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【五階層一区画】ゴールデンウイーク明け

五章の開始となります。


【五階層一区画】ゴールデンウイーク明け


 ゴールデンウイークも終わり、行事らしい行事もなく平常授業の日々となるが、担任の大島左近はホームルーム開始前から突っ伏していた。


「先生、どうしたっスか」

「あぁ~ゴールデンウイークにやらかした生徒がいます…お前ら俺のこと嫌いか? あぁん? 休みの時くらいは大人しくしてくれよ! 泣くぞ! いい大人だけど泣くぞ! おっさんがなくとめんどくせぇぞ! この野郎」


 かなり情緒不安定である。


「ふむ……やらかしたと言われても我は、普通にアルバイトで三級ダンジョン処理のアルバイトをしていただけだから違うな」

「そうですね」


 三級ダンジョンは多数出現するのだが、適度に間引かないと、様々なトラブルになる。その為に低階層のダンジョンは民間でダンジョンコアを破壊し、消滅させる事業は、それなりに需要もあり長期休みなどの際には募集もかかる。


「あぁ、お前ら…報告着てるぞ。新藤、志藤。お前ら…3階層ダンジョンで随分派手にやっただろ?」

「ふっ…アレはなかなか面白かったぞ。臨界突破間近でな、ゴブリンとはいえワラワラといて新技の練習によかった」

「お見事でしたね。城一さん」

「……一緒に潜ってたアルバイトが、精神的ショックで入院したそうだが…お前らやり過ぎただろ」

「ゴブリンの軍勢であったからな、ちょっと首狩りをしただけだぞ」


 なにをやったかといえば、作り出した剣で、ひたすらゴブリンたちの首を岬と二人で首狩りをしまくり、血風吹き荒れ、死屍累々にあまりにも苛烈な戦いだったとの事。また、長らく放置されていた廃屋のダンジョンで階層などは少なくとも、モンスターがダンジョンから溢れる災害モンスターパレード寸前だったために低級のゴブリンが雲霞のごとくおり、城一と岬の二人で500匹近くを倒したという報告を聞いた時、左近はあまりの数に唖然となってしまった。


「まぁ、アレはアレで我の修練になって我は満足であった。片手剣のレベルが上がって片手剣術になったからな」

「私も、二刀流が身につきました」

「…………まぁ、いいよ。うん、まだましだから。次、小鳥遊、秋葉、諏訪…お前らもわかるよな?」


 名前を呼ばれた三人は顔を小首をかしげた。


「ミャハッ? 何かしたかな美穂ッち」

「……しろくま食べただけ?」

「アハハハ、後は焼き肉とかラーメン屋とかいろいろといったよね」

「えっ、シロクマ食えるのか?」

「先生、シロクマは鹿児島名物の氷菓です。フルーツを盛り付けて練乳をかけたものです」


 崇高が説明した通り、鹿児島の夏の風物詩ともいえるかき氷で、バリエーションも豊富で人気もある。


「他にもあるだろ…」

「ふふん、アレだねほら三級ダンジョン巡り」

「ミャハッ、食後の運動もかねていったよね」

「…運動しないと直ぐに大きくなる…大きいと不便…」


 美穂は自分の胸を見つめる仕草にピキッと何かが亀裂が入るような音が聞こえた気がするが…それはともかくとして、大島は話を続ける。


「いくつ荒らした…?」

「うーん、5個くらいだっかにゃ?」

「アハハハ、それくらいだったよね」

「うん……適度にいい運動」

「SNSで『巨乳ゴスキター』とか『リアルケモモ耳美少女がおるモフモフしてぇ』とか『リアルで浮いてる少女が…』とか書き込みがあるんだが…あまり騒ぎになることはお願いだから勘弁してくれ…」


 三人ともタイプの違う美少女といっていいルックスであり、並みのダンジョンアイドルよりもカワイイというのでちょっとしたアイドルグループと勘違いされてファンクラブや芸能関係の事務所が動き始めていたりしているという情報に大島は頭を抱えた。


「はい、次。矢車、赤城、琴吹。お前らはお前らでなにやってるの?」

「いや、オレは次郎の手伝いしてただけで…」

「手伝いをしたことを否定したりはしませんわぁ~」

「そうっス、一組の加賀さんのおじいさんのラーメン屋手伝っただけっス」

「じゃーなんで大手ラーメンチェーン店とラーメン対決してるんだよ! お前ら、どこのグルメ漫画だよ!」

「なりゆきっスね」


 アルバイト先のラーメン屋にてトラブルに巻き込まれた次郎が店の維持のために奮闘。≪デッドコピー≫をフル活用し店本来の味を生かしつつ更なる改良をした新作ラーメンで盛り返すも、相手店の妨害があったために暇をしていた調と佐江に援軍要請。物理的な嫌がらせに対しては調が、そして裏工作はなぜか張り切りモードの佐江が合法的に相手を追い込み、なんやかんやでのラーメン対決に勝利するという壮大なドラマが展開されるゴールデンウイークであった。


「とりあえず、ラーメンは美味かったけど、なんでトラブルになるんだよ。普通にアルバイトでそんな展開とかないからな?」

「えっ……そうなんっスか、なんかしらないけど、自分、いろいろと事件に巻き込まれるんですけど……大体、旅行にいった宿に名探偵とかがいて修羅場とかに鉢合わせたりとか、冬のペンションにいったら雪で毎回閉じ込めらるし、キャンプにいったら大雨で土砂崩れで道が封鎖とかも普通っスよね?」

「えっと…赤城…先生が悪かった」

「よく会う、高校生探偵と蝶ネクタイした小学生とはメル友になったりして、そう悪いことばかりでもないっスよ」


 クラス全員が内心いたたまれなく思いながら全員、天を仰いだ。


「あぁ…渡瀬と新田はご苦労様。ちなみに探索者協会本部から是非今スグに来て欲しいと泣きながら連絡がきたぞ」

「社交辞令でも嬉しいです」

「お役に立てたのなら光栄ですね」

「いや、マジで泣いてたから…評価基準設定作成かなりつらいみたいだからな。あいつ新婚なのに残業続きで浮気疑われているくらいだし…いい気味だ」


 大島左近34歳、心の闇は深いようである。


「さてと…最大級のやらかし組、六角、藤堂、如月、尾張…お願いだからもっと大人しくしてください。マジで各所からの問い合わせとかマジでめんどくさい。方々に手をまわして抑えるの大変だったんだぞこの野郎」

「すみません。けど、先生。私考えたんですけど、こういうのはどうでしょうか?」


 ゴールデンウイークの全員のやらかしを聞き、美千代は自分の計画を発表することにしたのであった。

ご意見・ご感想があればお聞かせください。

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