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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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閑話 カゲの剣作り

猫の手も借りたい。から窓を破ってダイナミック外出を果たしたカゲの話です。










『見た目は前のままで、重い剣を用意してくれないか?』


 リュウキに言われたカゲは窓を蹴破って飛び降りる。


 スタリと静かに着地術。



『ちょっとおぉ! なにしやがってるの!』


 声に振り返るとリュウキは美女に叱責されていた。



「す、すまないえむっ!」


 カゲは一言残して足早にギルドを後にするとクレアの家を訪ねた。


『……なに』


 髪をボサボサにしたままドアを開けたクレア。


「ま、また武器を作りたい、エムのために」


「……」


「最大限に重くしつつリーチは抑え目に、負担が軽くなるように鞘は特別性で砂より軽く」


「…………」


「クレア?」


 カゲはクレアが立ったまま寝ていることに気づく。


「危ない」


 フラリフラリで今にも倒れそうなクレアを抑え、その場で横にさせるとカゲは正座を作った。



「エムなら、目覚めを待つ」


 微かにほつれた腕輪をじっと見るカゲ。


 大切そうに手首を胸元に引き寄せていた。


 それからしばらくしてクレアは目を覚ます。


「はっ……ベッドで寝てたのに」


「早めの身支度を」


「え? なんで?」


 クレアに、寝ていて届かなかった話をもう一度した。


「また作るの?」


「ど、ドラゴンに持っていかれたゆえ……」


「高かったのに」


「カゲが払う、体でもなんでも」


「あいつのツケにするからいいよ」


 足早に身支度を済ませてくれるクレアをカゲはじっと目で追う。


「なに?」


「特には……」


 家を出るとクレア曰く、素材はギルドの倉庫で済ませると聞かされ。


「カゲがその辺で取ってきた方が」


 リュウキから学んだピッケル術をカゲは未だに覚えていた。



「大丈夫、どうせ私しか素材の価値なんてわからないんだから」



 ギルドに向かう道を逸れ、近くの屋台に足を進める。


『いらっしゃーい』


「モーニングセットね」


『あー……嬢ちゃん、もう売り切れで、時間も過ぎてる』


「串焼き二本ね」


「それも売り切れなんだ」


 クレアはええっと驚いていた。


「大食いの男が持っていって、金もしっかり払ってくから売っちまった」



「何があるの?」


「付け合わせのトマトが拒否されて大量に」


「じゃあいらない」


 クレアは不満そうに話を切るが、カゲは欲しそうにみていた。


「トマトを頂きたい……」


「タダでやるよ」



 切られる前の大きなトマトを三つ貰ったカゲは二つを袋に収めて一つを両手で眺める。


 トマトを齧りながら、さっさと歩き始めるクレアを追う。


 赤い果実の中にはとろみを帯びた種と果汁。


 コクリと飲み込んでまた一口。


「トマト好きなの?」


「モーニングと聞いて、朝はエムと何かを口にすることが習慣になっていた、それだけだ」


 トマトの美味しさに気づいたカゲはモグモグと一粒腹に収めた。


「……エムってなに?」


「エムはエムだ」


「リュウキって名前を知らないわけじゃないでしょ」


「なんとなく、エムって名前が見ていて浮かんだ」


「名前で呼ばれた方が嬉しそうだけど……」


 カゲ達はギルドに向かっていく。



「透明になっておかないと怒られる」


「素材取るだけだから、待っててもいいよ」


「ついていく、エムの顔もこっそり見ておきたい」



「そんなに好きなんだ」



 クレアはギルドのドアを引いた。









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