【六階層七区画】池田湖ダンジョン その6
【六階層七区画】池田湖ダンジョン その6
火の粉が舞、その火の粉がやがて蝶の形になり舞い、炎の蛾はそれを引き連れて空に留まる。今までにない存在感を発揮するインフェルノ・グレート・モスに全員が圧倒していた。
「まじっスか今までにないくらいヤバクないっスか?」
「はぁ~【フェイスレス】を使ったのは失敗だったかな」
「いや、アレは辞めてくれ。流石に我でも胃が痛くなるぞ」
圧倒はされたが、物怖じはしていない。
「ケケケ、どうするよアレ」
「自分でも計り知れない相手ではありますが、射抜き甲斐はありそうでありますが」
むしろ、ワクワクしていた。
「……アレを試させてもらおう」
特に源治は、顕著だった。
「うん? なにかあるのか?」
「……あぁ、【サモン・ガーディアン】」
その言葉と共に、腕をクロスした姿勢で直立不動の全長4mの巨人が姿を現した。
「……以前倒した、ユニークボスの残骸を持ち帰ったらなんかこうなっていた」
「うわぁーもう、わけわかねぇ。というか巨大ロボだよな」
「ロボッスね」
「ロボでありますね」
「我はデザイン的にもアリと思うぞ。勇者王ぽくて好みである」
「ケケケ、ワイもこの手の武骨なデザインはそそるねぇ。やっぱりロボはこう、男のロマンだねぇ」
その姿に全員思わずワクワクしてしまった。というか、巨大ロボにワクワクしない男がいるであろうか? いや、いない! 漢なら巨大ロボを夢見るのは当たり前なのである(断言)
「……名は『ガルド』と名付けた。叩き落してみせる」
珍しくテンションが高い源治は、ガルドに乗り込むと空へと飛び立った。
「では、我々はこの蝶を相手にするとしよう」
「あっ、いま鑑定してみたっスけど、こいつらファイア・バタフライていう見たいっす。まぁ、おれっちにわかるのは、後は、火属性の攻撃に反応して連鎖爆発するみたいっスよ」
見送った後に二郎がそう説明すると、光太郎がニヤニヤと笑みを浮かべる。
「ケケケ、城一、後は頼むぞ」
「構わん。ヤレ光太郎」
「<バーン・ストラク>、派手に爆ぜな!」
「ちょっ、何やってんだよ!」
制止する調を無視して、炸裂する炎の槍を蝶たちの中心に投げ込むと、一気に群がり、槍に触れると連続で爆発してあたりを白い光が一気に広がり包む。
『マジで、何やってんだよ。あぶねぇだろ』
「ふっ、我の領域なら爆発の余波くらい平気だったのだが…結界を張ったのか?」
『それならそうと説明してくれよな…』
狐の面をつけながら、大きくため息をつく調。【フォックス】の面は多種多様な術を使用することができるようになる面である。その術の一つの【結界術】により全員を薄い膜で包み、爆発と閃光から全員を守ろとうしたのである。
「あー、このファイア・バタフライて、一定数集まってまっても爆発する特性があるみたいッス」
「一定の温度に集まる習性があると推察します」
地上に残った全員で、ファイア・バタフライを叩き落し始めた。
そして、空中では…
「……では、いくぞ。ガルド。《コネクト・カスタマイズ》【チェーンブーメラン】」
《コネクト・カスタマイズ》は、自分が搭乗するガーディアンに武装させるスキルであり、スキルを発動させるとガルドの手には、大きなブーメランが現れると、それを勢いよく投げつけた。
インフェルノ・グレート・モスをブーメランを避けて、突進したが、背後から戻り、鎖が絡まり、ブーメランが、胴体に刺さった。
「……《コネクト・カスタマイズ》【ロケットブースター】【チェーンソー】」
ガルドの巨体が一気に加速して、インフェルノ・グレート・モスへと突っ込み、右手に握られたチェーンソーで、翅の付け根を斬りつける。
ガアガアガアガアァァァァ――
鈍い音が響く。
「……かなり硬いな。錬治なら切り落とせるまで斬ればいいと言いそうだな……」
源治は再度、突撃を繰り返し斬りつける。交差する度に少しずつ斬りつける。もちろん、源治のほうも無傷とはいえない。火の粉が触れるたびに爆発が起こり、衝撃が襲うが、攻撃の手を緩める気はない。
「……限界に近いか…どちらも…これが、最後の一撃だ【ドリル】【ロケットパンチ】」
巨大な拳に装填されたドリルは、勢いよく回転しながら、文字通りに飛んでいき、その質量が加速された男のロマンともいえる一撃は、インフェルノ・グレート・モスの翅を大きく粉砕し、その巨体は地面に落ちていくのであった。
そして…
「……後は、任せた」
最後の力を振り絞り、源治もなんとか地面に着陸するのであった。
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