【二十一階層十二区画】敗北! 光太郎の戦い
様々な武器が折れた地面に突き刺さり、まるで墓標のようでもあった。
「はぁ、めんどくせぇな。本当にめんどくせぇ」
上半身裸で、頭と下半身が山羊。両手には、金槌をもっていた。
「ケケケケ、ならおとなしく寝とけやぁぁぁ」
光太郎の振るう斧と金槌がぶつかり合い火花が飛び散る。
「はぁ、なにやっても無駄なのに。おまえは勝てないだよ。おらは、『敗北』のウィクトル。だれもおらには勝てない」
力で押し切ろうと、ウィクトルが力をこめる。ウィクトルの権能は『自分よりも相手を弱くし敗北させる』能力。故に簡単に勝てると思っていた。
だが、光太郎の能力とは相性が最悪の権能。
「《トレイター》」
反逆の能力。反転させる能力が逆に光太郎を強化する。
その結果は火を見るよりも明らか。
「おらぁぁぁぁぁ」
ウィクトルを逆に押し切り滅多打ちにする。
神だからこそ、人に勝てない。
「げほっ、おらの権能が通じない……そんなはずはない」
相手を弱くする。相手の足を引っ張り勝ってきた。つまりその程度の神なのだ。
「ケケケケ、てめぇは弱い見掛け倒しだな!」
「にんげんがぁぁぁぁ」
出鱈目に暴れるウィクトルだが、それも通じない。
逆境に反逆し、マイナス効果をプラスに変える能力。
初めての天敵。
光太郎の攻撃の傷は治らない。神の再生能力も権能もありとあらゆるものが通じない。
故に敗北
十邪神の中でももっとも恐れられていた敗北のウィクトル。
その名の通りにあっさりと、こともなく敗北するのであった。
評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。




