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【十八階層十一区画】蛇節乱舞

 『戦悦』のサビクと名乗った男は、槍を軽く振りましたかと思うと、鋭い突きが放たれていた。


「ケケケケ、あぶねぇっ……ぐっ」


 避けたと思った瞬間、光太郎の側頭部に、重く鈍い衝撃が、伝わる。


「突きを避けたまでは良かったが、そのあとがなってないな。若いの」


 余裕の笑みを浮かべながら槍を回して見せる。


「ちっ……そういう武器かよ」

「へー、初撃で、この武器の特性を見抜くとか、やるじゃないか」

「ケケケケ、九節棍……いや、この場合なら()()()か?」


 振り回されることで気づきにくかったが、柄にはいくつかの節がうっすらと光太郎の目には見えていた。


「この槍はスネークスピアという私、オリジナルの武器なのだがな。まるで他にも同じような武器があるみたいな物言いだな」

「ケケケケ、あぁ、あるぜ。珍しくはあるけどな」


 態勢を立て直すために、斧を振り、その勢いを利用して体を跳ね上げると、右足を軸に駒のように回転しながら斧を振り下ろすが、空を切り、地面を文字通りに割った。


「君…本当に人間かい? その斧を片手で振り回すだけでもアレなのに……地面を割るて」

「ケケケケ、ワイのダチなら刀一本で、たいていのモノなら一刀両断するぜ?」


 変幻自在の槍捌きのサビクに対して、一直線ともいえるシンプルな力押しの光太郎と対照的な戦いの様相をていしてくるが、傍目にみると勝敗は明らかといっていいほどであった。


「勢いはいいけど、それだけだな若いの」

「ケケケケ、こんな攻撃屁でもねぇよ」


 致命傷だけは受けていないといえ、光太郎は体には無数の痣と切り傷が刻まれるが、サビクはほぼ無傷、体についているのは砂ぼこり程度である。


「なかなか、楽しい奴だ。どうだお前もこちらにつかないか? お前なら神の眷属になれるぞ?」

「ケケケケ、お断りだよバーカ」


 光太郎が振り下ろした斧は、サビクにとってはもはや脅威にならず、あっさりと捌かれる。


「残念だ。若いの悪いな。これから、あの街を滅ぼさねばならないのだよ。そろそろ死んでくれたまえ」

「ケケケケ、なに勝った気になってんだよ」


 またかと思いつつ、振り回された斧を捌き、そのまま槍で突き刺そうとしたが、サビクの右脇腹に鈍い痛みと共に10mほど吹き飛ばされ岩に激突した。


「かはっ……いったい何が……いや、そもそも神衣によって守られた、この体にダメージを受けるなど……」


 困惑しながら視線を、光太郎に視線を向けると、左拳を振りぬいた光太郎の姿をとらえた。


「馬鹿な素手で」


 ありえないという思いが、動きを止めてしまった。


「ケケケケ、オラオラどんどんいくぜ!」


 超接近戦。細かく鋭い拳打の弾幕にサビクは、反応が追いつくなっていく。


「てめぇは確かに強いが、速度も攻撃力も錬治と比べれば大したことね。攻撃の多彩さの厄介度ならワイのダチに比べれば大したことね。だから、ワイが負けるわけねぇ」

「ふ、ふざけるな神の私が……こんな小僧の拳ごときで」

「くらいな! 絶対破壊の一撃【アブソリュート・ブレイカー】」


 光太郎の中にあった神の残滓を元に作り出した、光太郎の最強のアーツ。それは、エネルギーを相手に送り込まみ、対象を破壊する防御不可能の一撃。その一撃の前にサビクは避けること叶わず、体の三分の一が爆発四散するのであった。

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