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第16話『ゆびきり』

誤字脱字多すぎ問題に直面しています…本当にすみません…反省しておりますが直らないんです!!!(逆ギレ)

「ユムル。」


「は、はい。どうかなさいましたか?」


「…呼んだだけ。」


「?」


ユムルをまだ抱きしめているのに何故こんなにも不安なの?やっぱルルのせいよ!だってアタシの生命狙ってくる人間に対しても殺される不安とか無かったし!!


ルルと話したせいでユムルが居なくなってしまうんじゃないかと怖くなってきたわ!!この気持ちは久し振りよ!パパが存命中の時くらいよ!!


「てぃりあさま…」


「なぁにユムル!」


「く、くるし…です…っ」


「あらやだごめんなさい!考え事しててつい!」


離したくないと思っていたせいかユムルをぎゅーってしすぎちゃったのね…いけない、今のアタシったら冷静のれの字も無いわ。

落ち着けティリア=イヴ=ヴィランローズ。


アタシは魔王よ。魔族のトップよ。

人間の女の子1人に何を戸惑う必要があるの!

そう!人間1人!!ほら、ユムルだって今も無表情で…


「はぁ…っ…はぁ…っ」


「ひぇ」


ゆむる の あらいこきゅう で

てぃりあ は 5000 の ダメージ を うけた!

こうか は ばつぐんだ!▼


「う…。」


ゆむる の ついげきこうか はつどう!

なみだめ で てぃりあ は 5000 の ダメージ!

こうか は ばつぐんだ!▼


「うぐっ…ゆ、ユムル…アタシのライフはもうゼロよ…」


「え??」


胸がキュンキュンどころがズキュンと来るの何!??新たな病気!!?


「けほっ…ティリア様?胸を押さえてどうなさいましたか?もしや体調が優れないのですか?

ご無理なさっているのですか?」


ユムルはアタシの顔を覗き込む。

心配してくれるなんて本当に良い子…。


「し、心配しないでユムル…アタシは平気よ。」


ユムルの可愛さにやられただけだから!

…とは言えず。


「でも…先程の方、ルルさん…は怖かったですしティリア様は何か隠されてますか?」


隠す…ほどでもないけど黙っている事はユムルが走って来てくれた原因、実はアタシでしたーってことくらいかしら。アタシ実は怖いんだとか思われたくない…。だからそれを隠して笑顔で誤魔化す!


「本当に何も無いわ!

信じてユムル!怪我も何も無いわよ!」


「……分かりました。信じます…。」


「ありがとう、嬉しいわ。」


「…」


あら、ユムルが目を合わせてくれなくなっちゃった。

…え!?ちょ、え!?

この一瞬で嫌われたのアタシ!!??え!?


てぃりあ は こんらん した! ▼


「ゆ、ユムル??」


「……」


「こ、こっち向いて??」


「…」


や、ややややばい。

俯いて本当に目を合わせてくれない!!

やだ!ユムルの綺麗な顔が見れないなんて耐えられないわっ!!


どどどどうしましょう!!

げ、原因を教えてもらわないと!!


「ゆ、ユムル…?

アタシ…怒らせるようなことしちゃった?」


「いいえ。」


即答!?


「じ、じゃあ何で目を合わせてくれないの?

アタシ悲しいわ、寂しいわ。」


左手を掬っても下を向くユムルの表情を見るために跪いて覗き込む。

見えたユムルの表情は涙を堪えている顔だった。


「…私、やっぱりティリア様のお荷物なんだと…思って…。」


「え?」


待ってどういう事??


「ルルさん…は、私が理由で此方へ来られたのですよね…。あの方を見た時、ティリア様のお顔はとても嫌そうでした。ルルさんとの会話でティリア様が傷ついてしまったらと思うと…申し訳なくて…。」


「…え???」



何がどうしてその考えに思いつくのかしら?


てぃりあ は まだ こんらん している!▼


と、取り敢えず違うということを伝えないと!


「ゆ、ユムル?大丈夫よ、アタシ本当に嘘なんて吐いてない。貴女のせいで傷付いたなんてそんなことは無いの。さっき信じてくれたじゃない。」


「……はい…。」


うーん…まだダメかしら。


「…分かった。

怪我したら素直に言うわ。それなら安心出来る?」


「……はい。

絶対、絶対ですよ。ゆ、指切りして下さい!」


ユムルは小指だけ立てた右手をアタシに向けた。

え…指切りって!!?指を…切るってこと!?

ユムルの小指を!??


「に、人間ってなんて恐ろしいことを思いつくの!?

ユムルの指を切れるわけないじゃない!」


ユムルも何で冷静に小指を差し出せるわけ!?


