【十八階層五区画】名物料理を作ろう!
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
「はぁぁぁ!? 餓狼の牙を壊滅させてきた!?」
ソニアの父、ジャンは光太郎の話を聞き絶叫していた。
「ケケケケ、あいつら弱すぎだろ」
「馬鹿やろぉ! あいつらはブレイジングバッファローを狩る事ができる冒険者チームなんだぞ!」
「お父さんコータローさん……一人でブレイジングバッファローを狩れるよ」
「……マジか」
「ケケケケ、デカいだけの牛なんてワイにとっては、楽勝やで」
「はぁー……けど、パトロンになってる商会は黙ってねぇだろうな」
ジャンは頭を抱える。
「ケケケケ、ところでよ。闘技者のランクてどうなってんだ?」
「あ、あぁ……それはだな」
闘技者のランクは、冒険者とほとんど変わらない。ゴールド、シルバーの闘技者や冒険者なら、ある程度の知名度があるために分ける必要は特にないが、一番下のランクにあたるブロンズだけが区別しやすいように分けられている。
「ところで……そっちは何やってるんだ?」
厨房にたった剛と守里をみると粉を練っているようであった。
「ソバを打ってるのである」
「ケケケケ、ソバ打てるのか」
「剛の実家……蕎麦屋」
「である」
「ちょ、ちょっとまて!」
楽しそうに蕎麦を打っているとジャンが慌てて止めに入る。
「ソバてお前…あんなボソボソしたものを食べるのかよ」
「小麦粉も混ぜて二八蕎麦にするのである」
「に、はちソバ?」
「あの、ソバを食べるんですか?」
「こちらでは食べないのであるか?」
「いや、食べるには食べるけど……」
こちらでは人気がないというか、不人気で小麦の十分の一の価格しかない。
「ケケケケケ、けどよぉ。茹でるにしても、ソバを茹でるだけの水を沸かすの大変じゃねぇ?」
「なので炒めるのである」
「ガレットの応用……」
「ケケケケ、なるほどな。ところで、その鳥は?」
「あの……それってオヴィスリーバードじゃ……」
「これも安かった……」
「そりゃそうだ。そいつはデカいけど、ほとんど脂で食えたもんじゃねぇよ。卵は絶品だけど、その時に仕留めたのを捨て値で売ってんだから……」
「大丈夫……鶏油を作る……それなら最適」
「チーユー?」
用意されている材料は、料理には使わないどころか薬に使われる生姜にニンニク、赤唐辛子が用意されている。
「ケケケケ、けどよぉ上手くいくのか?」
「問題ないのである。子供のころ賄として作ったものであるがシンプルにうまいのである」
「ふーん。鶏肉すり身にするのか?」
「そうである。小麦粉と混ぜて肉麺にするのである」
巨体に似合わず、剛は手早くしあげていき、できたのは二色の麺に炒めた鶏皮がトッピングされた料理がさらに盛られていた。
「食べて欲しいのである」
「おぉ、こいつはすげぇ旨そうな香りじゃねぇか」
「そうだね。お父さん」
シンプルな料理であるが全員が実食を始める。
「こいつは、うまいな。ボソボソしないしシンプルに旨い」
「美味しいですね」
その味は、好評であっという間に食べつくすのであった。
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