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第58話『一緒に寝ましょ』

大変長らく更新してませんでした!!

なのにも関わらずブクマをそのままにして頂き、

寧ろ増やしていただきほんっとうに感謝しております!!

遅筆なのは変わりなさそうで…すみません…。

でももしよろしければお読み頂けると嬉しいです!

少し長めなのでお時間ある時にぜひ!

ティリア様のお部屋の扉がゆっくりと開かれます。

あぁああ…逃げ出したい!!

今すぐにでも逃げ出したいです!!

緊張しすぎて鼻が冷えてきました!!


「来てくれたのねユムル!待ってたわ!!」


優しいティリア様のお顔とお声で不思議とあれだけの緊張が解れるような感覚に。


「…」


つい言葉を失っていると、ティリア様は小首を傾げます。


「ユムル?冷えちゃうでしょ?

ほら、こっち来なさい。」


私の手を優しく取って、ティリア様の大きなベッドへ。

ティリア様は高級そうな黒色のお召し物です。

それに、いつものお優しい表情です。

ドキドキしているのは私だけ…なのでしょうね。

そうですよ、ティリア様なのですから。

私なんかにドキドキするはずありません。

自惚れてました。


今、ティリア様は何をお思いなのでしょうか。



(あぁあぁあぁああぁゆゆゆユムルと!

自然に手を繋げちゃった!!

ど、どうしましょうノープランよ!!!

何か考えようと思ったのだけど纏まらなかった!!

だって1つに絞れなかったんだもの!!

あーー手汗大丈夫かしら!!?

全身がドキドキ煩いのだけどバレてないかしら!?

やばい気を抜くと手ぇ震えるっ!

いけないティリア、顔だけでも平静を装え!)



ティリア様は私の方を向いて微笑んでくださる。



「さぁユムル!どかっと寝転がって!

アタシむぎゅってしちゃうから!」


「ひゃ、ひゃい!」


い、急いで寝転がらせて頂かなくては!

お待たせしてはいけません!

でもお淑やかに!


「ふふ、焦らなくて良いのよ。」


私が横にならせて頂くと、

左からティリア様も横になられる。

はわわ…

私の背中とティリア様が近いのが分かります…!!


「ユムル、こっち向いて?」


「ひぇっ」


おおお恐れ多すぎます!!!


「ユムル。」


ひぇえええっ…!!

ティリア様が動けない私をむぎゅって!!?

心臓ってこんなに煩くなるのですか!?

身体全身が脈を打って煩いです!!

ティリア様に聞こえてしまう!!


「お願い、こっち向いて?ユムル。


(いやいや何言ってんのアタシ!!

ユムルの可愛い顔と目が合ったら心臓止まるわよ!?

今ドキドキしすぎて頭まで脈打ってるのよ!?

死にたいのかしらアタシ!!?)」


「…」


ずっと背を向けるのも失礼すぎますよね…

でも、でも!!


私もティリア様のお顔を見たい…。

意を決して私はティリア様の方へ向きます。


「「ヒュッ」」


ティリア様のお美しいお顔が目の前にあり、息が詰まりました。

気のせいかティリア様も息を詰まらせたような…

いえ、お顔は優しく微笑まれてますし私なんかに息を詰まらせたりなんてなさらないです。


(やばい死ぬ。

ユムルってこんなに可愛かった??

いや可愛かった、それは当たり前。

だからこそ…だからこそドキドキが止まらない!!

顔だけ、顔だけは平然と!

お願い保ってアタシの表情筋!!!

ぎゅってしたいけど身体がドキドキうるさすぎて

バレちゃう!!

ユムルの前だからこそ冷静に、スマートに、カッコよく、美しくあれティリア!)


