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春の光

作者: 石田 幸

どんなときも季節は巡る。

 少し肌寒い四月の朝。

 

 人気のない公園にポツンと咲く満開の桜の下にキジバトが無口に群れている。

 春の白い光が眩しく反射して、桜の花弁が仄白ほのじろく透けてまるでステンドグラスのようだ。


 今、世間は未知の伝染病が蔓延し、緊急事態宣言が出され、外出自粛要請を受け、人々は皆不安と恐怖におののいている。

 新年度を迎えたというのに、街に人影はまばらになり、店先には休業の貼り紙がうら寂しく風に揺れている。

 

 そんな折柄、「早朝ならば」と近くの川辺から堤防を走った。

 堤防から静かな住宅街に下りようと足を緩めたその時、視界にパッと眩しい白がはじけた。

 

 ー桜やー


 どんなに鬱々とした日々でも、季節は巡る。

 家に引きこもる毎日で気付かなかったが、今は春。桜の季節。


 「前を向かんと。」


 私は思い切り四月の青空に向かって、伸びをした。

 一陣の春風が吹き、公園の桜の花吹雪が空に舞い上がる。

 キジバトの群れがはじかれたように、バタバタと春の青空に散った。



今世間には未知の伝染病が蔓延し、皆一様に不安と恐怖におののき、打ちひしがれる毎日を送っています。そんな時でも巡る季節に生命力と希望を感じ、久しぶりに書いた作品です。

 伝染病による不安、恐怖、ストレスで疲弊した心の一服の清涼剤になれば幸いです。

 ご一読ありがとうございました。

 石田 幸

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― 新着の感想 ―
[良い点] キジバトで始まってキジバトで比喩した桜で終わる、見事な表現に感服しました
[一言] 伝染病で大損をこいてネチネチと引きずっていましたが、自分も前を向いて頑張ろうと思いました!羽ばたきたい!
[良い点] 透きとおるような簡潔な詩情に胸打たれました。日々不安が募るなか、静かで暖かな文章に救われます。 [一言] 読ませていただきありがとうございました。
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