【三階層十区画】知る二人
今月も毎週、日・水の正午に投稿をいたします。
久々にあの二人が登場します。
【三層十区画】知る二人
京都久御山高校剣道部道場
激しい打撃音が響く
「ちょ、坂田まってもう勘弁して」
「なに言ってるんです。ほら立ってくださいよ。浅野さん、大石さん」
「マジで、勘弁して…というか、丁寧になんでそんなに鬼畜なんだよ」
「いやぁ、今日はちょっと滾ってまして。さぁ、もう一本お願いしますよ」
進学した銀之助は、日々鍛錬に励み一年でも、既に頭角を現しており同学年では、二対一でも引けをとることはない。
「なら、僕が相手しようか?」
「沖田、マジ天使」
「珍しく早いですね。沖田さん」
「いや、主将に拉致られたからね」
沖田相馬。一年で唯一、銀之助と互角に戦える存在であり、ライバルとも呼べる相手ではある。天賦の才はあるが、協調性というのは、ほぼ皆無なのが欠点である。
「それで、主将は?」
「今度は副主将を拉致に行ったよ!」
鋭い突きと斬撃の応酬にも関わらず、二人は会話を続ける。
「なんで、主将今日は全員に強制招集なんてかけたのかな」
「あぁ、多分、それ俺が原因だわ」
「へー、なになになにやったの優等生の君がさぁ!」
「別に、ただちょっと伝手があって今話題のユニークボスとの戦いの映像手に入ったて報告をしたんだよ」
特化クラスの様子は、しっかりとアンブレラと呼ばれるドローンで撮影されており、ジェノサイドマンティスとの戦いも、もちろん記録されていたのである。
「なにそれ面白そう」
「とりあえず、主将が来たら、みんなで見ることになってますよ」
二人の剣が交わりは、主将がくるまで本当に続いた。なお、一部女生徒からはいろんな意味で熱い視線が送られていた。
「坂田。その映像を流してくれ」
「それはいいんですけど近藤主将…なんで土方さんが、縄で縛られているんですか?」
「ジンケンシンガイダー、近藤さんマジで勘弁してくださいよー」
「黙れ…潰すぞ」
剣道部主将、近藤戦質実剛健であり、その実力は折り紙付き。さらに寡黙で硬派。じゃっかん顔は強面ではあるが、それがいいと女子生徒からも人気は高い(彼女あり)である。
対して副主将の土方友はチャラい、しょっちゅう女の子とレッツパリィーしている。
「あぁ、いつものですか…じゃ流しますね」
動画を流し始める。最初は全員ワクワクとみていたが、だんだんと静まり返っていく。
「これがユニークの戦いか」
「いや、あの刀もったのマジヤバイねぇ。うんヤバイ。もし、戦うなら本気ださなきゃいけないじゃん」
「あの最後の技は僕でも無理かな。できても同じ威力はだせないかな」
戦、友、相馬それぞれの感想である。
(錬治のヤツ強くなってるな…しかも、あんな面白そうな相手とかいいな。土方さん相手してもらおう)
銀之助も、かなり充実した日々を送っているようである。
東京お茶の水女子大学附属高等学校
この日、一学年に激震が走った。今年入学した中でも特に目立たなかった一人の生徒が、至上の笑みを浮かべながら登校したのである。いや、年頃の少女が笑顔で登校した程度では、そうはならないが、鉄面皮としてある意味有名な一年生、大隅幸だったのだから何事かという騒ぎになったのだから…
「えっと…大隅さん今日はどうしたの?」
「? どうしたの、というのは、どういうことですか? 二階堂さん?」
「なんだか上機嫌だったから…いいことでもあったのかと…」
「……特に何もなかったかと、そうだ。二階堂さんて一年生の選抜に選ばれていましたよね?」
「えぇ、まだ候補だけど。それが何か?」
「他言無用でお願いしますけど…少し知り合いから面白い戦闘動画をもらったんです。非公開のモノなので参考までにお見せしていいかと思いまして」
「戦闘動画? Dムーパーの方に知り合いでも?」
「いえ、昨日の夜に珍しく友人が連絡をくれましてその時にもらいました」
友人という言葉のさいに少し頬が緩んだことに気が付いた二階堂ではあったが幸の取り出したスマートフォンに視線を向ける。
「再生しますね」
最初は、遠方の友人が送ったボスモンスターとの戦いの動画を軽い気持ちで見始めた。が、そこであったのは、凄まじいまでの技の応酬。同年代とは思えない連携など見る点が多いこと。とくに気になったのが一人の男の子だった。特に目立たないが…
(すごくサポートのタイミングが上手い。けん制もヘイトコントロールもそのお陰でアタッカー役の人が凄く戦いやすいしタンク役も安定している)
その映像は衝撃のオンパレードだった。そしてボスへのフィニッシュと非常にレベルの高い映像だった。
「あの大隅さんこの映像て」
「今、話題のユニークボスとの戦闘動画です。自慢げに送ってくれたんですよ……一方的に…」
少々不満気だがやはり嬉しそうに語る幸と話しながら
(あの刀を使ってた人ですね……大隅さん…ワイルド系の方が好みだったんですね)
「いえ、違いますからね。友人ですからね」
「ひゃい!?」
なんとなくツッコミをいれる幸だった。
なお、この映像は極秘資料として一部生徒のみ閲覧が可能になるのであった。
ご意見・ご感想があればお聞かせください。
銀「…新選組とオレをなぜまぜた」
作「京都で剣術といえば外せなかったんや」
作「幸は毎週豆に手紙を送っているので錬治も律義に手紙を書いています」
幸(…向こうは敵が多い…)




