【四階層一区画】ダンジョン改定議会
いろいろと大人の世界も動いてはいます。
【四階層一区画】ダンジョン改定議会
日本迷宮協会の運営部での会議が行われていた。
「やはり、犠牲者は多いですね」
「基準改定が必須ですね」
日本国内のダンジョンの多さは世界一である。それも、一級ダンジョンだけでも、規格外の多さなのに二級ダンジョンすらコンビニ感覚であるのは、異常なのである。だが、そのお陰で日本国内のGDPはアメリカの倍近くまで跳ね上がっている。
「神社やお寺にあるダンジョンは二級でもかなりの難易度になっていますね」
「小さな祠でもその傾向がありますし」
ダンジョンは、ある程度の実力があれば安定した収入源になる。だが、やはり不慮の事故などでけが人や死者すらもでる。ただ、ダンジョン内で犯罪を起こすと称号の欄に犯罪名が浮かび上がることが犯罪抑止にはつながっている。
「やはり初期の分類だけではなく、等級を追加するのがいいのではないでしょうか?」
「現場からも意見がきてますし」
協会内は決して風通しがいいとはいえない。
10年程度の組織ではあるが、やはり天下り先にもなっており執行部と実務では温度差もある。下手に行動を起こして、それがもとで、何らかのトラブルになれば責任をとらされて悠々自適の立場を失うことを嫌がる人間は少なくない。とはいえ国会で取り上げられ喚問までされているのに、何もしなかったとなれば責任追及される。という事態になって、ようやく重たすぎる腰を動かす事態になったのである。
「あぁ…では、確かあったよね。ちぃみ。とりあえず実務のほうで煮詰めてたのにそれでいこうじゃないか…責任者は中央室長の徳田信二くんでいいよね?」
元大蔵省官僚であり、形だけのトップにいる天見蒼海が確認する。
執行部といっても、特にすることないというか、来ても適当に書類にサイン…する仕事もしてない、はた迷惑な存在だが、自尊心が強いと面倒極まりない老害なので、適当に持ち上げてお伺いを立てるという形で承認をもらうしかない。それでも業務に支障がないのはひとえに実務部が優秀なおかげといえる。
そんな苦労により、ようやく改定案が提出されてから5年目で、ようやく等級改定案が通過したのである。
改定案は以下のとおりである。
・三級ダンジョン…五階層未満のダンジョン
・準二級ダンジョン…五階層以上十一階層未満のダンジョン
・二級ダンジョン…十一階層以上二十五階層未満のダンジョン
・準一級ダンジョン…二十五階層以上三十一階層未満のダンジョン
・一級ダンジョン…三十一階層以上のダンジョン
以上を基準に更にモンスターの傾向や頻度なども考慮して数値化される案で話は勧められた。
その会議後
「特級スキルの《ホワイトブック》《ライブラ》《デッドコピー》に協力を頼めないですかね」
「学生ではあるが、確かに協力を頼めたら捗るが…一応、打診をしておこう。正直この三人の協力してもらえば捗るのは間違いないからな」
「自分は資料だけで知ってますけど《ライブラ》は数値化してもらえば助かりますし、その数値をもとに《ホワイトブック》で予想してもらったり、後は何よりも自分は《デッドコピー》は凄いと思いますよ。習得スキル数なら間違いなく世界一。究極の万能タイプですからね。様々な戦闘スタイルを使い分けるて話ですから正直、どの企業も欲しいですね」
「そうだな。できれば直ぐにでも、うちに欲しい人材たちではあるな」
ユニークスキルとしては、比較的に大人しい部類に入るが、その価値を知る人たちにとっては喉から手が出るほど欲しい人材なのである。
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