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第62話『天使の梯子と言葉』

お久しぶりです皆々様。

1ヶ月に1話書けるかどうかになってきました…。

遅筆なのにも関わらずブクマを外さないで居てくださった方、あたたかい評価をしてくださった方、

貴方様に特大の感謝を!!


良かったら暇潰しにお供させてください!

「あ、あの…皆様…?」


「ユムル様、しゃがんでいてください。

多分天使種だと思うんで。」


「は、はい。」


アズィールさんに言われ、その場でしゃがむ。

するとバアルさんと肆季さんの背中で窓が見えなくなりました。


「肆季殿、魔法は?」


「使えますよ。

しかし…相手にはほぼ物理です♪」


お淑やかに笑って握り拳を見せていらっしゃる。

黒くてフリフリな着物を着ても尚細く見えるお身体ですが、袖がめくれ細く引き締まった腕が見えました。

綺麗なお顔でたまに忘れそうになりますが、やはり肆季さんも男性なのですね…。


「天使種に物理と。

流石はゴ…蛇ですね。」


「(うわ、今肆季さんに向かって絶対ゴリラとか言おうとしたなバアルさん。)」


「ふふ…褒めても何も出ませんよ。」


と仰ったのに袖の中から再度出た手には金属であろう黒色の扇が握られていました。

バアルさんはちらりと肆季さんを見ます。


「(この蛇、案外根に持つな。)」


「バアル殿?」


「いえ?

…しかしお嬢様の部屋で万が一があったら流石に困りますね。」


確かに…

ティリア様から頂いたお部屋が壊れてしまいます。


「では部屋で暴れなきゃ良い話ではありませんか。

相手は外にいるのですから!」


いつの間にかシエルさんがお部屋の中に!!


「うわぁシエルさん!」


驚いたアズィールさんを横目にシエルさんはバアルさんへ視線を向けました。


「バアル殿、此処はアズィール殿と肆季殿にお任せして我等は外へ向かいましょうぞ。」


「………そうだな。

お嬢様、シトリをお呼びください。」


「は、はい!」


紫色の呼び鈴を手に取って数回揺らすと


「シトリ=グラシャラボラス、此処に。」


シトリさんが一瞬で現れました。


「シトリ、お嬢様を御守りしろ。

間違えてもアズィールと喧嘩しないこと。」


バアルさんの睨みが怖いです。


「はぁい♡」


シトリさん、うっとりしていました…。


「行くぞシエル。」


「畏まりました。」


そう言うとお2人は同時に姿を消しました。


「…」


「肆季さん?」


目を細め何かをお考えになっていたのかもしれない肆季さんについお声をかけてしまいました。


「ふふ、良い使用人の方々ですね。悪魔種は。」


肆季さんは笑みを浮かべますが、

その笑顔は何処かシエルさんに似ています。


「グルルル…何故蛇が此処に…」


シトリさんが私の背後から手を回し、肆季さんを睨みつけ唸っていました。


「我が主の命令を貴方様の主は止めませんでしたよ。」


「ふん…そうですか。

ですがご主人様をお守りするのはこのボクだから出番は無いですよ。」


「えぇ、その方が良いので構いませんよ。」


「おいシトリ!肆季さんすみません!

折角来てくださったのに!」


アズィールさんが慌てて頭を下げました。

本当にその通りなので私も頭を下げなければ。


「ご主人様!?」


「おやおや姫君まで…

気にしておりませんし第一、この方々の主が簡単に頭を下げてはなりませんよ。

ほら、綺麗な顔を私に見せて下さいまし。」


綺麗…

ではありませんが申し訳なさが勝り顔を上げます。


「うん、誠に可愛らしい。

魔王様がお気に召すはずです。」


「ぇ、ぁ…」


し、肆季さんにとても気を遣わせてしまっていることがよく分かります…!!


「あのそのえっと…」


「何故困惑なさるのでしょう?本心ですのに。」


はわわわ…妖艶な笑みを受け、どうお話すれば良いか分からなくなりました!


「ちょ、ちょちょいストップ!!