ティリア様は私の頭を大きな手で撫でてくださる。


「寝ていいんだからね、ユムル。」


「ひ、ひゃい!」


「っふふ…ユムル。」


「へっ!?」


「あら、呼んだだけよ。」


「えっ」


「貴女の表情、豊かになった気がするわ。」


「ひょう…じょう…?」


「驚く顔、可愛すぎよ。大好き、ユムル。」


「わ、私もです…!」


「そう、ありがと。

(いつかは友情の、敬愛の好きだけではなくて、対等な愛情の好きを言わせてみせる。

だから待っててねユムル。


絶対貴女を惚れさせちゃうんだから。

ぎゅってしちゃお。)」


「はわっ!?」


「もう寝なさいユムル。

アタシがこうしててあげるから。」


「ぃぇ、そのあのっ」


「あら、アタシの言うことが聞けないのかしら。」


「ね、寝ます!お、おやすみなさいませ!」


「えぇ、おやすみ。」



1時間後。


ユムルが寝て、起きる前にキスしちゃおうとか思ったのに…



ユムルが一向に寝ない。


ユムルから焦りの想いがビシビシ伝わってくる。

というか起きていることがよく分かる。

困ったわ、どうしましょ。


女の子…ましてや人間の女の子がこんな時間まで起きてると肌に良くないわ。

でもユムルには自然に寝てもらいたい。

最近ユムルに睡眠魔法かけすぎな気がするし…

でも寝れないくらいなら…。


あーーー何がしたいのよアタシはッ!!!!

ユムルと!一緒に!寝たいだけなのに!


アタシは別に悪魔だし寝なくても良いのだけど!


あ、そうだアタシ純粋な悪魔種じゃないんだった。

悪魔種と妖精種のハーフってことよね。

だから昔から他の奴らと違ったのね。

争いは嫌い、人間はそこまで嫌いじゃない。


だから今こうしてユムルと居られる。


皆、アタシの事を分かっているのに仕えてくれている。


ユムルを拾った時も嫌な顔を1つせず…

あー…いえ、ベルはしてたわね。

けれど他の子達は殆どしなかった。

レージェとフレリアが手を回したのかもしれないけれどチュチュやアズを始め皆良い子ばかり。


あぁ、幸せ者だわ。

純粋な悪魔種じゃないから…

ママとパパのお陰でユムルを愛せるのよ。


パパにはそこの所感謝してるわ。

そこだけね!!


…でも皆、純粋な悪魔種なのにどうしてユムルに優しく出来るのかしら。

アタシと一緒だからとか思ってたけどアタシ違うし…今度誰かに聞いてみるか。


あら?待って。

ユムルから焦りの思いが消えた。

こ、これは…今なら行けるのでは!?

こ、これは練習!!練習だからねユムル!!


というか事故よ!!!


何か言われても事故で覚えてなァいとか言うわアタシ!!!必要な嘘だもの!!


やっとユムルの唇に触れ……


むぎゅっ


…?


目を開けると黒い手袋があった。

な、え?何これ。


「ずぅっと居たのに全く気付かれないとは考えものですねぇ?」


この声は…


「シトリ!?」


「ご主人様が起きてしまいますよ。」


顔を上げると嘲笑気味の顔のシトリが居た。

いつの間に!?


「ご主人様の番犬ですから。

透明になっているだけで気配は消してなかったのに

気付かれないとは驚きました。」


「え、嘘…」


緊張しすぎて気付いてなかったのアタシ…?

頭が脈打つの感じすぎた?


「それは兎も角。

ご主人様に手ぇ出そうとしてましたね?」


自らの長い黒髪を手で払い除けアタシを睨む。


「しかもご主人様が寝ている時に…変態ですねぇ!」


「シトリにだけは言われたくない台詞No.1よッ!!!」


「んむ…」


「っ!」


いけないユムルを起こしちゃう!

冷静に冷静に…。


「何でアンタがアタシの部屋にいんのよ。」


「先程も申し上げましたがボクはご主人様の狗。

番犬なのでお傍を離れる事はありません。」


あ、そう。アンタがその気なら…


「シエル。」


「此処に。」


「命令よ、シトリを摘み出しなさい。」


「御意。」


シエルは一瞬でシトリの背後を取り、彼の首のベルトのようなデザインのチョーカーの隙間に手を入れた。


「ぐえっ」


「行きましょうワンちゃん。」


そしてズルズルと引きずった。


「あぁっ何と強引な…!惚れ惚れしうぇっ」


シエルはうっとりしているシトリのチョーカーを捻り、首を絞めている状態と等しいまま部屋を出た。

シエルが笑顔なのが怖い。

…それはともかく嵐が去った。


これでユムルと2人きり!


改めてユムルの顔を見ると綺麗な顔よねぇ。

睫毛長いし肌も艶々。何より顔小さっ!

え、アタシの手の方が大きくない?

お人形さんねほんと。

出会った時は心もお人形さんみたいだったのに…

今はちゃんと笑えてるし驚く顔も悲しむ顔も喜ぶ顔も見えるようになって嬉しいわ。


ただ、自分に関して無関心すぎる。


普通自分が死ぬかもしれないと告げられたら

驚くものよね。

天使種の話をした時、口では驚いたと言っていたけど心があまり驚いていなかった。

実感が無かったから?

