【三階層五区画】藺牟田池ダンジョン その四
今月は毎週日・水曜日の12時(正午)に投稿をいたします。
【三階層五区画】藺牟田池ダンジョン その四
六階層、七階層と昆虫型モンスターや植物型モンスターの群れは今までの人型や獣型のモンスターとはまた一味も違う厄介さがあった。モンスターにも感情は僅かに感じられるが虫型、植物型には恐怖を感じられない。淡々と襲い掛かる襲撃者は予想以上に厄介ではあったが敵になるかと言われると微妙だった。
「鬱陶しい!!!」
錬治が切れた。
探検者カードを取り出すと片手で操作し新たな魔法を作成する
「<斬風>」
刀の延長線上に風の刃を作る魔法を作り攻撃範囲を広げることにした錬治。
道中、絡めとるように対象に巻き付くエンタングルスネークに襲われたぼたんをみてなぜか美千代が精神的ダメージを受けたり、カモフラージュヴァインという道を偽装する蔦のモンスターなど搦め手をするモンスターがでるなどと二級ダンジョンの五階層以降は戦闘以外にもやっかいな点も経験することになった。
「うーん、ここは種類多いな。普通の二級ダンジョンでもここまで幅は広くないのに…まぁそういう特性のダンジョンなのかも」
ぼたんは情報を纏めながらそう呟く
「そうなんスか?」
「うん、普通のダンジョンなら同系統のモンスターが数種なんだけど…昆虫系は幅が広いけどここまでなのは珍しいかも」
ダンジョンには二級ダンジョンからは特性がいろいろとある。出現するモンスターには系統に法則性などもあり更にご当地ダンジョンとよばれその地方独特のモンスターが出現したりするのでご当地回りを活動のメインにする探索者も一定数はいる。
第三班での戦闘の活躍は主に錬治ではあるがそれ以外だと何気に活躍するのが次郎である。器用貧乏とはいうが次郎はその例からかなり逸脱している。次郎の特性はむしろこの応用力こそが高いと評価しているぼたんと他数名であった。
調はというと同じく目立ったことはないがバランスがいい。仮面をつけなくとも格闘術もそこそこのレベルだがカウンターが非常に上手い。それも相手の急所を的確につくことでの活躍は随一といってもいいかもしれない。
道中は牛のような大きさでマーブル模様がうかんだカブトムシのダマスクスビートルやクワガタが同時の時にはさすがに調も【鉄鬼】の仮面をつけてたたかった。美千代は「捕まえたら高く売れそう」といって全員が和んだ。
そうして到着したのは10階層のボス部屋入り口。そこでは一班の面々がくつろいでいた。
「遅かったな」
声をかけてきた城一に全員軽く手を挙げる。
「まぁ、二班の状況は?」
「掲示板で確認済みだ。どうやら外には出たらしい。一日近くのホテルで休んで再度アタックするそうだ」
「じゃ、私たちはここで一晩休んで明日の朝アタック?」
順調に進んできたとはいえ既に10時間近く経過していた。
「そうだな。場所は確保してあるからそこで休むとしよう」
軽い打合せの後は全員で食事を作る。意外と城一も参加というかカレーだったのがこだわりがあるのかかなり真剣に作り好評を得て満足したのだった。
次回投稿は2月16日 日曜日・正午になります
 




