設定資料:ステータス解説
今回の更新内容は「設定資料集とか読むの楽しい!」という人向けの内容なので、そうでない人は読み飛ばしても大丈夫です。
本編で言及するときは必要に応じて説明を添えますので、覚える必要はありません。ご安心ください。
【イリオス副学園長による但し書き】
本資料は、転校生サクヤ・イワナガのための追加教材である。
通常、新式性能評価法――いわゆるステータスの読み解き方は一年生の座学で教えられる。
しかしサクヤ・イワナガは飛び級という特別措置を受け、その座学を受けることなく二年生に進級することになる。
その不足を補うため、急遽この追加教材を作成する運びとなった。
本資料の充分な理解をもって、サクヤ・イワナガは一年生の座学を履修したものとして扱う。
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【事前に把握しておくべき用語】
○身体強化
魔力を肉体に漲らせることで、筋力や感覚器の性能、魔法に対する耐性を向上させる技術。
この能力を充分に鍛錬していなければ、本格的な魔法を満足に習得、発動することはできない。
基本中の基本であるが、未だに詳細不明な点も多い。
例えば、重い物を持ち上げる能力の強化と、素早く体を動かす能力の強化は、どちらも筋肉に関わる事柄であるはずだが、それぞれ別の身体強化技術に分類されている。
○魔力装甲
魔力障壁、魔力防護とも。
帝国認定の公式名称は「魔力装甲」であるが、その他の呼び方も許容されている。
体の表面に発生させる魔力の膜、俗な表現をするなら「バリア」のようなもの。物理的な防具との併用も可能。
肉体に与えられるダメージを軽減し、代償として効果を発揮するたびに装甲が消耗していく(充分な休息を取ることで自然回復する)
ただし、ダメージの完全な無効化には相応の実力差が必要。
局所的に強い攻撃を受けた場合、多少の傷みや軽度の出血を伴うこともある。
また、魔力装甲を全消費しても攻撃を防ぎ切れなかった場合は、余剰分のダメージの直撃を浴びる恐れもある。
(身体強化と魔力装甲は、通常の白兵戦でも極めて有効であるため、魔法を専門としない戦士や兵士も、基本技術としてこれらを習得していることが多い)
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【各パラメータの解説】
パラメータの数値は、HPとMPが100、それ以外は10が二年生進級の最低値である(注:経験値は全く別物なので例外とする)
筋力から直感までの六つのパラメータは、身体強化を発動させた状態の身体能力を表している。
このため、何らかの理由で基本の身体能力が変動した場合、レベルは変わらずパラメータだけ上下するということも起こる(具体的には老化など)
○レベル
身体強化と魔力装甲の成長段階を示す。
詳細は二年生以降の授業で解説されるので、現時点では「レベルが1上がるごとに各ステータスが上昇する」という程度の理解でよい。
○HP
魔力装甲の残耐久値を示す。
どの程度までダメージを肩代わりさせられるかを表した数値。
ゼロになるまでは決定的なダメージを受けず、問題なく戦闘を続行できると考えてよい。
○MP
体内に蓄積した魔力の残量を示す。
身体強化や魔力装甲に回す魔力は差し引かれた数値。
つまり、厳密には「術者が自由に扱える魔力の残量」を意味する。
○筋力
重量物を持ち上げ、動かす能力の高さを示す。
武器を振るう、荷物を持ち上げる、素手による打撃を加える、といった場合に有効。
原因は不明だが、速く走る、高く跳ぶなど、移動に関わる分野には影響を与えない。
○耐久
体力の増強、痛みへの耐性の高さを示す。
この数値が高いほど、魔力装甲のダメージ軽減効率も高くなり、防御力が増していく。
○感覚
注意力や反応の速さを示す。
いわゆる感覚器の強化も伴うが、厳密には「敵の行動や戦場の状態を見切る能力全般の総合評価」だといえる。
○敏捷
自分自身の肉体を利用した移動の速さを示す。走行や跳躍が代表例。
武器を振るう速さなどにも有利な追加補正を与えるので、攻撃と防御の両方に少しずつ影響する。
○抵抗
外部から受ける魔力の影響に対する抵抗力を示す。
状態異常などに罹りにくくなる他、攻撃魔法に対する魔力装甲の防御力も底上げする。
○直感
いわゆる勘、あるいは第六感の強化の度合いを示す。
この能力自体の実在を怪しむ学説もあり、そちらの説では「感覚」と統合することが提唱されているが、現時点では主流に至っていない。
○経験値
これまでに蓄積してきた「経験値」の総量を示す。
厳密にはステータスの一部ではなく、身体強化とも魔力装甲とも関係ない、独立した別の数値。
次のレベルアップのタイミングを図る基準となるため、便宜上ステータス画面に併記されている。
「経験値」とは何か、どのような原理で蓄積するのかについては、二年生以降の授業で学ぶ内容である。
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【パラメータの数値の意味】
先述のように、筋力から直感までの六つのパラメータは、身体強化を発動させた状態の身体能力を表している。
身体強化は基本の身体能力に加算される。乗算ではない。
「基本の身体能力+魔力による身体強化=パラメータの数値」
この性質から、以下のような結果が導かれる。
・ステータスが同じなら、体格が異なってもおおよそ同じ身体能力を発揮できる
・身体強化の性能が同じなら、元々の身体能力が高い者ほど、各パラメータの数値も高くなる
なお、これらの数字は、伝統的な比較対象である「一人前の戦士の基本的な身体能力」を10とする基準で計算されている。
(注:「感覚」は五感のいずれかの最大値ではなく、総合力での評価)
つまり二年生に進級するためには、ただ魔力を全身に巡らせるだけで、一人前の戦士並の身体能力を発揮することが求められるのである。
若い世代からは「何故それが基準なのか」と疑問の声が絶えないが、これは馬一頭の力を「一馬力」とするようなもので、昔からの伝統であると理解してもらいたい。
(より客観的な数値化については、日本政府の協力で基礎研究が進められている段階である)