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第69話『霧散天使』

やっと1話書き終わりました…。

びっくりするくらい書けない日が続き焦り倒していました。ふと見ると結構長めなのでお時間ある時に是非!

「はぁ…

シトリくんに頼んで心配だったけど大丈夫だったな。」


バアルさんに言われ再び訪れたあの場所に筆を奪ったアイツは骨を遺していた。

ウチの使い魔は優秀だから骨は遺せたけど、

いる?これ。零蘭来るって言ってたよね。

竜族の中でも零蘭は優しい方だ。

ただ自分以外が吐く嘘が嫌いだから気づかれないようにしないとユムル様が危険に晒されてしまう。

シトリくんは今回の事を知らない。

俺の話に嘘が混じっている事も知らない。

故に使った。

全てを知らないシトリくんが話すのなら俺の伝言は零蘭にとって嘘にならない。


「でも勝手に盗み聞きしてるのバレちゃった。

ユムル様怖がらせちゃったし零蘭よりバアルさんが怖い。

おのれとか言われたよ。」


取り敢えず骨は虫達に運ばせるとして、

ふいに足元を見ると血溜まりから伸びる俺の足跡が付いてしまっていた。


「うげ。」


零蘭に指摘されるだろうな…。

屋根で血を拭うように移動しながらこれからの事を考えないと。

でも本当に困ったな。

俺は真犯人を知っている。

探す必要は無いと言えば無い。

しかし犯人を知らないとシトリくんに言わせてしまった訳だし知らないフリを貫く必要がある。


「うぅーん…」


そもそも何でリゼット=アザゼルはイツァムの筆を狙ったんだ?

イツァムの筆は竜族でも珍しい、羽毛を持つ

ケルツァがあの子の為に作った逸品。

ケルツァの羽根は光に当たると綺麗な虹色に光ることから宝石と同等の扱いを受けている。

故に人間も、魔族も欲しがる者は沢山居る。

まさかリゼットもそれで?

ティリア様に振られたのに諦め悪いし

気を惹くアイテムとして狙ったのか、

はたまた竜族と問題を起こして最悪の事態を引き起こそうとしたのか。

前者は無いな、イツァムが宮廷画家なの知ってるし。

となれば後者か。


最悪の事態、

それは竜族との関係悪化から引き起こされる問題。

基本まだ友好的である竜族。

1人1人が力を持っているからこそ彼らは怒らせるととても面倒だ。イツァムは別として。

正直戦うことになるのは避けたい。

何せヴィランローズ王家の銀食器が目玉にしか刺さらない硬さだから。

鱗も爪も羽根も硬すぎるっつの。

昔に竜化したケルツァを触らせてもらった時にすぐに硬さを手で測った。

彼は蛇に竜の足を生やしたような長いタイプだった。

しかしあの硬さでまだ自分は柔らかく脆い方だと言う。

羽毛なので羽根はそうだろうね!!

でもそんなケルツァにすら銀食器は届かないというのに!

他どうなってんだよ!!

…銀食器が鱗に刺さらないだけで武器持ち替えて勝つけどね。

絶対勝つけど、勝つけど…

ユムル様を怖がらせてしまうかもしれない。

彼女の視線に入らない場所での戦闘をすれば良い話だけど竜は1匹がデカいから無理な話。

城に居たってティリア様が結界を張ったって窓から見えるし。


嫌だな。あの子に嫌われたくないよ。

どういう訳かずっとそう思う。

昔はどうやって魂を美味しくするかで悩んでいたのに。

魔族も色々と試してみたけど人間が1番欲深く醜い生物だからか魂がとても美味しかった。

もっと美味しくしたくて追究していた。

だから食糧としか見てなかったのに。

どうして彼女には食欲も湧かなければ護りたいと思うのか。嫌われたくないと思うのか。


ブレイズさん!


可愛らしい声で俺を呼んでくれた時、

可憐だと思った。あの子は人間なのに。

人間のくせに欲が無い珍しい子なのに。

作り笑いは下手だけど自然な笑顔が愛らしい。

料理も俺より早く作れる天才レベル。

ティリア様が羨ましく思えてきたなぁ。


ブレイズさん?大丈夫ですか?


いつも自分より他を心配をして。

俺は君が心配なのに。

大きな目で俺を見て…


俺を見て?


「ブレイズさん!」


「うわぁああっ!!!!??」


目の前に本物が居た!!!

どうして!?足元屋根だけど!?


