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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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モグモグ族







 しっかり焼けた串を受け取り、焦げ目を睨んだ。


 思ったより普通。


 どう考えても夜に屋台を開いてるからだな。


 皮を咥えて抜き取ると甘辛い味が広がる。


『にゃまい!』


 ルビーと同じ気持ち。



「カゲも……」


「降りてもらわないと食えないな」


「分かっている」


 スタッと降りたカゲは何も言わずに俺の食いかけを強奪していく。


「新しいのを取ってもいいんだぞ」


「口答えするでない」


「酔ってるな」


「エムのせいだ」


 よく分からないが、食べ放題の鶏皮を新しく取る。


 ルビーは次から次へとパクパク。


「お、おいつかねえよー」


「シャーッ!」


「ひいぃ」


 大変だなあって思いながら一口。


「それも、もらう」



 カゲが俺の串に口を重ねてくる。


 一気に二枚の皮が持っていかれた!



「やってくれたな」


「……」


 カゲは憎たらしく口をモゴモゴしてからゴクリと飲み込んだ。


「ふっ……」


「笑いやがって」


 また食べても奪われることを知っている俺は見て楽しむことにした。


 串を取ったルビーは根元から咥えて一気に皮を擦りあげる。


 贅沢に食う姿はルビーらしいと思う。


「エム、もう食べないのか?」


「食べなくても生きていける」


「そうか……」


 俺のことなのにカゲは悲しそうに肩を落とす。


「食べてていいぞ」



「ちょ、ちょうどカゲも満足している」


 不意にグルルルと腹の獣が唸った。



「……満足している」


「本当か?」


 減量中とかはぐらかされたが、死にはしないならいいか。


「にゃまいにゃまい!」


「疲れてきたぜ……ああ、睨むな、焼くからよ」


 見ているとカゲが俺の服を引っ張ってくる。


「いつもの」


「なんだ、それは」


「……おんぶ」


 視線を下げたカゲの表情は伺えない。


「分かった」


 いつものように背負ってルビーを待った。


「本当に全部食いやがった!」


「にゃー」


「しばらくは来るなよ!」



 その場を後にしながら目尻を擦るルビーと並ぶ。



「眠そうだな」


「違う、満足した猫耳族の食事後はこうなる」


「随分詳しいな」


「エムが知らないエムのことも、カゲは知っている」


「今度聞かせてくれ」


 うにゃーとぽつり鳴くルビーの足取りは重い。


「うー」


 膝をついたルビーに気づいて立ち止まる。


「大丈夫か?」


 にゃーにゃーと近づいてくる。


「にゃーー」


 足元で長く鳴いたルビーは俺の左足に巻きついた。


「にゃーん」


 足の甲に経験したことのない負荷がかかっている。



「エム、ルビーは歩きたくないらしい」


「心配して損した」


「カゲも歩くつもりなどサラサラない」


「左足だけムキムキになったらどうするんだ」



 久々のご褒美と割り切ってクエストワークに行こう。










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