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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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口説い文句







 力を込めて一気に貫く。


 ドスリと隣の地面がえぐれた。


『満足した』


 俺は立って剣を鞘に収める。


「……殺さないのか?」


「しっかりとした戦いの中で、コノハが裏切ってないと気づいた」


「どこで?」


「重さに痺れる感じが」


「殺そうとしていたからに決まっている」


 まあ恥ずかしいからな、言えないよな。


「照れ隠しはやめろよ、俺は分かってる」


「ちが……」


 俺は耳を貸さずに街に戻った。



「違うと言っているだろう!?」


「騙そうとしても無駄だぞ」


 ついてきたコノハに真実を説かれている。



『貴様を返り討ちにする為に、ギルドの前で貴様を待っていた!』



「また嘘か、何回目?」


「まだ二回目だ!」


「二度あることは、三度あるよな」


「……背後から斬り捨ててよろしいか?」


 そんなコノハを無視してギルドに足を運ぶ。


「待て」


 入ろうとしたらコノハに手を掴まれた。


「なんだ」


「シンス殿に殺したと言ってみろ、さぞ驚くだろう」


「後戻りできなくなるぞ」


「できるから言っている、嘘ではないという証拠だ」


 俺だけギルドに入ってシンスに近づくと。



『い、生きてたの?』



 何も話してないのに驚かれた。


「はい」


「まだ見つからなくて戦ってないだけよね?」


「いえ」


「……ッ」


 大きく目を開くシンス。


「殺した? 本当に殺しちゃった?」


「褒めてはくれないのでしょうか」


「どういうこと……」


 思ってた反応と違う。


「こいつの方が強いわけ」


 シンスが腰の剣に手を添えていた。



『期待通りの反応ではなかっただろう?』



 ドアがキィッと重く開き、コノハが入ってくる。


「待たせたな、シンス殿」


「ああ、やっぱり」


 シンスはフッと息を吐いて落ち着きを取り戻す。


「コノハ、こんな奴に慈悲は出さないで」


「倒せなかっただけだ」


「……」


 ただならぬ空気。


 新参者の俺でも簡単に分かった。


「…………クレア、彼とお出かけしてきたら?」


「急じゃない?」


「とにかくお願い」



 クレアはため息をつくと俺の肩を叩いて横切る。


『あんたも良い気分じゃないでしょ』


 そう言ってギルドを出ていく。



 クレアについて行くことにした。


「これで分かったでしょ」


「何が?」


 クレアの隣を歩きながら答える。


「シンスがあんたのこと嫌ってるってこと」


「そうか?」


「……能天気ね」


 悪い気はしなかったけどな!


「どうであれ、このギルドに尽くすだけだ」


「変なの」


 前のギルドでも色々言われたな、変だって。


「ところで、どうやって稼ぐ?」


「お出かけだから」


「稼がないと……」


「お出かけ、だから」


 クレアの圧に押されて黙る。



「休むことくらい覚えたら?」


「代わりに休んできてくれ、俺はドラゴンと遊んでくる」


「はあ?」


「……女はこれでイチコロだと思っていたんだが」


 この街では女性が強いみたいだからな、通用しないか。


「どこに落ちる要素あった?」


「前のギルドでは、ほとんど快諾してくれた」


「……ダメダメ、させないわ」


 クレアに連れていかれた場所は樽が置かれた広場。


 数人の男が居座っている。


「こいつらが悪人で、それを斬り倒すという依頼か?」


「バカなの?」


「違うのか」


「ほら、行ってきて」


 背中を押されて男達に注目される。



『僕達と勝負するつもりだね!』



「やはりそういうことか!」


 腰の剣に手を添える。


「強そうだ、来い!」


 そう言って男は樽をバンッと叩く。


「腕相撲なら負けねえぜ」


「そういうことか」


 男が樽に肘を置いて待ち構える。


「本気でやろう、樽を壊さない程度に」


「わかってる」


 俺も肘を置くと周りの男達が俺の手をセッティングする。


「がっちり組んだな! 三、二、一」



『ゴー!』



 合図と同時に力を込め合う。


「なんだこいつは、微動だにしねえ!」


 思った以上に相手は弱かった。


「ニコニコしてやがる……」


 スッと手の甲を樽に押し付けて勝利する。


「お前強えな」


「次は僕が挑む!」



 男達と代わる代わる対決した。



 筋肉が大きいやつから、図体が大きいやつまで。



 気がついたら男が増えていた。


「なんでこいつは強いんだ!?」


「筋肉も俺達と変わらねえのに!」


 服装から見て冒険してそうな奴は少ない。


 単純に重りを背負って鍛えてきたんだろう。


「強くなりたいのか?」


 聞いてみると周りの男が力強く頷いた。


「剣を持て、腕相撲は筋肉と経験が大切なんだ」


 戦闘経験は誰よりも自信がある。


「経験、ですか」


「振られた剣を弾く、剣を振って攻撃する。腕相撲に似ていると思わないか」


「……確かに!」



 男達がワアワアと声を上げる。



「お前ら! 今から剣を買いに行くぞぉぉ!!」


「うおおおお」


 そう言って男達は遠くに消えていった。




『楽しかった?』


 クレアはずっと待ってくれていた。



「とてもいい休みだった」


「良かったね」


「クエストワークに行こう」


 小さく頷いたクレアはスタスタ歩き始めた。



『……そっちじゃないぞ』








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