「ぶ、ブレイズさん!落ち着いて下さい!」


「ブレイズ君お久しぶりー!」


「ぼーっとしてたわね〜!」


「セレネちゃん!れ、零蘭まで!」


そうか零蘭が連れてきたんだな!!

危ないなぁもう!!


「零蘭…イヴちゃんを危険な目に遭わせないで!!

彼女に何かあったら俺の首が撥ねられるどころじゃ済まないんだ!!」


彼の肩を掴んでまくし立てるが、

零蘭は口を尖らせ


「知ってるよ〜。

だから、お姫様抱っこしてきたの。」


「運び方とかそういう問題じゃないんだけど!」


バアルさんも何考えてるんだか!

何故ユムル様を城の外へ出したんだか!

でもいつも通りいつも通り。

真犯人は知らないフリ。

ただでさえ確実じゃないんだから。


「…零蘭、イツァムの筆の件…ごめんね。」


「ううん、イツァムは喜んでたよ。

ブレイズ君が取り返してくれたって。」


「でも取り返したのが俺だったからこそ犯人は自害してしまった。」


「ま、君はもう少し自分がどれほど相手に恐怖されているかは知った方が良いだろうね。」


どうやって知ろと。

実行犯は俺が殺した。

俺の名前で恐怖する者はまだ居るだろうけど

自害する者は流石に居ないだろう。

すると零蘭は鳥を抱えたユムル様をバックハグしつつ俺の革靴に目を向けた。


「それにしても君の靴…

不味そうな血の匂いがべったりだ。」


やはり指摘された。

嘘はバレなきゃ嘘じゃない。

真実に嘘を混ぜてより真実へ。


「じゃあ本題に入ろう。

俺は自害した犯人が何か残していないかと

追い詰めたところに足を運んだ。」


「うんうん。」


「頭部を破裂させて死んだからか血溜まりが凄くてね。直前の返り血は避けたけどさっきうっかり踏んじゃった。」


「ふーん…」


「持ち物はナイフが1本入っていただけ。

でもナイフがあったんだ。自害をするならそれで十分じゃない?」


「確かに〜!真犯人がやったのかもー!」


「それが出来るのは限られてくる。

だから俺と零蘭だけで良くない?」


ユムル様を出来る限り危険な目に遭わせたくないし、

零蘭と一緒にも居させたくない。

セレネちゃんと2人で城へ…


「だーめ!

この子、本当に不思議な子だから気になるもん!」


零蘭はこうなると無理矢理でもユムル様を離さない。

厄介すぎる。


「……」


「わ、ブレイズくんも怖い顔した。

大丈夫だよ。今回は僕も護る側だから!」


「今回は、ねぇ…。」


やっぱ竜族は嫌だな。

上手く言葉に表せないけど、何かが嫌だと感じさせるそこが嫌だと言うかなんと言うか。


「…分かったよ。

でも零蘭、耳貸して。」


「なぁに?」


「護ると言ったその子に万が一の事があったり、

危険に晒したら絶対に殺して(喰って)やる。」


「過保護だねぇ分かってるよ〜。

僕もブレイズ=ベルゼブブに勝てるかは五分五分なの分かってるんだから。」


簡単には殺さない。

絶対に苦しめてやる。

そんな思いは隠し、ユムル様がすぐ近くに居たまま話した為に零蘭から距離を置く。

…聞かれてないよね?

心配になってチラリと彼女を見ると


「?」


可愛らしく小首を傾げた。

大丈夫だよね?

零蘭めフルネーム言いやがって。

彼女を不安にさせないように微笑んでおく。

するとセレネちゃんが頬に手を添えながら声をかけてきた。


「ねぇ〜?ブレイズちゃん。」


「なに?」


「どうやって真犯人探すのかしら〜?」


「うーん…零蘭に任せようかな。」


「僕ー?

ブレイズくん先に探してるとか言ってなかった?」


「情報を得ようとはしてたよ。

でも結果この通りナイフ1本だけで後は手ぶらさ。」


「むー…困ったね〜!」


「考える気無いな?このままじゃ」


言葉を紡ごうとした直後、

俺の使い魔である羽虫達の気配が途絶えた。


「!」


「ブレイズくん?

もしかして怒った!?」


「…」


やられたのは骨を運んでいた虫達だな。

その中の殺られた数は凡そ3分の1。

死因までは分からないが誰かが意図的に俺の虫を殺したのは事実。

またリゼットの手下かもしれない。

追うしかない…!