「ティリア様、私のしたい指切りは違いますよ。

指は切らないです。物理的には。」


「へ?」


変な声が出たことよりもユムルのしたい指切りが気になったから我慢する。


「ティリア様も私と同じ感じで小指を立ててください。」


「えっと…こう?」


「はい、ばっちりです。では失礼しますね。」


アタシの小指にユムルの小指を絡めてきた。


「え、え??」


「これは約束だよ、という意味なのです。

歌もあるんですよ。」


「そ、そうなの?じゃあちょっと待って。」


微笑んだユムルが可愛くて胸が苦しくなりつつも右手の黒い手袋を外した。

そして今度はアタシがユムルの小指に触れる。


「ふふ、少し照れくさいわね。それで歌って何?」


首を傾げるとユムルは「えっとですね…」と恥ずかしそうに呟いてから、手を小さく上下に揺らしつつ歌を口ずさむ。


「ゆーびきーりげーんまーん嘘ついたら針千本のーます、ゆーびきーった。というものです。

歌うのはちょっと恥ずかしいですね。」


……嘘吐いたら針千本飲ます???

え?恥ずかしがる姿も可愛いユムルの小さなお口からすっごい物騒な言葉が聞こえたのだけど。

え?空耳??



「ティリア様…?

あ、これは実践するわけではありませんからね!

あくまでこれは約束だよと、破ったら怖いよという事を伝える為の歌ですから!本当にしませんからね!」


「……ソウ。」


に、人間って思った以上に物騒なのね…。

一瞬ユムルが怖く見えたわ。

指切りは約束の大切さがよく分かる脅し文句ね。

1つ賢くなったわ!


てぃりあ は こんらん が とけた !

かしこさ が 1 あがった !▼


「坊ちゃん、そろそろ入室して宜しいでしょうか。」


扉の向こうからベルの声が聞こえる。

あ、そうだユムルとお茶会するんだった。


「えぇ、入りなさい。向かい側にユムルも座って。」


「は、はい!」


ユムルが席に着くと同時にベルとアズがお茶菓子を持って入室する。

うん、もう紅茶の良い香りがするわ。


「こちらが本日の紅茶と、坊ちゃんご要望の

レモンクリームタルトでございます。」


ベルがアタシの前に、アズがユムルの前に紅茶とタルトを置いてくれる。パーティーの時にユムルが食べたケーキとはまた別の物を作ってもらったのだけど…この子は喜んでくれるかしら。


「…」


輝く瞳でタルトを凝視している…。

口が小さく開いてるわ…可愛い。


「凄いです…ティリア様、タルトが光ってます!」


確かにクリームの上の沢山のレモンがコーティングされて光って見える。輝く物が好きなのかしら?

宝石とか良さそう?


「ユムル様!ブレイズさんのタルトって超美味いんすよ!マジでオススメです!」


アズの言葉にまた目を光らせるユムル。


「そうなのですか…!

是非作り方を学びたいです…!」


作り方って…ミートパイの時といいホントに熱心なのね。探究心ってやつなのかしら。

ユムルのしたい事は全部させてあげたい。

アタシからブレイズに相談しましょうかね。


「坊ちゃん、お嬢様、紅茶の風味が逃げる前にお召し上がりください。」


相変わらずしかめっ面のベルが急かしてくるから食べましょうかね。


「じゃあユムル、食べましょう?」


「は、はい!い、頂きます!」


「いただきまーす。」


と言いつつアタシは紅茶を啜ってタルトを頬張るユムルを見る。フォークで小さくタルトを切って食べるユムルは小動物のよう。

くぅ…撫で回したい…。


「…!」


ま、凄い目がキラキラ…。

目は口ほどに物を言うって聞いたことがあるわ。

まさにそれね。


「どう?美味しい?」


「…!」


無言で何回も頷くユムル。

こんな嬉しそうな顔を見れるなんて…

自分の事のように嬉しいわ。


「坊ちゃん。」


「ん?なぁにベル。」


「貴方様の命令は絶対、という事でお茶会に賛成しましたが…お嬢様も坊ちゃんも昼食がまだですよ。」


「「あ。」」


しまった…アタシはお昼食べなくても平気だから気付かなかったわ…。というか!


「ベルもアズも気付いてんなら言いなさいよ!」


「「熱意に負けてつい言い出せず。」」


こういう時だけ仲良くしちゃってもー!!


「アタシだけならまだしもユムルの事は気にかけなさい!」


「だって時間過ぎてましたしぃ…ね、バアルさん。」


「えぇ、それにお2人の時間を邪魔すると尚のこと

坊ちゃんに怒られると思いまして。以後気をつけます。」


「ます!」


まっったく反省してないわねこの蜘蛛と猫は…!

昔からいっつもこうなのだから!


