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【一階層五区画】二度目のダンジョン

今回は軽めに暴れます。


 小鬼のダンジョン。三級に分類されるが十階層まである。

 

 特徴は()()のモンスターが出現するダンジョンである。そもそも多くの探検者の最初の関門とされるのが、人型のモンスターを殺せるかにある。倫理観として良識と常識で躊躇してしまい人型のモンスターに手傷を負わされそれがもとで低階層や探検者を引退してしまうものも多いのだが…


「錬治いったぞ」

「おう」


 緑色の肌の子供ほどの身長の小鬼。一般的にゴブリンと呼ばれるそれに対して、何も迷いなく躊躇することなく抜刀からの、一閃で先頭で棍棒を振りかざしたゴブリンを逆袈裟に切りそのまま二匹目のゴブリンを斬って落とし、勢いを殺すことなく、横薙ぎの一閃で首を刎ねる。ここまでの動作を淀みなく行いいまの戦闘も僅か10秒で終らせた。


 一般的にいえば人型のモンスターを攻撃することに対して、張著してしまうのは珍しくないのだが…


「銀、どうだ?」

「思ったほどじゃないな」

「ガキの頃、キャンプで鶏絞めさせられたときよりはないな」

「錬治、小学校卒業の時に、骨付きの牛バラ肉を斬ったの覚えてるか?」


 小学校卒業の祝いにと錬治と銀之助の二人とも真剣を初めて握らせてもらい、祝い用にと二人で牛肉の塊を斬りつけるというなんともいえない思い出が二人にはある。


「あぁ、あれな。家の父さんと母さんがいろいろと料理したから覚えてるよ」

「錬治の親父さんの料理旨かったな、母さんの料理も豪快だったな…見たことない料理だったけど。まぁ、あれ斬った時と同じかそれよりも手ごたえたがあるくらいか」


 子供のころからの英才教育ともいえる独特の感性で育った二人には「武器を向けてきたのなら敵、敵は切って捨てる。命には真摯に向き合い、過度な殺傷はしない」という感性が身についていた。そして、ゴブリンは決して強いとは言えないが、集団戦などを学ぶには絶好の相手ともいえるし、感情がある。明確な敵意と悪意と殺意をもった相手との戦いは二人の少年剣士にとってなんとも言えない糧となっていく。


 もっとも…


「銀、ゴブリンアーチャーだぞ」

「応」


 弓を構えたゴブリンが放つ矢を事も無げに切り落としたり


「錬治、ありゃ剣もってるからソードマンだっけか?」

「だな。じゃぁちょっと行ってくるな」


 剣術を操るゴブリンソードマンを相手にしながら、感触を確かめるように紙一重で剣線を避け逆風に切り上げ真っ二つに両断するなどかなり常識外れな戦いをしている事に本人たちは気が付いていないという事実はあるが。


 そんなこんなで二人が一階層の奥の階段までたどり着くのにかかった時間は1時間程度で倒した通常のゴブリンは10体程度、クラス個体と呼ばれるソードマンやアーチャーは5体程度でモンスターを倒したときに残るドロップ品はゴブリン種の場合は魔石のみで買い取り価格は通常の個体で1個100円、クラス個体で150~200円程度の価値しかない。


「で、錬治今回の課題どう思う?」

「とりあえず3000円くらいの食事とタクシーで帰れば地獄は回避できるはずだ」

「辰馬さん…いつもニコニコしてるけどあの人の修行地獄だからな…」

「そうだな。さて、次から二階層で本番になるけど、確か二階層からはリーダーとシーフがでるんだったな」


 ゴブリンリーダーは小規模の集団をまとめるゴブリンでいるといないとでは連携の練度が違い難易度がかなり違い初心者(ビギナー)だと大けがをおうことさえある。そしてシーフは素早く不意打ちなどをしかけてくる厄介なゴブリンである。そう、そういう特性のやっかいなゴブリンであるのだが…


