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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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クレア・ウィザード









 クレアの隣を歩きながらギルドを出て更に少し歩く。


『どうやって稼ぐんだ?』


 ピッケルを使うわけでもないらしく、素直に疑問。


「武具が高値で売れることは知ってる?」


「ああ」


 良い武器が高値で売れるのは当たり前のことだ。


 左の鎧なら死ぬが、右の鎧なら助かる。


 どっちが選ばれやすいか? 簡単な話だな。


「国に売ると、安物でも結構な金になるんだよねー」


 どうやら俺の予想は違ったらしい。


「そうなのか?」


「この辺の剣はほとんどクレアの名前が刻まれてる」


 なんとなく自分の剣を見てみるが、おっさんの名前が刻まれていた。


「これは違うが?」


「とにかく、クレアって名前が高いの!」


 ネームバリューというやつらしい。


「そうなのか」



 しばらく歩いて豪華な家の前でクレアが足を止めた。


『ここ、私の家』


 鍵を差し込み、カチャンと捻られてドアが開く。


「入って」


「お邪魔する」


「おにゃまする」


 遠慮なく上がって周りを見ながらクレアについていく。


 白い壁は清潔感がある。


「まだ見て回ることじゃないと思うけど」


「招かれることはほとんどなくてな」


 家の中だと言うのに長い通路は豪邸かもしれない。


 右のドアに入ると暗い部屋だった。


 よく見ると白い長物が隠れている。


「これ全部、剣」


「凄いな」


「他よりは良いけど自信作じゃない、これを今から売りに行くつもり」


「ああ、先が見えてきたな」


「どこが? めちゃくちゃ多いよ?」



 俺が持つという未来が見えている!



「任せろ、多分行ける、な!」


 ルビーに訴えると「にゃ!」と返してくれた。


「荷台とか面倒だから、手持ちでお願い」


 とりあえず、ルビーの腰と背中に剣を添える。


「今だけ立派な騎士だな!」


「にゃー」


 俺も背中と腰に、ちなみにクレアも装備することになった。


「おもっ」


 あとはどうやってこの武器達を手持ちに収めて持っていくか!


「…………」


 良い案が浮かばないので両手を信頼することにする。



 五本の束をルビーと一緒に両脇に収めてみた。


「にゃ、にゃ!」


 ルビーは嬉しそうにピョンピョン跳ねる。


「じゃあ行くぞ!」


 クレアの家を後にして、売る場所にホイホイついていく。


「どこで売るんだ?」


「国と繋がってる商人に売ればいいから、宿に居るんじゃない?」


 宿に寄ってみると商人自体は存在したが、部屋で休息を取っていないようで、来るのを待った。




『ん? 誰かな?』


『クレアの剣を買いませんか?』


「聞いたことあるような」


 ここではアレですよと、商人に言われて部屋の中で小さな話を再開する。


 両手に武器を抱えた人間が二人も居るなんて目立つからな。


「クレアというと、例の名前が刻印された武具達のことで?」


「はい、クレア・ウィザードは私の名前でございます」


 商人が顎をコシコシと撫でて一言。




『ついさっき、買いましたぞ?』




「は?」


 クレアの気品が抜けた声が響き、ルビーが釣られて武器をカシャンカシャンと落としてしまった。


『にゃあ、にゃあああ!』



「ちょ、何落としてんの?」


 このままではルビーが可哀想なので、俺もガシャンと落とすことにした。


「目の前で落とすってどうなの?」


「違う、落としたんだ」


「うざ」


 想定外の連続でクレアは機嫌を損ねているらしい。


「それより、クレアの武器を他の人間が売ることは仕方のないことなんじゃないか?」


 実際、目の前の商人に売れば、他の人間に売られることになるのは避けられない。


「他だったら仕方ないけど、ホウセンカで許してるわけないから!」



 クレアは商人の方を見た。


「この剣はあげるから、教えてくれない? どこで買った?」


「ふむ、向こうの屋台でまだ売ってるかと」


 指差す方向を確認したクレアが俺を見る。


「行こ!」


 ルビーと仲良く背中と腰の売り物を外し、こっそり一本だけ拝借する。


「分かった」



 ダンダンと音を立てて歩くクレアの後を追った。









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