【十九階層一区画】喜びの再会
錬治たちが逗留している辺境伯の別邸には、エルフ族の英雄・エンディミオンとその一行が訪れていた。
「久しぶりじゃのエディー」
「そうですね。ギム」
ドワーフとエルフは仲が悪いといわれるが、この世界では両種族とも仲は良好といえる。
「珍しい酒が手に入ったのじゃがどうじゃ?」
「珍しい……ドワーフがそういうのですからよっぽどですね」
そういって二人は向かい合い、グラスを四つ用意し酒を注ぐ。
「それにしても、まさか、ロゼスとジャンヌがの……」
「娘さんのレミール嬢を狙われてだとか……それにしても、新たな二十二将に邪神の復活どちらも厄介ですね」
「まったくじゃ。ところでお前さんレンジたちとは?」
「挨拶はしましたよ。あのムネタカが自分たちの仲間での最強という剣士ですか……いまだに信じられないですね。カズメやミホ以上とはとても」
「あの娘っ子そんなに強いんか?」
「えぇ、かなりの実力者……もし、あの戦いのとき彼女たちがいてくれたら、彼を失わずに……」
そういって、注がれた酒を口にする。
「儂もレンジたちがいればと思うわい」
グイっと一気に飲み干す。
「すこし湿っぽい話になったが、あの話は聞いたか?」
「あぁ、塩ギルドとの料理での御前試合ですか。この非常事態に何をしているのかと思えば」
「もめておるのはヒルディモア嬢ちゃんの恩人らしいぞい。それが原因で苦肉の策というか解決策としてそうなったらしいわい」
「なるほど。とりあえず募る話があるんだ今日は語り明かしましょう」
「うむ」
旧友との再会は和やかに行われていた。そして、錬治たちはというと
「光太郎っチが結婚!?」
「……おめでとう?」
「マジかよ!?」
「めでたいでありますな」
「まさか、結婚されるとは想定外ですね」
久々に会った一芽、美穂、調、崇高、ぼたんは驚きを隠せないでいた。
「ケケケケ、だがよー。源治と美千代もラブラブだぜ?」
話題逸らしに飛び切りの爆弾を落とすが、年相応の恋バナに花を咲かせる。
「あなたが錬治さんですか?」
「あぁそうだが?」
「幸さんから話は聞いていますよ」
「そうなのか?」
「はい。あなたのことを話しだすと止まらないほどに」
「あいつ……なにか言ってました?」
「そこらへんは乙女の秘密ということで」
錬治たちは錬治たちで互いの冒険談を話、夜は更けていくのであった。
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