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【最終階層到達点】世界は終わらない

「というわけで、邪神フィロンは10年前に封印されたわけだ」


 調は教壇に立ちながら、授業を進めていた。


「先生も戦ったんですか?」

「あぁ~…まぁ、戦ったな」

「えっ…でも先生あんまり強そうじゃないですよね」


 クラスからは笑いが上がるが……


「そうだな。先生は弱い方だったよ。佐藤くん」


 音もなく、一瞬で「強そうじゃない」といった生徒の背後に立つ。大人気ないともいえる。


「あっ、えっ!?」

「まっ、これくらいはな。あぁ、来週から先生は、私用で休みだから課題を出しておくからな」


 そこで終了のチャイムが鳴り教室をでた。


 矢車 調は、フィロンの戦い後、大学に進学し教師になった。


「はぁ、いよいよ来週か……最後に全員が揃ったのは、5年前だっけか?」


 夜の首都高を飛翔するモンスター。フィロンの戦いのあとからモンスターはダンジョン外にも出現するようになり、新たなにそれを駆除するスイーパーという職業も誕生した。そんなスイパーの一人がコブラを運転しながら追跡していた。


『佐江さん、首都高の封鎖完了しました』

「ありがとうございます。ぼたんさん。それでは、手早く終わらせましょう、明日の昼には飛行機に乗らないといけませんから」


 そういって助手席に置いておいたロケットランチャーを手に取る。


「それではくたばって下さいな。モンスターさん」


 勢いよく発射されたミサイルが、モンスターを撃墜した。


「任務完了です。ぼたんさん」

『お疲れ様です、佐江さん』


 琴吹佐江は大学卒業後に、対モンスターのスイパーとして活躍していた。また、渡瀬ぼたんは、対モンスターセンターで指揮官として勤めている。


「同窓会。楽しみなのは、否定できないですわね」


 修蓮館高校。かつてイレギュラーズが過した教室に、ほとんどの揃っていた。


「でっ、先生は?」

「奥さんが臨月なので参加できないと連絡が来てましたね」

「ふむ、残念である」

「そうですね。城一さん」

「二人とも結婚しても変わらないね。そのやり取り」


 城一と岬は無事に結婚。というか、ヒルディモアとも婚姻している。


「ヒルデさんは、三人目でしたわね? あちらの生活はいかがですか岬さん?」

「今は内政を進めていますが、民主主義は今のところ無理ですね」

「無理に定着させようとするのは不可能であろうな。そもそも民主主義には国民が高い教養があってこそのシステムだ。あちらではムリ」

「さすがは次期国王は違いますわね」

「国王はあくまでもヒルデだ」


 城一は、空に鏡面のように映るようになった、シルフィディアにて移住していた。今のところ行き来は、特殊な方法しかないが、100年もすれば国交ができるであろう。


「ケケケケ、次郎。おまえさん、今はラーメン店やってるんだってな?」

「そうっス」

「心友、おまえがあの裏暗黒美食グループの中華のシーと結婚したときはびっくりしたな」

「押しに負けたっス」

「ワイの鶏油ソバ屋も向こうじゃ好評やで、ちなみにこないだ4人目が生まれたばっかや」

「ラブラブだね美穂」

「…ラブラブする? 一芽ちゃん」

「うーん、後で」


 一芽も美穂も大人っぽくなり、どこか妖艶さが身についていた。二人は現在は獣人族などの地位向上と吸血族の復興に尽力をしていると楽しそうに話していた。


「崇高、最近はどうよ?」

「そうでありますな。なかなか優良な人材が増えておりますよ」

「いや、お前の結婚だよ」

「今はまだでありますよ。それに研究が忙しいであります」


 崇高は今は、探検者研究センターにて能力を測定する業務に就いており、その仕事で手一杯でいまだに独身ではあるが、実は年上の彼女ができたとの事をあとで話して盛り上がった。


「それで源治、お前の商売は旨く行っているのか?」

「……あぁ」

「まぁ、ウチがおるさかい。今のところは大丈夫や」


 源治は個人工房を経営しており、交渉面は美千代が担当しおしどり夫婦として有名な工房となっていた。


 そして……


「ふむ、錬治と充希がまだのようだが?」

「えぇ、二人が来てませんわね。来ないという連絡はうけてませんし」


 そういうと、教室に黒い穴が開き、ドサリと何かが落ちてきた。


「ハハハハハ、到着」

「よっ!」

「……みなさんご無沙汰です」


 落ちてきたのは、充希と錬治、そして、錬治の妻となった幸が降りてきた。


「遅刻ですわよ」

「いやぁ、わりぃ。ちぃと別次元の邪神狩ってた」

「コンビニ感覚で邪神狩りにいくのどうかとおもうっスよ?」

「今回は、わりと強かったんだぜ?」


 錬治は、充希と世界の狭間を巡り邪神と戦う日々を送っていた。


 邪神フィロンは封印された。しかし、それだけだ。


 世界は巡り、新たな災厄は起きるし、平穏は儚く消えるであろう。


 だが、それでも、人は生きていく。


 勇者であろうとなかろうとも。


 強かろうと、弱かろうと。


 希望を抱こうと、絶望を抱こうと。


 明日を信じて、人はそれぞれの道を歩み続ける。


 やがて、誰かの英雄となるその日まで…


 ~日本ダンジョン戦記 完~

評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。


これにて完結となります。長らくご愛読ありがとうございました。


本日より、新作「迷宮×功夫~燃えよ龍雄! 若返ったおっさんは、最強を目指す~」

https://ncode.syosetu.com/n0700hs/

の投稿を開始いたしました。

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