【十九階層五区画】塩料理対決・王国側の料理・魚~デザート
王国側のサーブされる料理はいよいよ残すところ三品。
魚料理が運ばれたとき、会場からはざわめきが起きた。
「こ、これはまさか、10年に一度、エクシズ運河を遡上するという伝説のレインボーホープサーモン!!!」
「その通り、我が領が誇る伝説の食材であります。その調理を務めましたのがこの、ダァートにございまするよぉぉぉ。そしてこれが、レインボーホープサーモンのバターソテー。太古の風味を載せてでございます」
派手な演出とともに虹色のコックコートをきた男が歌劇さながらにサーブした。
「さぁ、ご賞味アッレー」
運ばれたこものをギムリたちが口にした。
「ふぉぉぉこれは美味じゃな」
「確かに旨いですね」
「ほぉぉぉこいつは、ガルムソースやないか、バターとの相性も最高やな」
生唾が観客からも聞こえそうである。
「……ガルムソース?」
「古代ローマからある魚醤だよ。日本だと有名なところがあるだろ?」
「ケケケケ、エスカルゴなら食ったことあるぜ」
「あらあら……調理はシンプルなバターソテーですけど……フフフフ、まるでメインのような濃厚さを感じますわね」
間違いない高評を得ていた。
「さぁさぁ次はついにメインです。王国一の料理人と名高い! マカセシェフの一品」
「ブレイジングバッファローのヒレ肉のローストビーフに塩ハーブを詰め、黄金鳥のエッグソースを添えてだ。言葉は不要味わっていただければ幸い」
先ほどの品にも負けない存在感を発していた一皿が提供された。
「なぁ…ブレイジングバッファローってよぉ」
「ケケケケ、いやーいい金になったぜ?」
「やっぱりお前かよ」
「まぁまぁ友達思いですことですね」
「かなり美味しそうであります」
「ふぁです」
「まぁ、切込み入れてハーブと塩を詰めて焼いたんだろうな」
「なんで…見ただけでわかるねん……」
錬治たちはワイワイと楽しみながら見ている。
「ふうむ、旨いの酒も進むわい」
「肉にもよい風味がついていますね」
「よしよし、いい火入れや。肉全体にもよく火が入っておるな」
トロリとした黄金色に薄光する白いソースにロゼ色の肉がさらに美味しさを引き立てている。
「さぁ最後のデザートは……」
「へースフレだな。キャラメリゼしたはちみつかな? それにガルムを少量加えたもんだろうな」
「錬治……珍しく弁舌……」
「錬治ッチてそうだよね。料理見ると分析するへんなくせあるしー」
こうして締めくくられた、塩ギルドの料理に対抗する城一たちの料理は、どんなものなのかと、観客も審査員も楽しみでしかなかった。
評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。




