【七階層三区画】黒神自顕流の夏 中編
【七階層三区画】黒神自顕流の夏 中編
錬治は、案内された道場につき絶句した。
「予想以上にダメそうなんですが…」
「まぁ、頼むよ。お前ら、挨拶くらいしたらどうなんだ」
そこにいたのはだらけきった胡坐をかいた三人。錬治からみてそこそこ鍛えているが、なんというか、緩み切ったというか、舐め切った態度なのがにじみ出ている。慢心の塊といってもいいだろう。
「総師範、だれっスかそいつ。新入りすか?」
「お前らが、指導員が気に入らんというからな。お前ら向けに来てもらったんだ」
「はぁ? そいつどう見ても俺らとかわらないっスよね?」
「そうだな。お前たちよりも一つ年上なだけだからな」
「ふざけないでくださいよ」
三人の中のリーダー格らしき少年が立ち上がると錬治をしたから睨みつけるようにしながら続けた。
「はぁ、あんた年上ていっても一つしかかわないからいっておくけどよ。オレ、SRスキルフォルダーなわけよ。つまり、勝ち組なんよ? わかる? そんなオレの指導できるってんで尻尾振ってきたみいだけどさぁ、およびじゃないんだよ。勇者とかさぁ、それくらいじゃなきゃ? はぁん、およびじゃないんだよ。なにせSRだからよ」
イライラとしながら錬治は、頬が引きつりそうになっており、これは容赦する必要がないなと確信した。
「ふーん、なら、自己紹介は省くは、ほら構える時間はやるから構えな。お前らみたいなのは手っ取り早くわからせたほうがいいからさ。まぁ、ダメそうなら今年の夏は病院のベッドで三人仲良くお泊り会してもらうけど」
「はぁ? なめてんのか? やっちゃうヨ。こつらもレアスキルもちよ。モブがなにイキッてんだよ。師範、こいつのしたらよーあんたが直接、指導してくださいよーオレ達、将来の英雄ですよ」
「そうだな。彼に勝てたのなら考えよう。すまないが頼むよ」
ノロノロと立ち上がりながら木刀を手に構える。
「ルール無用だとわかり辛いから、言っておくからな。お前ら三人がかりで俺に、クリーンヒットを入れたら勝ち、それで、お前らの敗北条件は、全員が戦えなくなったら負けだ。スキルも使っていいぞ」
「お前…オレたちをバカにしてんのか? ちょっとレベルが上くらいで…いいぜ、どんだけ無謀かおしえてやんよ!」
「そいつは、楽しみだ。統久おじさん、この硬貨を投げてください。そいつが地面に落ちるのが合図にしますんで」
「わかった」
錬治から渡された硬貨をもって距離をとる統久は、硬貨を上に弾く。
カンッー
床に落ちた硬貨が硬い音を立てると、三人組の一番小柄な少年が動いた。
「くらいな! 俺のスキルは《念動力》! 動けなくしてボコボコにしてやんよ!」
「ほぅ」
《念動力》の効果は射程は20mの対象の物体の動きを制御する。という、もので、一見強力なモノに思える。
「ハァッ!」
「ぐっ!? な、えっ、て、てめぇ何をしやがった!」
動きを封じようした発動させた《念動力》が解除され慌てふためく少年に、錬治は冷静に解説を始めた。
「念動力に限らず、スキルてのは、意思がある対象に使用した場合、相手が抵抗した場合、相手の精神力が自分よりも高い相手には、効果が弱かったり、効かないことがあるんだよ。加えて、相手が握っていたり身に着けてたりするものも同じだし、細かいモノを動かすにも集中しないといけない事も覚えておけよ」
「な、なめんなよ!」
「鷹治、オレがいく。力でねじ伏せればいいんだよ!」
「今度はデカいのか、三人で来ればいいのに、まぁ、好きにかかってきな」
「だぁぁぁぁぁぁ」
一番、ガタイのいい少年が勢いよく突っ込んでいく。
「うん? あぁ、身体強化系のスキルか」
「そうだ! 《剛力》のレアスキルだよ!」
連続で打ち込んでくるが、それを軽く躱す。
「どうした! どうした! 口だけか!」
反撃が来ないことをいいことに、攻撃は加速し激しさをますが、錬治は気にすることなく躱し続ける。
「はぁはぁ…ちょこまかと!」
攻め続ける事、30秒ほどで息が上がりはじめ、体がながれ、無防備な状態を晒した瞬間
ドゴッ――
錬治の重たい膝蹴りが、鳩尾にささり、数メートル吹き飛ばす。
「身体強化系のスキルは文字通り身体しか強化されないから気を付けとけよ。肉体の強度や、スタミナはそこまで強化されないから、防御力もタフネスは上昇しないんだぜ?」
「あぐぅ…」
「へー、まぁまぁ、やるジャン。オレの引き立て役としては、合格点あげちゃうよー。けど、ここからYO~♪ 俺ちゃんのショータイム~♪ なにせオレはSRスキルホルダー~♪ それもレアなアイテム召喚系だZE~♪ 刮目してみやがれッ《エアロ・ファルシオン》」
そういった少年の手には刃渡り60cmの小刀が握られていた。
「ヘイ! 名乗ってやるZE! 鮫島兵助。未来の英雄だZE」
手に持った、小刀を振りながら、素早く振り回す。
「風の刃を形成している小刀だろそれ」
「なっ」
「なんでわかるのかって? 魔法で形成しているモノは不可視のモノでも、目に魔力を軽く集中するだけで、形状とかは見える。コツさえつかめば、魔法とかの発動のタイミングとかもわかったりするぜ」
「だったら、これはどうDA!」
距離をとり、刃が届かない距離で、兵助が切っ先を向け突きを繰り出すと、錬治は大きく横へと跳んだ。
「風の刃を伸縮させるてのは、悪くないけど、そういう小技、対人戦くらいしか使えない。お前、その武器の特性を理解してないのは、もったいないぞ」
錬治はそういうと、一瞬で間合いを詰め、足を払って転がす。
「ほら、三人できな相手になってやるからよ」
錬治と三人組の戦いを統久を傍目に見ていて戦慄していた。
(彼は、なんなのだ。あの三人を相手にしても事もなく戦っている。それもかなり手加減をして…いや、手加減してアレはエグイ、伯父上どんな指導したのやら…)
三対一になりながらも錬治には余裕が十分に見られた。もっとも錬治にとっては三対一ではなく一対一を同時に3人とやっている感覚であった。なにせ三人の動きはバラバラで、連携らしい連携にならないどころか所々でお互いの動きが阻害しあって大きな隙を作る。無論そういう風に錬治は動いては誘導している。加えて錬治は木刀での攻撃をせずに、ほぼ拳か蹴りで行っているが、それでも容赦なく急所を狙ってくる。そうして戦う事30分、三人組は倒れこみ呼吸もあらい、そして大粒の汗を掻いている。それに対して錬治はかるい汗はあるものの余裕を十二分に残しいる。
「さてと、ウォーミングアップも終わって体もあったまったから、これから本番を始めるぞ。その前に、俺の名前は尾張錬治、これから3日間ほど、軽く指導するからよろしくな。さぁ、稽古を始めようか?」
三人組は全員青ざめ口をパクパクと動かしながら統久に視線を向けるが、そっと視線を外す統久であった。
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