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【七階層七区画】疾風! ダンジョン甲子園! 後編

暑い日が続いております。熱中症にはお気を付けください。

【七階層七区画】疾風! ダンジョン甲子園! 後編


 試合は、まさに死闘。身を削り骨を砕く、互いに勝利の為に明日を捨てるの如く無傷の者は両陣営に一人足りといない。


 最初は、ラフプレイを多用していた黒城オーガースターであったが、試合が進むにつれて力と力、技と技の競い合いによるフェアな試合が進んだ。


 9回裏。1-0と黒城オーガースターがリードしており、ツーアウトの走者が2塁と最終局面を迎えていた。


「さぁ、勝負だ! 鬼王」

「行くぞ。横賀」


 黒城オーガースターの主将・鬼王と銀城高校野球部主将・横賀の直接対決。


「一・球・入・魂【真・鬼螺旋鋼球】」


 それは、今までの相手を害するための投球ではなく、打ち取る為の全力投球。


「見事だ。こちらも全力でいくぞ【アストロ・ブレイク】」


 鋭いスイングは真芯で捉える。力と力が拮抗するが…


「「「「横賀さん! いっけぇぇぇ」」」

「うぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ」


 応援団の声援を受け、一気に振りぬき、


 カーーン


 という子気味良い音が響き、打球はどんどんと延びていきセンターの頭上を越える方向になるが


『おっと、黒城オーガースターのライトの鬼崎が走り出した』

『いったい何を…まさか!?』

「鬼谷、肩を借りるぞ!」

「うむ」


 鬼崎は、鬼谷の肩を利用し高く跳躍するが


『おっと鬼崎吹っ飛んだー!?』

『打球の威力は収まっていませんね』

『入るか!? 入るか!? 入ったー!!! 逆転ツーランホームラン! 激闘を制したのは銀城高校野球部だぁぁぁぁぁぁ』

『近年稀にみる好勝負でしたね』


 盛り上がるなか、ホームベースを踏み、喜び合う銀城高校野球部の面々に対して、


「見事な試合だった。我らの失われた魂を取り戻してくれてありがとう」

「あぁ、いい勝負だった。また、し合おう」

「そう…だな」


 鬼王と横賀がどちらかと言わずに握手を交わそうと手を差し伸べた、次の瞬間、大地が揺れ、地面が割れると、その割れ目から体長が10mはある二本の角が生え、黒毛に覆われた大猿が躍り出た。


「アレはなんだ」

「マズイな。横賀よ。全員を連れて逃げよ。アレは『鋼獅猿(こうしえん)』このダンジョンを支配するダンジョンボスだ」

「ほう、アレがか」

「我らベースボールオーガを支配し、駒のように扱ってきた我らの怨敵…我らに勝ち目はないであろうが、命を賭せば、お前たちの逃げる時間は稼いでみせよう」


 そう言うと、ベースボールオーガたちは鋼獅猿へと、戦い始めた。


 鋼獅猿は近くの岩を掴むと、投げる。


「『鬼龍炎打破』」


 それを鬼蛇が、岩を打ち返す。


「見事だ鬼蛇。皆、勝者の為の花道を汚されることは、我らベースボールオーガの恥! 済まぬがその命を懸けてくれ」

「御大将、我ら一同、思いは一つ」

「我らの怨敵の思い通りにさせませぬ!」


 奮闘するオーガと大猿。どちらも化け物同士の戦いは、大猿が少しずつ圧倒を始めていた。


「はぁはぁ…御大将もお逃げを…私と数名で殿を務めますので、どうか仲間を率いてお逃げください」

「それはできぬ。敗軍の将である我がすべきは一つのみよ」


 大猿は岩を投げる数を増やし、遊び感覚でオーガたちに投げつける。その岩の一つが鬼王へと迫った瞬間…


 ドン!


 と鈍い音とともに岩が砕け散り、その場には釘バットを構えた横賀が立っていた。


「遅くなったな。オレ達の武器を取りに行っていたので遅くなってしまったが、無事か?」

「横賀…なぜ?」

「ふっ、宿敵(とも)を見捨てるなど人としてあり得ん。鬼王よ。オレたちとお前たちならあの程度の猿に負けるはずがないであろう」

「オーガである我らを友と呼ぶのか人間が…」

「オレ達は全力で試合をした宿敵(とも)だ。種族の壁など、我らの友誼の前に何の意味がある。それに友の為に命を懸けるなど、漢としてこれ程の誉れがあるものか」

「フハハハハハ、そうだな。良かろう。共に猿退治といこうぞ友よ」

「こい、シルバー!」


 横賀を右手を掲げ、指をパチンと慣らすと


 ヒヒヒーン――


 馬のいななきが響くとスコアボードの上に純白の白馬が威風堂々と姿を現していた。


『ヒヒーン(我が名はシューベルト・ルーデンリッヒ・ヴァンシュタイン。友よ今が駆け抜けるとき)』


 白馬はそのまま大猿へと跳ぶと


『ヒン(天馬シューティングスターキック)』


 大猿へと向けて一秒間に100発近い音速の蹴りを放ち横賀の隣へと着地する。


「よくぞ来たシルバー。共にいこう」

『ヒヒーン(あぁ、友よ。さぁ、背に乗るがいい)』


 白馬にまたがり釘バットで鋼獅猿へと立ち向かっていく横賀。


「お前たち横賀さんに続け!!」


 それに続けと、横賀から遅れることして、銀城高校野球部のメンバーもダンジョン攻略用の装備を身に着けグラウンドへと戻ってきたが…どうみても世紀末せかいのヒャーハーな格好に高校球児らしい爽やかさはない。


 そして、全員がグラウンドへそろうと銀城高校野球部の応援席スタンドから太鼓の音が響く


『銀城高校野球部の勝利を願ってぇぇぇぇぇフレーフレー銀城』

『フレフレ銀城!! フレフレ銀城!!』

『黒城オーガースターの健闘を祈ってフレフレ黒城』

『フレフレ黒城! フレフレ黒城!』


 その声援はバフがかかる。そして、反対側のスタンドからも


『我らの御大将の戦。我らの戦唄を捧げようぞ』

『漢! 漢! 汗! 汗! 筋肉! 筋肉!』


 上半身から大量の汗を流しながらオーガたちも声援を送る。


「横賀よ。我とお前の魂の一撃を合わせれば倒せるやもしれぬが」

「ふっ、愚問だないくぞ」


「「合体奥義【レインボーグランドスラム】」」


 白馬から降りた横賀がトスバッティングの要領で鬼王の作り出した球を鋼獅猿へと打ち込む。最初は少し怯む程度だった鋼獅猿も、次々に打ち込まれる打球に徐々に削られ。


『ヒヒーン(友よ、今が留めの時)』

「鬼王いくぞ」

「応」


 白馬に再びまたがった横賀を鬼王が担ぎ上げると、鋼獅猿へと投げ、さらに、横賀は跳躍する。


「これで留めだ! 【コズミックバニッシュ】」


 横賀は釘バットで、鋼獅猿を両断する。


「見事だ横賀よ」

「ふっ、友と力を合わせれば不可能などない」

「そうだな。友よいつか再び……」


 鬼王がそこまでいうと、オーガたちが、まるで夢、幻の如く消え。探検者カードに


 カーニバルダンジョン『甲子園』

 特別ミッション:オーガたちの魂の解放 達成


 そう表示され、世界一熱い日が終わった。

評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。



100話まで残り4話

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