「イヴちゃん!!」


「は、はい!」


「来て!」


俺が手を広げると頷いて走ってくれた。

急いで、しかし丁重に抱えさせていただく。


「はわっ!?」

『ぴっ!?』


「ごめんね、絶対護るから。」


お姫様抱っこ、何回するんだろ。

迷惑かなぁ…大丈夫かなぁ…。

ユムル様はお優しいから大丈夫だと笑ってくれるだろうけどティリア様に複数回見つかったら死ぬ。

間違いなく死ぬ。

早く解放してあげたいし致し方ないんだ。

そう、致し方ない。

俺が1番守ってあげられる体勢だもん。

零蘭は信用出来ないしセレネちゃんには万が一の時に援護してもらいたい。

俺は避けに徹する。


「行くよ!」


「は、はい!」


勢いよく飛んだは良いものの、

鳥を抱っこしてるから俺に手を回すことが出来ないユムル様。絶対離さない。


「ぶ、ブレイズさん。

何があったのですか?」


「仕事を任せた俺の使い魔が何者かにやられたんだ。

嫌な予感がしてね。」


「そんな、使い魔さん…」


俺の使い魔の形を教えていないから何を想像してるか分からないけど、思ってくれてるんだなぁ。

尚更虫だと言えなくなった。

ん、使い魔との距離が短くなってきたな。


「…いた!」


俺達と同じように宙へ浮かぶ人影が一体。

俺の羽虫を襲うように武器を振りつけているのが見える。

まずい、ユムル様に使い魔を見せる訳にはいかない。

しかし骨を持ってるし空中で消す訳には…

そうだ、下で待機させよう。ユムル様を抱えている左手の人差し指を下に少し下げる。

すると虫達は建物の屋上の隅で待機する。

よし、これで後は虫を追おうとしているアイツを確認するだけ。

行く手を遮るように前に立つ。


「止まれ。君、何者だい?」


「…」


「…?」


何か変だな。

コイツの存在に違和感を感じる。

まるで今のユムル様みたいな…


『ぴっ?』


彼女の抱えているセレネちゃんの使い魔、

ぴーちゃんと目が合った。

この子のお陰でユムル様は人間だけど皆から魔族と思われている。

それと同じ感じがする。

それにコイツ、目が虚ろで肌がくすんでないか?


「…!

まさか屍人兵か!!」


「しびとへい?」


「天使種の兵隊です。

人間の死体を魔族に変えて再利用された兵のことですよ。」


「てぃ、ティリア様が仰っていました…!」


「左様ですか。

屍人兵は近くに指示者が居なければただの骸。動いているということは繰り手の誰か居るってことになります。」


天使種…何処だ…

相変わらず隠れるのが上手い。

けれどあの戦いでお前らの事は熟知したんだ。

分からないわけが無い。


「出てこい天使種…!」


「ひぇえ…

そんな怖い顔しないでくださぁい!」


「ッ!!」


ひ弱な女の声!

目の前に真っ白な身体、羽根を携えた怯えている者が浮いていた。


「お前…スィーデ=ヴァイス!」


「ひぃっ!ごめんなさい!ごめんなさい!」


相変わらずビクビクしてる…ムカつく…!


「ぶ、ブレイズさん!

あの方怯えてますよ!」


「怯えていようがアイツは殺ること殺ってます。

大勢の仲間を殺し、俺を差し置いてバアルさんの頭殴りに行ったんですよ!!」


「えぇっ!?」


ラスト=アルヴィムと共謀してバアルさんを…

銀食器も幾つか壊されたし…

あぁああ思い出しただけで腹が立つ!!

今すぐに殺したい!!


「あ、あの時はそういう命令だったんですぅ!」


「ふーっ…ふーっ…」


どうやって殺す?

ユムル様が居る手前危ないことは出来ない。

だから零蘭が来たら直ぐに託して殴り殺すか?

それとも虫を使うか?それとももっと


「ブレイズさんっ!!」


「っ!」


ユムル様の声で我に返ったような感覚に襲われた。

俺は今…


「ブレイズさんお気を確かに!

私の事は放っておいて頂いて大丈夫です!」


「な、そんな訳にはいきません!」


「そ、そうですよぉ!

聞きたいことがあるんですぅ!」


「お前は黙ってろ!!」


「ひぇえすみませんすみません!!」


聞きたいことだと!?

コイツ…!!

ルルは何をしているんだ!!


「わー!ブレイズ君怒ってるぅー!」


この声は!!


「零蘭遅い!!」


「えー!?