肆季さんその辺で!

ユムル様を困らせないでください!」


「おや」


あ、アズィールさんが間に割って入って下さらなかったら私…

ドキドキで顔が火照ってしまうところでした…!!


「グルルルルルル…」


シトリさんの唸りが…

ぎゅっとして下さってるので体全体に響きます。

すると耳元で彼が


「ご主人様、お気をつけください。

あの蛇、袖の中に暗器を仕込んでいます。

血が染み付いた金属の匂いがします故あまり近づかぬよう。」


と仰いました。


「ふふっ…怖い怖い。何を仰ったかは不明ですが

そのように睨まずとも取って食いやしませんよ?」


同意を得るようにチラリとアズィールさんを見ました。


「っはは…」


これぞ苦笑…。

肆季さん、案外怖い方…なのでしょうか。


「しかし、

バアル殿とシエル殿はまだ戦っておりませんね。」


「な、何してんすかねー?

こんなに嫌な気配があるのに。」



一方、城外へ出たバアルとシエル。

彼らは紫色の空の一点を見つめていた。


「誰も居らぬのにこの嫌な気配は“天使の梯子”だったか…!」


「遠くに掛けられているのに明確な殺意。

ここまで来る威圧。間違いなくアイツが…

嗚呼、羽根が疼きます…!



ツェルシア=ヴェッラレーベ!!」



殺意を隠そうとしないシエルを横目に


「相変わらず言いづらい名前だこと。」


と呟き空から降りる一筋の太い光の着地点を睨みつける。


「ただ威圧を掛けたいだけなのか?

天使共が降りてくるようには見えぬ。」


「ツェルシアが直接手を出すことは中々ありません。ゲートを超え、この威圧を掛けられるのは彼くらいです。」


「坊ちゃんへの嫌がらせか。」


「恐らく。

ゲート番のルルは大丈夫でしょうか。」


「ここからでは分からぬな。

坊ちゃんに何か連絡が来ているかもしれん。」


「戻ります?」


バアルはシエルの問に答えず2人を呼ぶ。


「レンブランジェ殿、フレリア殿!」


「ほいほい!」

「ここにおるぞい!」


「ウェパルと一緒に外を警戒していて下さいませんか。」


レンブランジェは天使の梯子を見やる。


「ツェルシアが動き出したようだな。」


その言葉でフレリアも視線を追う。


「ユムル様を狙っておるやもしれぬな。」


「えぇ、なので」


「「良かろう!我らに任されよ!」」


期待通りの答えに胸を撫で下ろしたバアルは頭を下げ、シエルに目配せし姿を消した。


「シエル。」


後を追おうとしたシエルに声を掛けたのはフレリアだった。


「何か?」


「感情に喰われるなよ。」


「!」


息を飲んだシエルにレンブランジェも言葉を掛ける。


「戦うのは最終手段だ。」


「…」


双子の前では簡単に笑みを絶やし、

目を逸らすシエルにフレリアは浮いて近づいた。


()()、ユムル様は好きかえ?」


「…」


レンブランジェも一緒になってシエルの周りをクルクルと回る。


「分からない、は無しじゃよ。」


「好きですよ。」


「「お?」」


「ちゃんと、ね。忠告感謝致します。

私は魔王様に忠誠を誓った身。


貴方達が考えているような愚かしい真似は致しませんよ。」


シエルはいつものように微笑み、姿を消した。


双子はお互いを見つめて


「愚かしい真似?」


「裏切り行為の事か?」


「「ふむ…

別に考えてはおらんかったよな。



なんて言っても誤魔化せんよな。」」


と笑いあっていた。

ちなみに、名前だけ出た天使のお偉いさんである

ツェルシア=ヴェッラレーベですが、

本来ヴェッラリーベにしようとしたのです。

しかし直訳すると“白い”と“恋人”になってしまいかの有名なお菓子になってしまうので変更しました。


天使種であるレウ、ラスト、ツェルシアは色々な言語の“白”を文字った名前にしているのをお気づきの方はいらっしゃいましたかね〜!

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