【四階層二区画】栄枯盛衰
今回は世界情勢のお話
【四階層二区画】栄枯盛衰
驕る平家も久しからず。とはよく言ったもの。
ダンジョンが顕現してからというもの、それは、世界中で起きている。
例えば中国の分裂。これにより、世界のサプライチェーンが崩壊に繋がり、特にドイツ、アメリカ、韓国(現・統一朝鮮民主主義人民共和国)の経済に大打撃を受けることになった。それに連鎖するように被害をうけた組織がある。
その組織とは、国際連合。元々2019年に250億もの赤字計上と現金の払底というギリギリの状態が続き、さらに、建前上の中立性や、組織の運営体制による不信感や、私的利用など信用も払底に至り存在意義に対する否定的意見がアメリカ国内からも湧き上がるなど、運営は破綻していないのが、おかしい状態であった。
それが、中国の崩壊によるパワーバランスも瓦解し、現在の国連はハリボテ組織となり果てている。それも仕方がないともいえる。なにせ分担金は割り当てられている。金額全ての支払いに応じているのは、先進国では日本だけという状態。どの国もダンジョン対策の為に理由をつけて減額された分担金の支払いすら厳しい状態。さらに人員の流出なども加わりもはや体裁を保つのすら難しい状況なのである。故に現状ではもはや調査・統計機関としてくらいの能力しかない。
それでも、業務はしないわけにはいかない。なにせ実績がなければそれを理由に分担金の減額などされればもはや崩壊するしかないのである。権威ももはやなきに等しい状況ではあるが国連という体裁を保つためと予算を獲得するためにできたのが国際迷宮調査機関(IDO)である。この機関では各国の探索者の傾向やダンジョン関連の国際条約の取りまとめの仲介機関を目指して活動をしている。
「ハァイ、モルガ。どう調子は?」
「サリィーか…そうだな。やはり日本が頭一つは抜けている感じかな」
そのオフィスにて調査員である、バン・ディヴィット・モルガとニナ・キャシィー・サリィーが久しぶりの会話を楽しんでいた。
「そうじゃなくて、あなたの調子を聞いたのだけど…南米出張だったわよね」
「あぁ…今回もハードだったよ。けど、やっぱりカルテルが機能しなくなっているから治安はよくなってるね」
「そうなの?」
「あぁ、やはり《薬物耐性》とかのスキルの影響なのか麻薬による利益が大幅に減少したのは大きい。まぁ、その代わりにダンジョンの縄張り争いは激しいけど麻薬関連の争いよりはマシかな。それにダンジョン素材を加工する技術がそこまで高くないからわりと原始的な加工が多かったね」
「ダンジョン素材の大量に加工が可能な国は少ないから仕方ないわモルガ」
「あとは、使い潰しによる人海戦術は行われていないね。やはり縄張り争いになると人手がいるからなのか14歳未満で探検者カードを所持しているのは多くなかったね。まぁ皆無ならいいんだけど…そっちは統一朝鮮だったかな?」
「えぇ、向こうは何というかレベルが序列になってるわね。そのせいか下層世帯だと14歳未満での取得も珍しくないわね。ただ、上階層だと逆に0だったわ」
「よくそれで上手くいってるな」
「ダンジョン数が少ないから2級ダンジョン以上には探検者カード以外の手続きが必要で下層だと入れないみたいね。それに極端な都市集中型国家のせいで様々な格差社会の縮図みたいになってるわね」
「あの国は七海ダンジョンの一つの日本海ダンジョンのせいで、シーレーンが崩壊しているから輸出入は陸路か空路…ただそこもロシアが抑えているからな」
「燃料の備蓄が少ないから、長距離便はないわね。日本とは、関係悪化で断絶しているし」
「正直、今の日本と関係悪化。なんて狂気の沙汰だが隣国同士が仲がいいなんてことはないからな」
「それはそうね。利権関係での友好はあるだろうけど…EU・イギリス方面の担当者の就任祝いが胃薬という慣例ができてるし…」
「あっちは、調停役とかもあるからな」
「まぁ、その後で日本観光できたのはよかったわ。お土産もあるわよ」
「僕の好物のドラヤキも?」
「えぇ、モルガ。ちゃんと買ってあるよ」
世界のパワーバランスというシーソーゲームは激しく変動している。日本もいつ崩壊を始めるかはわからない。世界の混沌はまだ始まったばかりなのである。
ご意見・ご感想があればお聞かせください。
世界情勢だと
IWC(国際捕鯨委員会)は既に解散されています。理由としては、それどころじゃないというか日本抜けてから資金面もかつかつであったのと調査捕鯨のノウハウが日本にしかなくて自分たちで調査する技術がなかったことなどが原因です。
シーシェパードなども同じく解散しています。理由は反捕鯨活動中にクジラ型のモンスターに襲撃されたために反撃している動画が流れたために一気に支持を失っています。加えて中心メンバーをその際に一人を除いて死亡しています。
IOC(国際オリンピック委員会)も解散しています。主な原因は競技人口の減少なども踏まえてダンジョンが誕生するより以前の記憶を、あっさりと塗り替えられ、かつ強化選手などもダンジョンを攻略した探検者にあっさりと負けてしまったのも大きい理由です。
一般探検者の能力でもレベル10になれば、ウサイン・ボルトよりも速く走れます。