ブレイズ君が早すぎるだけだよ!?」


「セレネちゃん、イヴちゃんお願い。」


「えぇ!…スィーデちゃんが居るなんて〜。

ビックリだわ〜。」


「怒られた挙句無視された…。」


セレネちゃんにユムル様を託し、

零蘭に視線を向ける。


「怖いなぁ。

分かってる、ちゃんと護るよ。」


「絶対だよ!」


足の付け根のポシェットから銀色に輝くナイフを持って斬りかかる。

しかしスィーデの身体が霧散し空を斬る。


「なっ」


「や、やめてくださぁい!

わ、私なんかでも幻影は創れるんですぅ!」


「どうしてゲートを越えれる!?

どうして屍人兵がここに居るんだ!?」


「こ、答えますから武器を仕舞ってくださぁい!」


「くそ…ッ」


情報を得ることが優先か。

渋々ナイフを仕舞うとスィーデは胸を撫で下ろした。


「はふぅ…

えっと、この兵士さんは悪魔種です。

全身がバラバラだったので頑張って治しました。」


「何?人間じゃないのか!?」


「た、魂が無ければ問題無いので。

かなり大変ですけど…。」


何だって!?

これから無造作に殺されればその分兵士を作る事が可能になってしまうのでは!?


「そ、それと幻影の私は気化してゲートを抜けました。

すみません。」


「……」


気化って何でもありかよ天使種…。

昔はそんな事出来なかったはずなのに!


「こ、答えたので今度は私の番です…!

貴女はソロモンという言葉に覚えは無いですか…?」


スィーデはユムル様を見て質問した。


ソロモンだと?

初代魔王の名前だぞ!?

何百年も前の話だ。

ユムル様が生まれているはずない。

それに人間界はまだ発展途中だった。

書物も無いだろう。正しく語り継がれない限り知っているわけが無い。


「し、知りません。」


「そうですか…。」


当然だろう。

このままスィーデの流れを断ち切ってしまおう。


「最近頻繁に天使種が来るけど条約を忘れたの?」


睨みつけるとスィーデは慌ただしく首を横に振った。


「そ、そんなぁ!

私達の用が有るのはそこの彼女だけです!

その弊害として貴方達が居るだけで!

って言えってツェルシア様が。」


人間は条約の他種族の条件下に当てはまらないと主張する訳か。

零蘭が居るのに人間という言葉を使いたくはない。


「天使種まで御用なんてやっぱキミは変な子だねぇ。」


「えぇ?困りました…。」


「わ、私は幻影なので今はお連れ出来ませんがいずれ

ツェルシア様が貴女を救済しに来ますので!」


「「救済?」」


巫山戯た事を…!


「この子は俺達の仲間だ。

救済など不要。それでも手を出すのなら条約が破綻し武力行使で貴様達を滅するのみ。」


「ツェルシア様は貴女を気にかけました。

貴女は救われるのです。選ばれたのです。」


「…」


ユムル様が真剣にアイツの話を聞いてしまっている!

もうこれ以上は限界だ!

洗脳の類を受けてもおかしくない!


「零蘭!コイツ食べていいよ!」


「本当?やったぁ!」


「えぇっ!?」


にぱっと笑った後、

巨大な黒龍へと姿を変えた零蘭はすぐさまスィーデの幻影を大口で捕らえた。


ガチンッ!!


歯と歯が勢いよく噛み合った音が響き、

黒龍は涙目で


【味しなーい!食感もなーい!】


と口を開けた。

まぁ幻影だし…。

でも食べれなかったという事は幻影であることに嘘は無かったということ。


「あの屍人兵も食べていいよ。」


【え、不味そ〜…しかも悪魔種でしょ?】


「要らないなら切り捨てて埋める。」


【勿体ない!食べる!】


そう言って空中で浮いているだけの人形と化していた

屍人兵を食べてくれた。


【まじゅい…】


零蘭は龍になっても表情豊かなんだよな。

ホントに不味そうだ。

すると白い霧がもくもくと集合し、再びスィーデの形を作り上げた。


「あー!ひどいですぅ!

頑張って治したのにぃ!」


「お前と話すことはもう無い。

消えろ。」


「ひぃっ!わ、分かりました帰りますぅ…

け、けど諦めませんからねっ!」


そう言ってまた霧となって消えた。


「はぁあ……最っ悪。」


ついボヤいてしまう。

あ、いけないユムル様の前だ。

きちんとしないと。


「イヴちゃん。大丈夫?」


「は、はい。

でも何故私なんかを…」


そこがまだ不明だ。

人間だから、ってだけじゃなさそう。

ソロモン…まさか何か関係があるのか?

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