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【二十階層六区画】飽和攻撃

 戦場に稲妻が走る。文字通りでもあり比喩でもある。


 その正体は雷を身に纏った尾張錬治である。


 錬治が刀を一振りするだけで雷光が走り、バードマンもギルマンも捉え黒焦げとなっている。


 ギルマンは水中に逃げる。本来なら自分たちの安全圏。そこなら安全のはずだった……だが……


 グオォン


 『沈澱』のスキュルの触手が乱れ振り回され、それに巻き込まれて絶命する。それすらも意に介するだころか混乱したかのように触手を振り回す。


「ケケケケ、ぬりいよなぁ。オラオラオラオラオラァ!!!!!」


 迫る触手を拳一つで吹き飛ばすのは光太郎。スキュルが暴れれば暴れるほどギルマンに被害が大きいと判断した光太郎は、追い詰めるようにジワジワと攻め立てていた。


「ありえない! ありえない! ナゼ、人が水中で息が続く! なぜ、平然としゃべれる!」

「ケケケケ、できるんだから仕方ねぇやろ」


 できないからこそできる。スキル《トレイター》。理不尽なほどに出鱈目な反則級のスキル。


「なら、これでどうだ!」


 スキュルは人型に変わる。上半身は美女。下半身はクラゲの姿となった。


「クラーケンスキュラクイーンをなめるな!」

「ケケケケ、なめてなんかねぇよ。あとよ。海が割れないなんてありえなくないんだぜ?」


 光太郎が腕を振るうと、海が()()()


「はあぁぁ!?」


 スキュルは陸にに打ち上げられた魚のようにピチピチと跳ねる。


「くたばりや! 【アブソリュート・ブレイカー】!」


 その一撃でスキュルは下半身全てが消し飛んだ。


「こんな……馬鹿な……神の力が……破壊され……るなど……」

「ケケケケ、さてと次々いくで!」


 その様子をみるギルマンは、恐怖で体が硬直するのであった。


 そして、この理不尽の極みともいえる状況と同じく理不尽な状況に追いやられていたのが『怪魚』リヴァン。


「なんだその攻撃は!?」

「……ミサイルだが?」


 襲いかかってきた大鮫は逆に、魚雷による爆発でまともに泳ぐことすらできない。無尽蔵といえる魚雷は、海中の岩盤と周りの海水を材料に作製しているので尽きることはほぼない。更に避けようものなら配下を失うことになり、今後の立ち位置なども危うくなるという思いからも動きが制限されてしまう。


 どれほどの弾幕を受けたのかは解らないが、神の体であるリヴァンにとっては回復はするものと思い耐え続け耐え続け。その弾幕が止んだ。


「どうやらお終いのようだな。咬みちぎってやる!」


 大口を開けて、源治のドラガルドを丸のみにしてしまう。


「どうだ思い知ったか!」

「……所詮、獣か……」


 喰らったはずの鋼の巨人が姿を現し混乱し、腹の中に納まったはずと思った瞬間……


 ボンッ!


 腹の中で爆ぜた。その衝撃と激痛が襲う。回復はするが痛みを感じないわけではない。痛みで動きが止まるのは一瞬、その一瞬で、源治はドラガルドを突進させ上空へと一気に飛翔させる。


 サメとはいえ、神の端くれ。たとえ陸に上がったからと呼吸ができなくて死ぬなどということはない。だが、『怪魚』という縛りが存在する。あくまでも海を悠々と泳ぐという縛り。その縛りは神にとっては何よりも大事なことであり、下級の神であるならばなおさらに制約となってのしかかる。


 すなわち、空の上では力が落ちるのである。


「……これで終わりだ【カスタマイズ:アームズ・チェーンソー】」


 怪魚の神は空中でバラバラになり海面に落ちるころには、すり身となり海へと還っていくのであった。


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