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【二十一階層十区画】デスマッチ! 一芽と美穂の戦い

 拷問部屋。それが一芽と美穂が立ち入った宮の第一印象だった。


「ようこそ。かわいらしいお嬢さんたち。私は『残酷』のシャリアス」


 そういって人骨で作られた豪華な椅子に座っていたのは、中世ヨーロッパの貴婦人のようないで立ちで、幼くも妖艶な淑女であった。


「わたし好みの子たちが来てくれてとっても嬉しいわ」


 そういってシャリアスは立ち上がると鎖で繋がった巨大なギロチンの刃を片手で一刀ずつ握った。


「楽しく踊りましょ。そうね、そっちのドレスの子はわたしの衣装掛けに、そっちの褐色の子は、ゾンビにしてメイドとして使ってあげる」


 そう言いながら、その細腕からは考えられない剛力で振り回す、たが一芽は余裕の笑みを浮かべると。


「おそいし~【神獣・白虎闘士】」


 白き虎の姿に変わると、一足で懐に飛び込む。


「【白虎乱打】いくよぉ」


 腹部、喉、顔面と滅多打ちにする。


「人間が、かわいい事をしてくれるじゃないの!」


 ギロチンの刃が意思があるように、一芽に襲うが


「させねぇよぉぉぉ【血ノ大鎌】」


 ギロチンを美穂が叩き落し続ける。


「一芽、いけぇぇぇぇ」

「任せて美穂ッチ。【白虎空裂撃】」


 一芽の攻撃は加速する。足払いで態勢を崩し宙を舞う一瞬に腹部への乱打、乱打、乱打、乱打。そして、それと同時に叩き込まれる衝撃波が何度も何度もシャリアスの体を駆け巡る。


「いい加減にしろ【デス・メイデン】」


 突如、腹部が縦に裂けると肉塊の腕が一芽を掴まんと伸びる。


「危ない!」


 美穂が一芽を蹴り飛ばし、腕を切り払う。その手ごたえはまるで水飴でも切ったかのような手ごたえしか伝わってこない。


「まさか、この姿をさらすとは……ゆるさないよ!」


 出来の悪い赤黒い泥人形の巨人が姿をあらわにしていた。


「グチャグチャにしてやる残忍に!」


 拳を振り下ろすも一芽はひらりと躱し、拳は地面にぶつかり、ぐにゃりとひしゃげる。


「そうはいかねぇし【神獣・白面闘士】」


 九尾の妖狐の姿に変わると一対の扇を振るうと黒い球体がシャリアスを取り囲む。


「美穂ッチ!」

「まかせなぁぁぁ」


 黒い球体に吸い込まれるように、大鎌加速する。


 まさに縦横無尽のコンビネーション。


 一撃必殺の一撃も当たらなければ意味をなさず、再生力の高さなども、八岐大蛇と比べればお話にならない。


 故に舞う。舞う。舞う。


 舞の動作に合わせてシャリアスの体は次々刻まれる。


「ハハハハハハハ。イケ、イケ、いっちっまいな!」

「ふざけるな人間! わたしは神だぞ」

「かんけぇねぇし。【超重振砕】」


 黒い球体が一塊になり超重力に押しつぶされそうになるが、耐えきる。


「こ、こんなものに!」

「なら、こいつも喰らいな【ブラッド・ツェペシュ】」


 赤黒い杭が地面から伸びシャリアスを貫く。


「こ、こんな馬鹿な」

「その首いただくぜぇぇぇえ!」


 美穂は大鎌を更に巨大化させ一気に首を切り落とすのであった。 

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