「甘い!」

「おらっ!」


 そのゴブリンリーダーが統制するシーフの不意打ちを難なく躱しそのままの一撃で首を刎ねる錬治と、その隙を狙って襲い掛かろうとした二匹のゴブリンをあっさりと打ちのめした銀之助の二人。


 二人の快進撃は続く、ちなみにゴブリンリーダーはちょっと強いくらいのゴブリンなので単体になると並みのゴブリンと大差なくあっさりと切り捨てられた。

 そして二時間ほど戦い続けて二人のレベルが4に達した頃には合計でゴブリン60体程度をクラス個体は20体ほど倒していた。


「そろそろ帰るか」

「そうだな…帰りは遭遇したのだけ狩ればそこそこの金額になるだろう」


 そうして帰路に入るがまだこの時に自分たちがどれだけ異常な事をしていたのか理解はしていなかった。




 探検者協会・換金受付

 視点:担当者 本間ミナ


 私の名前は本間ミナ、まだまだ新人の受付担当です。


 まぁ、新人といっても勤続は2年程度はあります。受付業務は24時間営業ですが受付は3交代制の週休二日制とボーナスは年二回とかなりホワイトです。


 ここの探検者協会は、近くに三級迷宮の小鬼のダンジョンと遠吠えのダンジョンがあり二級迷宮の黒狼のダンジョンに隣接する形であります。というよりも、二級以上のダンジョンの半径100m圏内には必ず管理所が日本国内ではあります。探検者の方々の利便性などにも配慮した結果です。


「14番の方、査定終了しました」


 比較的に初心者さんや新人さんからベテランさんまでが、よく利用します。ちなみに初心者は授与式を受けてから1年以内の子たちを指します。


「今回の査定金額は22000円ですね」


 今のは、遠吠えのダンジョンでコボルト、犬の顔をもつ人型のモンスターでゴブリンと同程度の強さ、今回の初心者さんだけど結構頑張って倒しましたね。四人組みたいですけど6時間でこの金額なら悪くないですね。まだ高校生のようですが優秀な子たちでした。


 さてと、次の人はと…えっ…この金額本当ですかね? いえ、査定金額が間違うはずはないのですが、添付されている収支報告書によれば二人で小鬼のダンジョン、2階層までで往復5時間と時間は悪くありませんが数がおかしいです。ゴブリンとはいえ、ここまで多く倒す人は滅多にいません。というよりも初心者で平然と戦い続けられる人も珍しすぎます。トータルで100匹近いて…収支報告書はパーティー間などでもめないため最低でもパーティーメンバー全員分発行されます。企業などの場合はさらに手数料をいただきますが、発行する公的な書類なので間違いはないはずです。

 

 まぁ、注目株としてリスト報告しておきますね。こういう細かいデータものちの一流探検者発掘につながりますからさてと…


「15番の方、査定終了しました」


 やってきた二人組の男の子…なんか身にまとってる雰囲気が違う…うん、こういう子がきっと将来は一線で活躍するんだろうな。


「今回の査定金額は10275円になります」


 振り込みもできるけど5万円未満ならその場で受け取るのが一般的なんだよね。





 この日二人は、受付のお姉さんにお勧めのお店を聞き、大プッシュされたエスニック料理店へと向かい3000円のディナーコース(ナンorライスお代わりは1回だけ可、お好みのカレー、ドリンク一種、前菜、トマトスープ、シシカバブorタンドリーチン、デザート)を堪能し帰宅した。

時給換算しますと

・4人組 一人当たり時給916円

・錬治達 一人当たり時給1027円


 けっこう割のよいバイトなみの稼ぎになります。

 ちなみに四人組も決して悪くはありません。一般的な探検者一年未満の時給は800円前後が普通になります。ちょっとした小遣い稼ぎなどにはなります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定がしっかりしていていいと思います。 [気になる点] 句読点がそこらじゅうで抜けていて読みにくいです。
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