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第65話『双子の悪戯』

すっっっごく時間が経っての投稿のくせに中身の内容がぺらっぺら!!!!

のにも関わらずブクマありがとうございます!!

今回の被害者は…?

着いた!ユムルの部屋!!


「ユムル!!」


「ティリアさま!

お話お疲れ様でした!」


持っていた紅茶のカップを机に置いたユムルは愛らしく口角を上げて、わざわざ駆け寄りアタシを労わってくれる。

素直にありがとうと言いたいのだけど…


「シトリ…ユムルから離れなさいッ!!」


シトリが引っ付いてユムルを抱きしめられない!!


「嫌です。ご主人様をお守りするのがボクの役目ですから。」


「無駄ですよ若様。

ずぅっとこんなんですもん。」


アズが呆れた顔で言っているのを見るに彼も引き剥がそうとしたのね。


「もう天使の心配は無いわ。

それにアタシが居るのよ。」


「いつ危険が訪れるか分からないではないですか。」


チッ…致し方ない…!


「全く、分からない子ね!

…アタシに平伏しなさい駄犬。」


「はぅっ!!畏まりましたぁ♡」


勢いよく床に転がった。

ユムルの前ではしたなかったかしら!!

でもしょうがないわよね!


「ユムル〜♡」


「わ、わ〜!」


あーー小さい温かい可愛らしくて愛しい。

ぎゅっとするだけで癒される…。

あ、そうだ。

この部屋に肆季が来たのだったわね。


「ユムル、肆季は髪の毛解いてなかった?」


「御髪ですか?いいえ…

窓を睨み付けていらっしゃいましたが…。」


「そう、なら良いわ。」


「な、何かおありだったのです?」


ユムルの疑問はご最も。

万が一何かあるといけないし話しておこう。


「あのねユムル。

肆季はとても穏やかなんだけどね、怒るとあの羅刹ですら手を焼くくらい暴れちゃうの。」


「えっ!」


「意外でしょ。

肆季は本来、大蛇っていう大きな蛇なの。」


「お、大蛇さんというのは存じ上げておりましたが…やはり大きいのですね…。」


驚くユムルも可愛い。

じゃなくて。


「人型の時、髪を結んでいるのは髪の毛の先の蛇が

動かないようにだそうよ。」


「髪の毛の先の蛇さん…!」


「髪を解くと毛先の蛇が沢山蠢くそうよ。

とにかく!

肆季が物腰柔らかでも油断はダメ。

食べられちゃうわ。」


「わ、分かりました…!

シトリさんにも注意されましたので…!」


「シトリぃ?」


何でシトリが?と思いチラリと見ると身悶えしていたのが嘘かのように真顔で答える。


「あの蛇、袖に暗器を隠し持ってました。

血の匂いがプンプンした物を。

のクセに笑顔でご主人様に近寄ったので。」


「んま。

鉄扇以外にも持ってたのね…。」


肆季の着物の袖、フリフリだし長いしで手が見えないのよねぇ。

そりゃシトリがグルグル唸るわけよね。


「羅刹だから、羅刹の使用人だからって安心しちゃダメよ。」


「は、はい。」


ユムルの中で迷いが生じた。

んもう、優しいんだから。


「ま、アタシが護ってあげるから!

そんな迷わなくて良いわよ。」


「はい!」


「良い子ねぇ〜!ぎゅ〜!!」


「はわっ」


ほんと、いつまでもぎゅってしていたい。

不思議ね。

これがユムルの魔法かしら。人間だけど。


「若様ぁ。ユムル様から湯気出てます〜」


「湯気?」


力を緩くしてユムルを見ると…


「ふしゅ…」


確かに頭から湯気が出ていた。

顔も…赤い!!また熱かしら!!?


「きゃあっ!?ゆ、ユムル!??

だいっ大丈夫!?」


「ふしゅ〜…」


ダメだこれは!!


慌てふためいているとシトリよりもアズィールが先に口を開いた。


「若様…

ユムル様は風邪ではありませんよ。」


「はぁっ!?」


「こういう所はご主人様と似てますよね。」


こーゆー所ってどういう所よ!!


「ちょっと若様はユムル様と離れてください。」


そう言われ、渋々ユムルと離れる。

椅子に座らせて…っと。

するとアズは猫になりユムルの元へ。

ユムルの足に顔を擦りつけている。


『ふにゃあ〜』


「…ハッ!あ、アズィールさん!」


ユムルの意識が戻った!!


