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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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天使と幽霊









 何事にも巻き返せない状況というのは存在する。


 例えば。死んだら生き返らないし、抑え込まれたら立てない。


 それこそ、女の子が乗ってきたら立てなくなる。



『文句は言うべからず』



 乗ってきたカゲに人差し指で口を押された。


「……」


「しばらく、ベッドの刑に処す」


 罪の精算と称してカゲにゴロゴロされている。


 本当にベッドとして扱うつもりなのか、寝返りまで!


「本格的だな」


「ベッドは喋らない」


 ゴロゴロ、ゴロゴロゴロ。


 大きく寝返りを打ったカゲは俺から落ちていく。


「…………」


「ベッド、カゲを助けよ」


「ベッドは動かない」


「……」


 カゲは不服そうにゴロンと背を向けた。


「そんなところでゴロゴロしたら風邪ひくぞ」


 タオルしか纏ってないんだ、体は大切にして欲しいと思う。



「も、もういい……」


 カゲに羽織りをかけて風邪引く可能性を下げておく。


「これでもういいぞ」


「よくない!」


 そう言って羽織りの中に隠れていった。


 濡れたままだったからな、大丈夫だと良いんだが。


 それからしばらく寝ていたカゲ。


 飛び起きると俺の手を引いてきた。


「エムも、浸かれ……」


「バレたらやばいぞ」


 まだ美女は沢山いる、なんなら増えてる。


「では……」



 カゲは近くの湯に向かうとしゃがんでじっとしていた。



 不思議に思っていると両手を皿のようにして戻ってくる。



『湯を、持ってきた』



 指の隙間からタラタラと漏れる様は湯水の如く。



『はやく、えむ……』



 最初は満杯で持ってきてくれたんだろうな。



「ああ、助かる」


 俺は何を思ったのか、そんな手皿に口を付けた。



 さかずきのようにカゲが傾けてくれたおかげで飲み干せた。


「これはミスだ、ミス」


 本当にしたかったわけじゃないと言い訳。


「味を知りたい」


「少し苦いな」


「キスで詳しく……」


 舌を交わして味を届けてみる。


「うぇっ」


「ひどいな」


「そんなつもりは」


「本当か?」


 本当だとキスを返され、頷いておく。


「そろそろ、温泉から出よう」


「頼んだぞ」


 手を繋いで外に出た。


 カゲはまだ消えたまま、俺は手を離す。


「エム、待っていてくれ」


「ああ」


 しばらく待つことにした。



「あーあ嫌われちゃった」


 リドルがポツリと残す。


「そうなのか?」


「つまらなくなったから、一人で楽しみに行ってるんだよ」


 幽霊のくせに耳打ちしてくる。


「かもしれないな」


「だから逃げちゃえ」


「待つという約束だ」


「関係なーい」


 天使と悪魔が居るなら、次は天使が現れそうなほど悪意のある幽霊。



『エムっ!』



 そんな時、天使は手を振りながらやってきた。









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