「あ、あのバアルさん。」


ユムル?


「はい。」


「お昼ご飯は…もう用意して下さったのですか?」


「いえ。出来たてをお出しする為にお嬢様が食事の席に着くまでは。なのでお嬢様が食事を摂らない場合は出しません。量は朝食よりも少し多いです。」


「そ、そうなのですね…!」


「ユムル、ご飯食べる?」


「えっと……」


手をこまねいているわね。

言いづらいこと…あ。


「もしかしてご飯あまりいらない?

遠慮なく言って良いのよ?」


ユムルは申し訳なさそうにこくりと頷いた。


「タルトとかは食べられそう?」


「(こくり)」


そんな申し訳なさそうにしなくていいのに。

アタシもお菓子なら別腹だし。


「分かった。ベル、アズ。お願い。」


「「畏まりました。」」


目線と声で合図し2人は退出。


「ティリア様?」


「楽しみにしてて。

待ってる間にタルト食べてましょ。」


うん、流石ブレイズね。

酸味も甘みも程よくて美味しいわぁ〜!


「ユムル、嬉しそうね。気に入ったかしら?」


「はい!とっても美味しいです!」


「良かったわ!」


「…あの、ティリア様。」


「ん?」


「私、やっぱりお掃除とかお料理とか何かしてないと落ち着かなくて。チュチュさんやアズさんのように

お手伝いしたいのです。」


「え?しなくて良いわよ。そのうち慣れるわ。」


「お願いいたします!」


頭を下げるほど?

でもアタシはユムルを休ませてあげたい。

あのクソな家族の反応と出会ったばかりのユムルを見るに大変だったことは一目瞭然。

だから尚のこと趣味とか楽しいことに費やして欲しい。

ユムルのしたい事は全部させてあげたいとは言ったけどそれはダメ。

一瞬で矛盾しちゃったけど分かってもらいたい。

拒否する為にアタシは首を横に振った。


「だーめ。貴女は趣味を見つけなさい。

それで幸せな時間に費やして欲しいの。

チュチュやセレネに色々持ってこさせるから。」


「…………ダメですか?」


うっ!!うるうる目で見つめられると首を縦に振りそうになる!!鬼になりなさいティリア!


「だっダメ!アタシの城は前の家とは違うのよ!

貴女は働かなくて良いの。

それにやろうとするならチュチュも怒るわよ。

ユムル様は動かないで下さいーって。」


チュチュを話に出すとユムルは口をきゅっと結び、渋々頷いた。


「…分かりました…。」


「ありがとうね。」


ユムル、段々と感情が出るようになって来たわね。

良い変化だわ。それがたとえ不満であっても。


「坊ちゃん、お嬢様、失礼致します。」


バアルとアズが再び入ってきた。


「ベル!アズ!」


「若様、ユムル様!こちらをどーぞ!」


アズは小さなバスケットを机に置く。

中はピンク、オレンジ、緑など様々な色のクッキーだった。


「そちらは野菜のクッキーでございます。

ブレイズ独自の製法で普通の野菜くらい栄養価が高い物です。昼食を召し上がらないのならばせめてこちらは召し上がってください。」


ベルが説明しながらアタシを見てくる。

クッキーだから野菜でもた、食べるし!!


「い、頂きます。」


ユムルは緑のクッキーを手に取って食べる。


「…!美味しいです!

お野菜の味が全くありません!」


「えぇ。ブレイズの努力の結晶です。野菜の味が残っていると坊ちゃんが口うるさいですからね。」


「ちょっとベル!!」


「おや?真実を告げたまでですよ。それにお嬢様?」


「は、はい!」


む、ベルがユムルのすぐ側に。ちょっと何する気!?


「坊ちゃんは嘘吐くのがド下手ですので心配は無用ですよ。」


「え?」


「な…っ!!」


なんですってぇ!!?


「あー…確かに若様嘘下手くそですね。

チュチュですら分かっちゃうくらい!

だからティリア様が普通の時は嘘吐いてませんよ!」


「そ、そうなのですか?」


「えぇ。坊ちゃんが生まれてずぅーーーっと世話してきた私が言うのですよ。」


「それなら…本当ですね。私ら疑ってしまって…。

す、すみませんでした!」


「やっぱ疑ってたの。

…良いわよ、気にしてないわ。」


でもユムル以外にディスられてるのは癪に障るわね…!


「ではお楽しみくださいませ。行くぞアズィール。」


「はーい!何かあればお呼びくださいね!」


そう言い残してベルとアズが出ていった。

もういいわ!邪魔者も居なくなったしユムルとの時間を楽しみたい!


「ユムル、朝みたいにまたお話しましょ!

今度は何を話そうかしら!」

アズィールは猫耳も生やせます…(小声)

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