1話 ゴミはないだろ
新連載です!
お願いします!
「私は女神、アーネストよ。死んだあなたたちを私が統べる世界へ送るわ。」
「おいおい!異世界転生ってやつかよ!」
「おかぁぁさんん……」
クラスメイトが興奮してたり、嘆いてたり。
そう。この女神とやらと対面しているのは俺、田中 優が所属する1-Aのメンバーだ。
女神が言うには高校の入学式の時にテロられたらしい。俺にそんな覚えはないが。
と、そんな感じで、死前の記憶はないわけだ。
なにか知られてはいけない理由でもあるのかなぁ。
「この世界について少し説明します。」
おー。異世界ものはまあまあ読んでたからなー。どういう世界なんだろ。
「エルフエルフエルフエルフエルフ……」
オタ系男子が呟いている。分からなくもないが、若干引いてしまう。
「ベネスティアと呼ばれるこの世界は基本的に職業で全てが決まります。いい職業であるほど、高い地位に立つ事ができ、周りの待遇もいいです。悪い職業は……分かりますよね?」
コクコクとクラスメイトが頷く。
そう来たかー……。完全に運ゲーだな。
俺前から運だけは悪いんだよな。
そうこの男は理不尽までに運が悪い男だった。だけど、色んな人の協力もありなんとか乗り越えて来た。
この世界に行ってまで悪運とはやめてくれよ……
「ベネスティアに送り込んだあとは、この後確認してもらう能力に分けて、それに合った学院に行ってもらいます。あちらでも、あなたたちと同じく15歳で神からの恩恵という形で職業を得ます。
ここだけの話、私は何もしてません!てへっ」
てへっとか言ってるが、それ言っていいのか……?
クラスメイトは一抹の不安を抱えながら、女神の話を聞いていた。
「では、職業確認をしてもらいます。自分では確認できないので、女神の権力で具現化させます。ベネスティアでは学院で確認出来ますので、そこで随時確認してください。」
おぉ。よくあるあれか。自分で見れないのは切実に悔しい。現実で言ってみたこともあったんだよな……
「"ステータス具現化"」
そう女神が言うと、板みたいなやつが目の前に現れた。
刹那、俺は目を疑った。
田中 優 (15) <職業>ゴミ
職業スキル:職業進化
ゴミ…ゴミ…
俺が絶望感に苛まれていると、
「HPとかMPとかそういうのないんすかー?」
そうクラスのチャラチャラしてる人が質問した。
「申し訳ございません。ベネスティアにはそういった概念は存在しません。自身の体力量や魔力量を把握できるほど、文明は進んでないのです。」
その人は、落ち込んでいる様子だった。
しかし、俺は他人に同情するほど自分に余裕がなかった。
あちこちから剣士やら魔法使いやら聞こえてくる。自分に言われてないのはわかっているが、皮肉にしか聞こえなかった。
「これからあなたがたに行ってもらう学院は4種類あります。」
もういいや。そう開き直った。なんだかんだいつも何とかなってなじゃないか。今回も何とかなるよ…
女神が言ったことを簡潔にまとめるとこうだ。
アーネスト学院:4つある大陸の東部に位置する魔法、剣術、様々なことを学ぶ学院。勇者の発見、育成に努めようという学院。実際勇者はまだ見つかってないらしい。まあ分かることは、勝ち組って所。
ローズリア学院:4つある大陸の西部に位置する魔法を中心に学ぶ学院。賢者の発見、育成に努めようという学院。
遥昔に賢者がいたらしいけど、それからは見つかってないらしい。
サレスト学院:4つある大陸の北部に位置する生産系を中心に学ぶ学院。ここは生産系だけでなく、多様な人達が集まるらしい。そういうことで、なかなか人気な学校だ。実際、卒業生の3割程度しか生産職についてないらしい。
カトメロス学院:4つある大陸の南部に位置するいわゆる無能が集まる学院。あとから知ったことだが、カトメロスはギリシャ語で底辺っていうらしい。さすが職業主義の国だ。
自分は絶対このカトメロス学院だな。
ここで成り上がる!なんてね。
ついに選別が始まった。
「あなたは…採掘職ね。サレスト学院よ。あちら側に行ってちょうだい。」
「やった!…はい!」
と、どんどん選別していく…
ついに俺の番だ。
「あなたは…ゴミ?!……ふっ。見る価値もないわ。カトメロス学院行きよ。」
「はい…」
アーネストが優のステータスをよく見なかったことを後悔する日が来るとか来ないとか……
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