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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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フィールドソード







『ぼ、棒もみなぎる……』


 ミストは耳まで赤くしながら腰を引く。


「変なこと言ったな」


「ううん! 女の子だから、合ってるよ……!」


 今までがなかったようにニコリと笑ってくれた。



『あの言い方で仲直りするなんて、さすが変態同士』



 リドルに変態認定されてしまった。


「ふふふ……」


 男なら男って証明すれば、きっと許してくれる。


 最初から変に捉えすぎていたんだ。


「遠回りに腹立ってきた」


「な、なーに?」


「出かけるぞ、デートだデート」


 ミストを膝から追い出して手を引いた。



『ミスト嬢に彼氏ですって!?』


『しかも、あの男が!』


『まあっ! さぞかし武勇に優れているのでしょう!』


『アレを受け止めたのかしら……』



 ギルドを出て、はっと気づく。


「や、やらかした!」


「だいじょーぶだよー」


「違うんだ、お金がなかった!」


 腕がなくなる前から大して仕事を果たせていなかった俺の財産は、空っぽ寸前だったのだ!!


 もうちょっとあると思ったのに!


 お魚さんはついさっき確認したが見た覚えがない。



 盗られてる。



「くっ……」


 こういう時、男らしさがまるでない時。


 俺は女なんじゃないかと思うことがある。


 悔しい、悲しい、女々しい。


「そういうときも、あーる!」


「そうか?」


「た、たぶん?」


「……クエストワークに行くしかない」


「冒険デートもいいよ」


 クエストワークで依頼を探ってみるが、剣が欲しくなるばかりだった。


「はっきり言って、武器が要るんだが俺にはない」


 鞘でも取ってくるべきだったな。反省。


「任せて、ホウセンカだからー」


「しかし……」


 せめて、ミストをエスコートするべきだと思っていた。


「リュウキにかっこいいところ見せたいよ」


 ミストがしたいなら、俺は頼むことにする。


「見たら、すきすきになっちゃうけど」


 そう言って適当に依頼をちぎると足早に行動を始めた。


「武器屋に向かうのか」


「武器? いらないよ」


 言ってる意味が分からないが、買うこともできない。


「そ、そうか」


 動揺しながらも、現状を受け入れるしかない。


「手、繋ご……」


 ソロリと出された右手を受けて握り返す。


「…………」





 草原に出た俺達は堂々と突き進んでいた。


「なあ、何を倒すんだ?」


 風がザアザア木々を揺らす。


 枯れた葉っぱがカサリと横を切って落ちる。


「どーらごん!」


「ほう……ほう?」


「がおーってされるの、リュウキ好きだよね!」


「否定はしないが」


 素手が四個集まって魔剣になるわけでもあるまい。


「無理だ」


「無理じゃない!」


「無理だ」


「無理じゃなーーい!」


 キンと響く声で叫んだミスト。


「……叫ぶの楽しい!」


「それは良いが、どうやって勝つ?」


「それはー」


 ミストの言葉を切るように風がなびく。


「タイミングが悪いな」


 空には真っ黒なドラゴンが羽を広げていて。


「あ! 依頼対象だよー!」


 羽ばたきを弱めながら俺達の前に降り立った。



『グオッ!』


 来るな、近づくな、触れるなという警告。



「帰ってもいいんだぞ」


「み、ミストはすごいんだよ? 見たらぜーったい、すきすきって!」


「逃げる準備はしておこう」


「もう!」


 ミストは右手を地面に添えてしゃがんだ。




 敵の前で姿勢を低くする異常。




『フィールドソード』




 右手が振り上げられる。ズシャリと大地が鳴いた。










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