『ユムル様、モフって良いですよ!!』


「あ、ありがとうございます…!」


アズを抱き上げ、

膝の上でアズのお腹をモフモフしている。

良かった、体調は悪くなさそう。


「ユムル…?大丈夫?」


「はっはい!!大丈夫です!!」


「そう?なら良かった。」


「ご心配をおかけしてしまい申し訳ございません!」


「それは良いのよ。

アタシはユムルが大切なのだから。」


「……はい…。」


…?何か変な間があったような…。


「お嬢様、バアルです。」


扉からベルの声が聞こえ、


「ばっあっどうぞ!!」


と慌てて返事をするユムル。

いつもと何か変ね…。


「失礼致します。」


頭を下げ入室し、まず最初にアタシを見た。


「やはりここにおりましたか坊ちゃん。」


「まぁ…。

いつもの様に来たら良かったのに。」


そう言うとベルは眉間に皺を寄せる。


「私だってそうしたかったですよ。

しかしお嬢様の部屋にいきなり入った私は?」


「死刑ね。」


「ほらね。私は命が惜しいので。」


と言いつつ、ユムルが女性だから特に気を遣っているのは分かっているわよアタシ。


「そんなことより坊ちゃん。

早くルルメル=レヴィアタンの事を片付けますよ。」


あ、忘れてた。

アイツ本当に全員殺したのよね。

人員かぁ…うぅーん…

ん?ユムルから悲しみと恐怖…?

今日はよく感情が読み取れるわね。


「ユムル?どうして怖がっているの?」


アタシが聞くとユムルは肩を震わせる。


「る…」


「る?」


「ルルさん…こ、ころ…かたづけ…」


単語でしか話せなくなっちゃった。

ころ…片付け…恐怖している…


あっ!?まさか片付けるっていう事を殺すと勘違いしている!?


「やーねユムル!

ルルの問題を片付けるだけでルル本人を殺したりしないわ!」


そう言うとホッと息をつき、

安心した表情を見せてくれた。


さっきからあのユムルから簡単に感情を読み取れる。進歩?それとも…


ちらりと机にある紅茶とクッキーに目が行く。

……いや、ブレイズに限って有り得ない。

あのブレイズが食事に何かを仕込むなんて絶対に有り得ない。

となると………あら?この匂い……


「ねぇユムル。」


「は、はい。」


「この部屋にレージェとフレリアが来た?」


「は、はい。いらっしゃいました。

大人の姿で…」


本来の姿で?何のために…

いや、それは良い。ただ…


「レージェ!フレリア!」


2本の金色の呼び鈴を取り出し鳴らす。


「ほいほい!」

「妾達を呼んだかえ?」


鏡合わせのような双子が目の前に現れた。

ちびっ子の姿に戻ってる。


「ちょっと耳貸しなさい。」


「お?」

「ん?」


ごめんねユムル、貴女に背中向けて。


「ユムルに何したの。」


「別に?」

「何もしとらんけど?」


「嘘おっしゃい。

このふわりとした甘い匂い、2人でしょ。」


そう言うと双子は顔を見合せ


「「てへっ!」」


と言う。


「いやの、

ユムル様が気を張りつめんようにと思って。」


「そして皆に素直に甘えられるようにと、

感情の起伏をちょっと仕込んだのじゃ。」


やっぱり…


「安心せい、死なないから。」

「うむうむ、調節したし。」


「死んだら困んのよ!!」


っとにもー!!


