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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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不平不満











『危ない』


 右手を伸ばしてなんとか刃を掴み取った。


 寸前で俺が抑えなければ、こいつの顔半分に一生の傷が残るところだった。



「あ……」


 剣の反逆に驚いたのか、ドスンと尻もち。



「にゃ、にゃあ」


 刃を捨てると血に気づいたルビーが心配そうに見てくる。


「大丈夫だ」


 握り拳を作っても、近づいてきたルビーが舌を出して催促する。


「にゃああ」


 治療しないと大変な目に遭うにゃ……と目で訴えられている気がした。


「そうだな、ルビーにお願いする」


「にゃ!」



 不意に武器を売ってくれたオッサンの一言を思い出す。


『――細すぎて、対人戦で折れやすいという致命的な問題があってな』


 素人に持たせれる物ではなかったんだ。


 折れて、当然。



「も、申し訳ありません! 武器を壊してしまいました!」


 気づくと座り込んでいた奴隷ちゃんは髪を乱しながら立ち上がっていた。


「これは俺の責任だ、気にするな」


「壊したのは私です、その怪我も私が受けるべきで……」


「そうだな、今後はたくさん怪我するぞ」


 剣がなくなった代わりに木の棒でパコンパコンと練習させた。


 センスは……まだない、まだ分からない。


「そろそろ帰るぞ、陽が落ちる」


「はい!」


 ホウセンカに戻って適当な剣を遠目に探す。掘り出し物は特に見つからなかった。


 数日間は宿のグレードをあげようと思っていたんだが、既に俺の部屋は新しく取られていた。


「いつもの部屋で、あなたのこと待ってましたよ」



 その部屋に入ってみるとカゲが!



 なにやら手頃な鞘を抱えている。


『エム、プレゼントだ』


 渡された鞘付きの剣は全体的に黒い仕上がりで、刃も黒く仕上がっていた。


 作った人間の名前が記されているはずだが、見えない。


『壊れたら、カゲがお願いを叶える』


 そう言って大切そうに左手首の輪を見せてくれた。


『残念だな、二度と願いは叶いそうにない』


 俺は剣を壊すことが苦手なんだ。


「そのうち、壊れる」


「だといいな」


 カゲの手を口元に手繰り寄せ、指先にキスを施した。


「これは礼だ」



「感謝される覚えは……」


「都合が良かったんだ」


 壊れた剣の代わりに悩んでいたからな。


「そ、その女は誰だ」


 カゲが奴隷ちゃんの間に割り込んでくる。


「奴隷と申します」


「どれい……?」


「はい」


 淡々と己の地位を喋る奴隷ちゃん。


「本名が聞きたい」


「ドレイ、いつもそう呼ばれていました」


 奴隷商人の元で生まれたら、名前も奴隷でおかしくはない。



「……エムは、カゲのモノだ」


「知っています」


 奴隷ちゃんはそんなに興味がないのか、部屋の隅に行くと座り込んでしまった。


「なぜ奴隷を? カゲがなんでも」


「ただの報酬」


 それからしばらく、奴隷ちゃんに関することを聞かれた。


 根掘り葉掘り、いつ行動を共にして、なにをしていたのか。


「安心してくれ」


「怪しい」


 心配性なカゲを説得していると奴隷ちゃんが寝てもいいか聞いてきた。


「ベッドが……」


「いえ、地べたで寝れます。寝る許可を頂きたくて」


「いつでも寝ていいぞ」


 右手を枕にしてからは静かになった。



「ほら、カゲも寝ろ。寝過ごすと置いていくかもしれないぞ?」


「……ふんっ」



 不満そうにベッドを陣取ったカゲはルビーと仲良く寝始めた。


 対して奴隷ちゃんは厚手な服でもないのに、布一枚かけていない。


「リドル、これは秘密だぞ」



 俺は羽織りを奴隷ちゃんにかけた。








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