表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
37/200

帰ってこないコノハ








 それから何度か肉を切らせてもらい、多少のスジを残してしまう程度の技術を身につけた。


『あとは努力、鍛錬、忘れないで』


「助かる」


 モグモグと野菜を頬張る。


「なんでそんなに偉そうなのかしら……」


「気のせいだ」


「……」


 お料理教室を後にしてギルドに入る。



 お金を置くことはできないが、決死の交渉術でカバーしよう。


『おはよう、道草くん』


 ぺこりと頭を下げる。


 カゲは姿を消し、ルビーも俺に習ってぺこり。


 偉いぞ、ルビー。



「いつものは?」


「お金はちょっと」


「はあ?」


 嫌そうに唇を丸めて険しい顔をする。



「……まだ、コノハが帰ってこない」


「はい?」


「ドラゴン程度にコノハが帰ってこない!」


 いつもなら早いのに。シンスはそう言いたげだった。


「影、出てきて」


 呼ばれて姿を見せるカゲ。


「……」


「コノハの後は追った?」


「いえ」


「追ってって言ったでしょ?」


 いつ言われていたのか分からないが、カゲが約束を破ったのは明らかのようだ。


「さっさと追って」


「はい」



 カタ、カタ、カタ。



 消えたカゲの足音が俺の隣でピタリと止まる。



「…………」


「行ったわね」


 そんなわけ、ないんだが。


「そうですね」


「クレアには別件やらせてるから、どこでもほっつき歩いててちょうだい」


「はい」


「もちろん、男の数倍は稼ぐ人間だから、あなたの収入なんてアウトオブ眼中よ」


「どういう意味ですか?」



「さ、さっさと行きなさい!」



 シッシとギルドを追い出され、カゲがヌルりと現れる。


 いつになくうつむき加減。


「どうしたんだ、空を見て元気出せよ」


 こんなに青いというのに。


 晴天か? いや、雲が一つあるから俺は認めたくない。


『コノハを見てろなど、言われてない』


「そうなのか?」


「ずっと、エムのそばにいたから命令される機会は……」


「かもしれないな」


 カゲの手が俺の右手に触れる。


「エム以外、見たくないというのに」


「なんでだ?」


「消えて後ろから見るというのは、楽しいものではない」


 楽しい会話を後ろから見れて幸せになれるわけないからな。


「後ろは、寂しくて、冷たくて、苦しくて」


「そうか」


「見る人は、選びたい」


「じゃあ選べ、カゲは不真面目だからな」


「え?」


 間の抜けた声。


「頼まれ事は、二度としないんだろ?」


「……そう、そうだ」


「どうするか、決めないとな」


「今はエムと居ることにする」


 握られた手が離れないまま、俺を残して消えていく。



「他のホウセンカにみられるのは良くない」


「それはそうだな」


「エム、カゲをエスコートしてくれ」


「仕方ないな」


 歩く前にルビーを見る。


「ルビーも手を繋ごう」


 手のひらを見せると「にゃ」と言って手を乗せてくる。


 握ると不思議そうな顔をされた。



「今日は珍しく休みの時みたいだからな、ピッケルでも担ぐか」


「エム、それは反対だ」


「いつもの薬草……」


「大反対」


 反対されたので、カゲにエスコートしてもらうことにした。



『案内しよう、盗賊の遊びを』









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