闇は真実
剣を鞘に収めて、近くに転がる男達を見る。
『もしかして、殺した?』
クレアのジョークに『峰打ちだ』って返す。
「コノハみたい」
「……身ぐるみ剥ぐか」
「な、なんで? 殺した方が」
殺すより全裸で外に置かれた方が苦しい、街に入るのも簡単じゃなくなる。
なんて言えない。
「こいつらは手伝うフリをして殺そうとしてきた、許さん」
『手伝うなんて一言も言ってなかったけど』
「じゃあなんで来たんだ?」
「もしかしてバカなの?」
バカって言われてしまった。
「じゃあなんだよ」
男の装備を丁寧に脱がしながら、耳を傾ける。
『高額で簡単な依頼で釣って、逆に装備を殺してでも奪う。追い剥ぎじゃなかったらなんなの』
「経験してないから分からなかった」
「……意味が分からないわ」
クレアが倒した女の装備は、魔法道具だけ頂く事にした。
女の子には優しくしないとな。
『さて……』
「帰ったら色々やらないと」
『花の根を集めるか』
「はあ?」
しゃがんで探そうとしたらクレアに止められた。
「この依頼はもはや嘘よ? 時間の無駄」
「女の子が待ってるのは本当かもしれない」
「こいつらが悲劇的な依頼に仕上げたんだってば」
「そうなのか」
全部嘘ってつらい。
「もし依頼が達成されても受け取ればいいだけだし」
クレアにとってはよくあるのか、淡々と言い切った。
「落ち込んでる?」
「ああ」
街に戻って、追い剥ぎに遭ったことをクエストワークで説明することになった。
「まあ! 所属するギルドは分かりますか?」
「……分からなかったわ」
「そうですか」
「とりあえずこれ、依頼の奴なんだけどそっちで買ってくれない?」
「これ全部根っこですか」
クレアが誇らしげに『そうよ』と。
「3万ヘルで買わせていただきます」
「……お願い」
お金を受け取ってクエストワークを後にする。
「はい、半分!」
クレアから差し出された金の袋を受け取る。
「様になってきたな!」
「……あんたと居ると気が狂う」
ギルドに入るとコノハとシンスが話をしていた。
入れ替わるようにコノハが出ていく。
『……何の用?』
シンスの問いにクレアが答える。
「例のギルドから、不意打ちを食らった報告を」
知らないってクエストワークの時に言ってたのに。
「そう、彼は使えなかったでしょ? 消えてもらいましょう」
「待って」
「まだ何か?」
さりげなく飛び出た追放案。
俺はシンスに嫌われているのか。
「……リュウキのお陰で今回は切り抜けたから、まだ居るべきだと思う」
「影、報告を」
シンスが指を鳴らすと何もなかった空間が闇を見せる。
闇の中から黒髪の女の子が現れた。
『クレアは、真実を言っている』
「理由は?」
「戦闘方法が前衛的だと思われる」
影と言われた存在が消えていく。
「良く生き残れたわ、褒めてあげる」
褒められて嬉しい!
「稼ぎについては?」
クレアは首を横に振って答えた。
「ギルドマスターとして、あなたに命令」
俺を見たシンスがうーんと唸る。
「今から、賛同できてないギルドメンバーを殺してもらおうかな」
「所属は?」
シンスは一息つかずに。
『ホウセンカ』
言い放った。




