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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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金縛り









 ギルドに戻ってシンスに言われたこと。


『お金をよこしなさい』


 渡そうと用意するとミストが割り込んできた。



「これはダメー」


 逆に俺の手からとり上げるミスト。



「へえ?」


「リュウキが可哀想だよー?」


 一瞬だけ振り返って「大丈夫だよ」って言ってくれる様は姉御肌のようだった。


「前々は眺めていただけとは思えない守り様、裏があるのかしら」


「泣きそうな顔してて、可哀想だから」


「そ、そんなに泣きそう……?」


 シンスは言うほど落ち込んでいない俺を見て不思議そうにしていた。


「うん、私から見るともう泣いてる」


「言ってる意味がわからないわ」


 こればっかりはシンスに同感だ。


『じゃあミストが泣きます、えーんえーん』


「はっ?」


「泣いてませーん」


「もういいわ」


 シンスはついていけないと去っていった。


「助かった」


 周りから見たら変人極まりないが、俺は嬉しく思う。


「またデート行きたいからしただけだよー」


「確かにないと困るな」



『……今度行こうねっ』


 金袋で口元を隠すと早口気味に言い残してクルリと踵を返す。遅れてふわりと髪が引き寄せられる。


 ミストの動きがやけにかわいらしく感じた。



「そうだな」


 答えるとカツカツ歩き始めていった。


 俺も体を休めるとしよう。


 寝ていたベッドがある部屋に戻って静かに寝転がる。


「真剣に休むのにやっぱり寝ないんだ?」


「寝ることは嫌いでな、もったいない」


「もったいない?」


「寝てたら、リドルと話せなかったりする、それがもったいない」


 陽が赤くなった頃、不意に重みを感じてきた。


 くっ、リドルの金縛り攻撃か!


 や、やめるんだ……苦しい!


「な、何苦しんでるの?」


 えっ?



『エムっ』


 俺に乗っかって姿を表したカゲが犯人だった。



 背中に剣を背負っている、これが重さの正体か。


「カゲは他の女と遊んで欲しくない……わかって欲しい」


「その話だが」


「ミストとか言うやつより、カゲの方が愛している」


「本当か?」


「まず、プレゼントをしたためてきた」


 カゲはそう言って起き上がろうとして手を滑らす。


「……エム、プレゼントが重くて起き上がれない」


 そうかと答えてわしゃわしゃ手を擦る姿を見届ける。


「お、起こせっ」


 起こさないのも面白そうだと思ったが、可哀想なので体を起こすのと同時にカゲを抱えた。


 そのまま俺の足の上で座り直したカゲは背中の武器を外して渡してくる。


「この重さはカゲの愛」


「随分と重厚だな」



 片手で持つには重いが、サイズ感は前と変わらない。


 頼んだ通りで満足している。



「喜んでくれたか……?」


「これで鍛錬したくて仕方ないくらいには」


「武器は置いてカゲを、撫でろ」


 隣に置いてカゲをよしよしする。


『エム……』



 手の動きに合わせてカゲの頭が揺れ、力が抜けるようにぽてりと俺に倒れかかった。



 手を止めても何も言ってこない。


『すーすー』



 寝てしまったようだ。









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