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【六階層六区画】池田湖ダンジョン その5

【六階層六区画】池田湖ダンジョン その5


 ダンシング・ジャイアントとの戦いは、苦戦を強いられていた。


「あぁぁぁ、くそ! やりづれぇ!」


 特に、光太郎とは相性が、悪かった。理由としては、≪アンフェア≫が作用していないのである。ダンシング・ジャイアントはそもそもが戦闘をしている認識すらなく、ただ踊っているだけで、その余波が攻撃となっている。つまり偶発的なものである為に、スキルが反応しない。


 また、激しい動きは、発動までに、若干の為がある、源治の≪カスタマイズ≫だとワンテンポ遅れるために、有効打は生まれず、小技中心の次郎の≪デッドコピー≫では、けん制にもならない。調も【フェイスレス】の面は、再使用までの時間がかかり、1週間は使用できない。使用できても、ダンジョンのルールに『倒すことはできない』と明記されている以上、【フェイスレス】を使用しても倒せないであろう。ダンジョンのルールとは理不尽であってもルールとして設定されていた場合、理不尽でも物理法則だろうと無効にしてしまうのである。そして、崇高も動きを予知する【未来視】で矢を放つも動きの風圧で軌道がそれてしまうので、急所にもあたらず、また、巨体であるジャイアントにとっては蚊に刺された程度のダメージにしかならない。城一の《ドミニオン》を駆使しながら接近戦に持ち込むも、巨人の舞に巻き込まれて吹き飛ばされてしまう始末である。


(動きにパターンがあるみたいっスけど…踊りなんだから、当然スよね。ということは…あっ、これならいけるかもッス…試してみるっスかね?)


 そんななか次郎は思考する。直接的な戦闘力では劣るが、次郎にとってはその程度のことは理解している。なので戦闘以外でこそが次郎の本領である。


「崇高ッち、風の音のリズムを計って欲しいっす。心友はオレッちの動きに合わせて踊って欲しいっス」


 そう言って、次郎は巨人の動きに合わせて踊りだす、崇高も次郎に何が考えがあると思い不気味な風音のリズムを計る。


「これは…なるほど、理解した。次郎、今は、4分の8拍子だ」

「なら、間違いないっすね。謎は解けたっす」


 踊り始める事1分。次郎は踊りを止める。火時計は既に4つ灯っている。


「巨人の踊りは、あの明滅している文字と連動してるっス。光る文字が上半身の動きで位置がステップの場所みたいッス」

「ほう、よくわかったな」

「うっス、動きをコピーしてわかったす」

「……流石だな。次郎」


 スキル≪デッドコピー≫は限りなく相手を真似るという特性があるスキル、相手を真似るのは能力だけでなく、思考すらも真似ることすらも可能とするスキルなのである。


「調、いけるか?」

「うん? あぁ、そこまで複雑な動きではなかったし、人のてきる動きの連続体だから問題なくいける」

「心友て、本当に器用スよね」

「お前がいうなよ」

「源治と崇高と次郎で援護を、光太郎は護衛を頼む。調は一方の巨人を任せるぞ」

「うへっ、やっぱりかよ…」

「……了解した」

「ういっスー」

「任された」

「ケケケ、任せな」


 城一と調は、それぞれ一体ずつ巨人に立ち向かう。


「≪マスカレイド≫【ナイトバロン】我輩のダンスパトナーにしては無粋ではあるが、鐘がなるまで踊り続けてもらおう』」


 激しく振られる腕を軽くかわし、空中をける。水面歩行の応用技に相当する上級テクニックをあっさりと駆使しているが、調はそれを気にすることはない。調べにとっては、歩けることと同じなのである。


(こつ掴むと、これはダンスゲームだな)


 そう思いながら巨人と歪なダンスを踊る。


「今っす」

「……了…《カスタマイズ》【バリスタ】」


 源治は、巨大なボーガンを地面に固定し、調の動きを先読みしながら、巨人へと矢を撃ち込む。一撃一撃は重く、そして深く刺さるが直ぐに、傷が塞がりまた、巨人は踊る。


「……不気味だな」

「そうっスね」


 城一のほうはというと、


「崇高、撃て」

「了解した」


 合図とともに崇高は、複数の矢をいる。


「《ドミニオン》停止しろ」


 城一の周囲で矢が止まり、固定される。


「我のダンスパートナとしては不足もいいところだな」


 矢を足場にしながら飛び上がり百本近い剣を作り出す。


「【闘剣乱舞】」


 自身でも剣を振るい、また、空間に現れた剣を足場にしたりと、まさに戦場の支配者と言わんばかりに縦横無尽に駆け回り斬りつける。また、巨人も固定された剣の中を踊ることになり、全身を自らミキサーへと放り込むかの如く切り刻まれる。


 巨人たちの踊りは激しさを増すが、攻略法を掴んだ城一と調は、確実に攻撃を当てていく、もちろん余波でダメージを受けることはあるが、そのフォローは次郎が的確に回復を行い、けん制として崇高と源治が遠距離攻撃を行う、そして、余波で飛んでくる岩石などは


「【立往生】ケケケ、くそっいてぇなこんにゃろぅ」


 光太郎が盾となって源治たちを守っていた。


 そして、ついに火時計が全て灯ると、ゴォーンゴォーンという音とともに巨人は跪くと光の柱が降り注ぐ。


『――苦痛に耐えて舞い続けし巨人を生贄に捧げん

     炎の煌めきは満ち天地鳴動し地獄の炎を纏い飛翔する――』


 どこからともなく響いた声と共に繭が燃え上がり、巨大な燃える羽をもつ全長38メートルの蛾が姿を現し、炎の鱗粉が『インフェルノ・グレート・モス』という文字が象られた。かなり自己主張が強いモンスターである。


「「なんだそりゃー」」


 調と次郎が盛大にツッコんだ。

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