いいえ、違う。

ユムルにはどうにかして自分を大切にして欲しい。

どうすればいいのかしら。

こればかりは少し強めに言わないと…


でも、

この子の事だから言ったところで治らないでしょう。

ゆっくりと時間を掛けるしかないわね。


天使種さえ居なければユムルに怖い思いさせなくて

良いのに!


天使種は魔王の座にかけて絶対にアタシが全て抹…


「てぃりあさま…」


「っ!」


ユムル、起きて…


「ねないと…おはだ…よくない…です…」


あらやだ寝ぼけてる。かわい。


「えぇ、ちゃんと寝るわ。

貴女が居てくれるから。」


アタシは考えるのを止めてきちんと寝転び、ユムルを抱き枕にして目を瞑った。



コンコンコンッ


「坊ちゃん、お嬢様。お目覚めのお時間ですよ。

おや…坊ちゃん起きてますね。」


まぁ当然寝れるわけないわよねーー!!

ユムルむぎゅーってしたもんねー!!

可愛すぎて緊張しすぎて無理だったわー!!

でも…


「やっっっっっと寝れそうだったのに…ベルのバカ。」


「自分が言い出したことはしっかりと責任を持ちなさいと何度も言ってますが。

王のくせに自分の健康管理もままならいのですか。」


「うっさいわね!何のためのアンタ達よ!」


「はぁ…今日もご機嫌ななめですね。

お嬢様ご存知ですか?

坊ちゃんは毎朝このように文句を垂れるのですよ。」


え、ユムルはまだ寝て…


「はわ…」


ちゅるんとした真っ黒なおめめとばっちり目が合った。


やっっば。


「べ、べるのうそつきー。

あたしいつもそんなキゲンワルクナイワヨ」


「おや、証拠もありますが。」


と手のひらに1匹の蜘蛛を乗せた。


「はぁ!??」


「ね、お嬢様。」


「はわわ…」


眠いから感情の起伏が激しすぎてやばい!

ユムルの前なのに!!


「ベル!ユムルから準備なさい!」


「は。

チュチュ、セレネ、 任せたぞ。」


「「はーい!」」


アタシ顔を洗ってこよ…!

ユムルと離れるの名残惜しい…!!

と思っているとユムルがアタシの袖の裾を摘んだ。


「あ、あのティリア様…」


「ん?」


「う、うう嬉しかったです…。

ご一緒できて…。」


え、嘘…

え、何この可愛い生き物。

え、どうしましょ言葉が出ないわ。

あぁダメね。

どうしてもむぎゅってしたくなる!!


「ユムルー!!」


「わわっ!」


「アタシも嬉しかったわ!!

温かくてドキドキしたわ!!

またお願い聞いてくれる?」


「はいっ!」


こうして、ユムルとのドキドキしすぎな幸せ1夜が瞬く間に終わった。


「では本日の公務です。」


「…」


銀フレームが光る眼鏡を掛けたベルの手から大量の書類を机に置かれた。


「随分と間抜け面な所を見るに昨夜は楽しめたようですね。ふ…悪魔にも隈が見えるとは新発見だ。」


「アンタねぇ…!!」


腹立つ…いつにも増して!!


「して、坊ちゃん。

羅刹殿との面会があります事、覚えてらっしゃいますか?」


え、羅刹?


「行ったばっかよ?」


「忘れてますね貴方。

それはイレギュラーだったんです。

本来お話するのは今日です。」


「…中指立てていい?」


「ご随意に。」


「はぁ…羅刹もその使用人も腹立つのよね…

今日のアタシ機嫌ワルワルよ。」


「思うままに暴れれば良いじゃありませんか。」


「は。」


「ただ、お嬢様に見られても良いのならですがね。

私は止めません。

何せ彼らには私も腹立ちますから。」


ベルの笑顔が黒くてこわぁ…。

って醜いアタシが見えちゃうじゃない!

やだもう!


「分かったわよ。舌打ちだけで我慢する。

ただ、今回のお付は貴方とブレイズにしてちょうだい。」


「ブレイズですか?」


「アタシを落ち着かせてくれるし、

もしかするとやけ食いしたくなるかもだし。」


「……畏まりました。

では、いつものように早ーく書類整理お願い致しますね魔王様。」


「ほんっっっとくそ。」

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