のメイド付きにして働きながら高校大学まで行かせました。

 久美ちゃんが大学生の時、嫁に行かせると久美ちゃんの父親がいってきたときには、私は大反対しました。

 もしかしたら、無意識に前世の自分と重なったのかもしれません。


 私の両親にすごくお願いをして、このまま私のメイドでいてもらいました。

 当時私は、いいなずけさん以外に執着することがなかったので、両親は私の久美ちゃんへの執着にびっくりしたそうなんです。

 慌てて久美ちゃんの実家の状況などを調べ上げて、いろいろ援助したりして、そのまま我が家にいてもらうことにしたそうです。


 久美ちゃんは、そのことに今でも感謝してくれていて、私に尽くしてくれています。


「お嬢様のおそばを離れません」


 これが久美ちゃんの口癖です。


 久美ちゃんは優秀ですから大学を卒業した後、皆がうちの会社で働くように言ったのですが、会社の仕事をする傍ら、まだメイドもどきを続けてくれています。といっても今では私専属のマネージャーさんですが。

 久美ちゃんには、素敵な婚約者さん(私とは違い)もいるのですから、私が久美ちゃんを独占するのは、あと少しですが許してください。

 今日は久美ちゃんもエステしたので、ぴかぴかですよ。婚約者さん!


 その久美ちゃんの婚約者さんは、父の秘書をしている香村航さんという人です。


 父の秘書といっても何人もいるので、まだ31歳の働き盛りでかっこいい方です。

 ちなみに久美ちゃんは29歳です。


 実は彼航さんのお父様は、うちの会社の重役の一人でうちの親戚筋にあたります。

 ということは久美ちゃんと香村航さんが結婚すると、私と親戚になるんです。

 見も知らない人のところへは嫁がせたくなかったので、とっても嬉しい限りです。

 まるで親の心境ですが。


 香村航さんは、親戚ということもあり、私も小さいころから彼を知っていますが、かっこいいだけでなく性格もいい方です。

 兄とも仲が良く秘書の仕事をしているので、うちにも何度も来ていて、その時に久美ちゃんを見染めたそうです。


 なんせ、久美ちゃんは優秀かつかわいいですから。


 

 そして私千代子は、明日が初出社です。

 えっ、やめないの?

 そうなんです。私は元いいなずけさんの会社で働くことにしたのです。

 元というのは、私がいいなずけの関係解消をお願いしたからです。

 いいなずけの関係解消は我が家のほうが格上、しかも家族みんな反対だったのですぐ決まりました。


 じゃあなぜ元いいなずけさんの会社で働くのかって? 決まってるじゃないですか。自分のキャリアを磨くためです。

 自分の家の会社だとみなさん遠慮してとてもじゃないですけど、仕事なんてできないと思うんですよね。

 それに何よりみなさんだっていやだと思うんです。

 社長令嬢が職場にいたんじゃあ。

 その点元いいなずけさんのところでしたら、絶対に優遇してくれないでしょうし。

 それにありがたいことに上柳家からも清徳のおじさま(会長)には、一応言ってあるので、むげにはされないでしょう。

 なんせ我が家のほうが格上ですから。おっほっほっ!


 ただ働くうえで私千代子の身分は隠すことになりました。

 これも私のお願いです。

 名前は上柳の上を取って、柳千代子です。


 そしてこれは誰にも言ってないのですが、今までのお礼としてあやつ(元いいなずけ)の会社での私のスーパーウーマン的な働きを見せつけて、ぎゃふんといわせてやるのです。


 前世では、きちんと働いてましたし、会社を辞めてからも工場を手伝っていましたしね。

 きっとあやつは、お嬢様な私が会社で働けるなんて思ってもいないでしょうしね。


 貧乏前世ばんざ~い!


 と思っていましたが、あやつもさるもの、清徳グループ本社で仕事するものと思っていましたら、ここはどこでしょう。


 そうです。今、本社ならぬ小さな系列会社の支社に来ています。


 くぅぅ~~。おぬしなかなかやるな。

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