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【二十階層十四区画】天船
聖堂には少女の嗚咽が響いていた。
「兄さま……兄さま……」
呪剣・ダインの呪縛から解き放たれた青年の遺体を抱きしめながらヒルディモア泣き続けていた。
「まさか、彼の遺体を回収できるとは思っていませんでした。ありがとうございます」
ルイズは深々と頭をさげる。
「いやー、今までも見ていたけど、この実力なら問題ないわね。下級神とはいえ、ここまで圧倒できるなんて」
「……わたし神ですけど……勝てる気がしないのですが……」
「そうね。シーフィリアちゃんは戦闘向きの神格じゃないしね」
傍観者であった二柱の神は話し合っていた。
「さて、ではこれを渡しましょう」
そういってアマテラが金色の船の模型を城一に差し出す。
「これは?」
「それは金の天船。それを使えば邪神の本拠地がある次元の境界へと向かえるわ」
「なるほど、理解した」
「命がけの戦いになるとはおもうけど、わたしたちが干渉できるのはここまで」
そういってアマテラたちの姿は消えた。
残された金の船を手に持ちながら最終決戦への準備が今、始まる。
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