「アンタ達じゃなかったら斬首刑よ。」


「我らで良かった!」

「安心したのじゃ!」


「はぁ…じゃ、外を警戒しておいて。」


「「らじゃー!」」


ぽふんと音を立てて居なくなる双子。

振り返ってユムルを見ると心配そうな顔をしていた。


「ごめんなさいねユムル。」


「い、いえ!」


「坊ちゃん、そろそろ。」


あぁ、ルルの事があったのだったわ。


「分かったわ。

じゃあアズ、シトリ、ユムルを宜しくね。」


「「畏まりました。」」


はぁ……折角のユムル補給タイム…

少しで終わっちゃったわ。

次の補給の為に頑張るか…。



夜桜理想郷へ帰還し自室へ戻った羅刹。

雅若は席を外し、肆季が羅刹の近くに居ると羅刹は気になることが。


「む?肆季、何やらご機嫌だな。」


「おやおや、そのような事…」


「顔に出とる。

ユムルちゃんと話せたからかえ?」


「…()()と?」


羅刹がユムルの名前を出した時、

先程までの笑みを一瞬消して聞くことを選んだ肆季。


「雅若から聞いたぞ。

ユムルちゃんが気になっておると。」


「あぁ。

恋愛対象としての意味ではなく、

好奇心を擽られるのです。」


「ふむふむ。」


ユムルの姿を思い返しながら羅刹に語る肆季は何処か愛しそうな表情をする。


「あの子は他人が喰われそうになれば平気で自らを差し出すでしょう。」


「そうだなぁ。」


「元人間が裏切った可能性がある故。

そう言って目の前で該当者を殺していった場合、

どのような行動をするのかと。」


「うへぇ…悪趣味ぃ。」


手が見えないほどの長くフリルがあしらわれている袖を口元に寄せてクスクスと小さく笑う肆季は愉しそうに見え、羅刹は尚のこと


(性格悪…)


と思っていた。


「ふふ…どれほど元人間を認知しているかは存じ上げませんが目の前で殺されれば流石に絶望するでしょう。怯えるでしょう。

その顔も見たいと思いますねぇ。」


「肆季と小童のとこの狗さんは似ておるよなぁ。」


「おや、シトリ殿と?心外ですね。」


いつもと変わらぬ表情だが普通に毒を吐く肆季を呆れ顔で見る羅刹。


「百鬼夜行でのお主の目が爛々としていたのが懐かしいわい。」


「あの頃、私も若かったので。」


「ウチに比べれば今も若かろうて。」


「それはそうでしょう。」


「否定してくれんのか…。」


「私は、羅刹様の使用人で良かったと思います。

()()()、私を救って下さったのが貴方様で良かった。」


「えっ!?急なデレ!?若い子怖い…。」


「本心ですよ。急に伝えたくなったのです。

貴方様への感謝を。」


困ったような笑みを向けられた羅刹は少し疑いにかかる。


「む〜…?

(肆季は自分の事や過去を話すことが大嫌いなくせに…何かおかしいぞ?)」


「おや、私の忠義を疑ってます?」


「いや、それはない。

でなければウチの傍に置かん。」


冗談で放った言葉を真面目に返され驚く肆季は目を見開き固まった。


「……」


彼の驚いた顔を見ていたら口から言葉が溢れてくる。


「ウチは、もう独りになりたくなかった。

他人の温かさを知ってしまったから。」


「…」


「だから、最初から独りだったお前に知って欲しかった。伝えたかった。」


「……」


いきなりの事で言葉が紡げない肆季に優しく微笑みかける。


「感謝されて良かった!

やはりウチは間違っていなかったんだ。」


「羅刹さま…」


「勝手に動いて雅若にはこっ酷く怒られたからな!

はははっ!

いや…あれは怖かったマジで。」


「…」


本当の事だけれども笑ってくれるだろうと思いちらりと彼を見やる…と。


「うぇっ!?」


肆季の右目からポロポロと涙が零れていた。

左目は髪で隠れて見えないが頬を伝っている雫で泣いていることは理解出来た。


「す、すみませ…き、今日は…変で…っ」


長い袖で目を擦る肆季。

羅刹は驚き声が裏返る。


「ィい!?いや…珍しいなぁ…

お前が感情を表に出すなど…」


「羅刹様もですよ…」


鬼達はお互い首を傾げる。

最初に口を開いたのは肆季だった。


「お嬢の部屋に行ってから何かおかしいのです…。」


「そういえばお前さんから甘ったるい匂いがする。」


「甘い匂い…?そういえば城で

レンブランジェ殿とフレリア殿が現れて…

その時に甘い匂いが…」


「小童、その事を知っているだろうか。

ユムルちゃん…大丈夫かの…。」


「お嬢、人間ですしね…。」


2人の心配も虚しく、

ユムルは寝るまで未だかつて無い感情に振り回されることとなる。



そういえば肆季もユムルの部屋に居たのよね。

大丈夫かしら…。

近いうちに肆季の過去や夜桜理想郷の事について書けたらいいなぁと思います!

でもユムルちゃんをティリア様と使用人達とわちゃこらさせたい欲もあります…難しいぃ…

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