【十九階層十一区画】揃いし邪神
――常闇の神殿・セーフィトロ
「はぁはぁ……まいったね。儂がダメージを受けるのなど『嘘』であろうに」
這う這うの体で逃げ帰ったヴェリテを待っていたのは
「くっくっくっ。まさか『偽り』のヴェリテともあろうものが手ひどくやられたではないか」
レイノとその妹であるヘイナーが待っていた。
「ふんっ、お前さんも逃げ帰ったのであろう」
「ヴェリテ。お兄様に不敬ですよ」
にらみ合いを始める。
「まぁ良いではないか…今日はめでたい日であるしな」
「そうですわね」
レイノに止められヘイナーは引き下がる。
「珍しいじゃないか」
「あぁ、なにせ全員がようやく揃ったのだぞ? さすがの我も喜ばずにいられん。これで我らが主が帰還させられる」
「それは目出たいな」
「えぇとっても。なにせ狭間は時の流れが不安定ですから……おかげでわたしたちの力も随分と衰退していますし…降臨までは3月というところだそうですよ」
話しながら回廊を抜け、大広間へとたどり着く。
「お帰りヴェリテ。まさか、君が手ひどくやられるとは……ヒュームどももそれなりに成長しているのだろう」
「そうだな。それでこれで十柱揃い踏みかの?」
「あぁ、そうだよ。漸くそろった。神にとっても時の流れに封じられたのは最悪であったけども……幸いにもこの世界では10年我ら十柱の記憶がまだ残っている。『偽り』君のおかげで人々は思い出してくれただろう。我らのことを我らへの憎悪と恐怖を!」
冷静沈着な老紳士である『知識』サヴァドリアも芝居がかった仕草で手を振るう。
邪神十柱それは……
『王国』レイノ
『知識』サヴァドリア
『敗北』ウィクトル
『基礎』スティヒフ
『残酷』シャリアス
『崩壊』フォール
『苛烈』インテンノ
『醜悪』ヘスリヒ
『偽り』ヴェリテ
『王冠』ヘイナー
邪神たちもついに揃い、佳境へとすすむのであった。
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