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【八階層二区画】黄昏れの辻斬り

【八階層二区画】黄昏れの辻斬り


 応接室にて、右近が資料を片手に話を始める。


「今、近隣で起きている辻斬り事件なんだがダンジョンハザードの可能性から探検者協会から俺に依頼が来たんだが、それに合わせて何人か生徒も参加させて欲しいて言われてぇな」

「あの、俺も聞いていいのか? それなら失礼するけど…」

「えっと…」

「前田さんは刀匠ですから、刃物に関する意見が聞けると思います」

「それなら、お願いします」

「お、おう。ところで、ダンジョンハザードてなんだっけ?」

「ダンジョンハザードというのはですね……」


 ダンジョンハザードとは、大規模なものならモンスターがダンジョンから大量にあふれ出す『モンスター・パレード』ダンジョンが周囲を侵食する『ダンジョン・エクリプス』小規模ならモンスターがダンジョンからさまよいでる『ドリフモンスター』などの災害を指す。


「はははは、刀鍛冶のことならわかるんだがな」

「まぁ、この言葉も最近になって事例から分類されてきたものですから。少し前はローカルでバラバラでしたから協会が報告書あげるのが大変で統一したんですよ」


 そういって、被害者の資料などをテーブルの上におく


「犯行時刻は19時から20時か…」

「ケケケ、探索者ばかりが6人、死者は幸いねぇけど、全員重症とポーションや回復魔法があまり効かないてのが気になるな」

「うーん、目撃証言はなして言うのも不思議だな。場所の天文館通りて繁華街だろ?」

「この時間にならかなり人かいるからな。確かに」

「先生詳しいんですね。まぁ、殿方ですからわたくしは否定はいたしませんが、ほどほどにお願いしますね」


 佐江から少し生暖かい視線を向けられ右近は少し視線を逸らした。


「自分としては、やはり怪異系のモンスターだとは思うのですが」

「崇高くんもか、確かに《人払い》とか《隠れ里》なんていうスキルをもつのは怪異系モンスターだよね」

「ケケケ、怪異系てことは都市伝説とかか?」

「それも否定できませんわね。イギリスだと切り裂きジャックのモンスターが出現した話がありましたから」

「ならカマイタチとかか?」

「いや、それはないな。5番目の被害者の女性の証言がボロボロの恰好の侍らしいから」


 光太郎の意見に錬治は手早く資料に目を通して答える。


「……お前ら本当に優秀だな。ポンポンと案が」

「千の事件を知れば千一件目の事件の解決は容易てやつですよ。先生」


 ぼたんは、資料を読みながら右近へと答え、それを聞きながら錬治と光太郎は、被害者の写真を見ている。


「なんだそれ?」

「確か、シャーロックホームズの一節ですよ。光太郎さん」

「しかし、下手人は同じやつだな太刀筋が一緒だし獲物も同じみたいだな、傷の癖や刃渡りに同じ特徴があるから間違いないだろ」

「ですね。しかし、辻斬り妖怪とかいましたかねぇ?」

「さぁ? オレにはわからん」


 様々な情報を出し合い話し合いは続けられる。


「とりあえず、共通点全部上げてみるか?」


 右近の言葉にそれぞれが気が付いた事をあげていく。


「そうですね。まずは、時刻は全て日没の時間帯ですわね」

 

 メモを取りながら、佐江は時間の点に注視する。


「ケケケ、被害者のレベルは全員20~30てとこだな」


 光太郎は被害者のレベルに注目していた。


「男女の違いや年齢、名前などの法則性はないと自分は考えます」


 崇高は共通点がない点をあげた。


「場所は、全部交差点だよね」


 ぼたんは、現場写真から共通点をあげる。


「後は、全員。剣士系のクラスってとこだな。とりあえず、ぼたん。この情報を《ホワイトブック》で解析してみたらどうだ?」


 錬治は、クラスについて注目して案をだす。


「オッケー、ぼたんちゃんにお任せだよ《ホワイトブック》【情報検索】……ヒット! 多分、このモンスターだと思う」


 辻神 種族:悪神 交差点に出現し奇襲をしかける怪異系のモンスター。姿形は様々であるが下半身はまだらな布のようなものが地面に繋がっている。


「なるほど。確か南九州などでは、T字路や交差点はあの世とこの世が交わる場所という信仰がありまたわね。それと辻が辻斬りにもかかったのかもしれませんわ。怪異系は人の噂でスキルを得るという話もありますし」

「ケケケ、なら時間もそれか?」

「えぇ、日暮れは逢魔が時と言われる時間帯。こちらもあの世とこの世が交差する時間これが合わさってドリフモンスターとなっている事は否定できませんね」


 佐江は自分の推論を述べる。


「であれば、後は次の犯行現場の予測だが…」


 右近は、事件現場の順序や場所を地図に記入しているが皆目見当もつかない。


「その特定はまだ難しいですわね」

「わたしの《ホワイトブック》はダンジョン内の情報メインだから流石にわかんないよ」


 佐江もぼたんもその点はではいい案はだせないでいた。



「なら、崇高の《ライブラ》で出現確立を計るてのはどうだ?」

「確かにそれなら計れるかもしれません。しらみつぶしに計ってみるので先生、地図をできるだけ細かいものをお願いします!」


 錬治の案に崇高も同意し地図でもっとも確率が高い場所を割り出し始める。


「おう、見つけたら後は」

「俺がいって叩き切れば解決だろ? 丁度、戦いたかったしな。それに失敗しても情報は手に入るんだ損はあるまい。先生も止めるなよ。止めてもいくからな!」


 強敵の可能性から錬治は、心躍りながら新品の刀の柄を握る。


「はぁ~わかったよ。けど死ぬなよ。そしたらオレめっちゃ怒られるんだからな。まぁレベル的にもなんとかなるだろうし…わかったよ。任せた」

「了解」


 こうして、辻神との決戦へと備える錬治たちであった。

評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。


次回100話目!



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