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【十八階層三区画】逆襲

 下品な笑い声が響く酒場。ここは小闘技場内にある酒場の一つであり、傭兵団『餓狼の牙』のたまり場である。


「リーダーあいつら上手くやりましたかね?」

「やってるだろガキの使いじゃあるまいし、あの程度のガキなら三人も向かわせれば十分だろ」


 顔半分に大きな傷跡があるリーダーと呼ばれた男は、エールを一気に飲み干す。


「まぁ、授業料と今後の安全を銀貨20枚なら格安だ。それを惜しんで出し惜しんだらそれでおしまいだろ」

「ちがいねぇですし、ポロイ商売ですよね。10連勝なんて滅多にいねぇがそれでも、小闘技場でブロンズのランカーと戦えば勝ってもただじゃすまない。小銭稼ぎしかできない。なによりリーダーはシルバーランクの55位あのガキが勝ったやつよりも格が違う。ブロンズのランカーと戦えるのはそれなりにすげぇけど、しょせん下位のブロンズランカーじゃ中位のシルバーリーグの55位のリーダーと比べモノにならないですからね」


 闘技者のランキングはゴールド、シルバー、ブロンズの三段階に分かれる各100位までのランキングとなっている。ちなみにブロンズのランキング外の闘技者はアイアンと呼ばれる最低ランクとなっている。


「それにしてもおせぇな。今日の酒代」

「ガハハハハ、リーダーそれはねぇんじゃないか?」


 笑い声が酒場に響く。


 ズドーン! ズドーン!――


 突然、酒場に大きな音が二つ響き、酒場が一気に静寂が広がる。


「ケケケケケ、じゃまするぜ」

「てめぇは…」

「ケケケケ、その反応。お前の言ったことは間違いじゃなかったみてぇだな」

「すみませんリーダー…」


 片手で軽々と持ち上げられた男はボロボロの状態で確認をとった。


「ちっ、おい、小僧。なにが目的だ?」

「ケケケケケ、ぬるいぜっ!」


 リーダーと呼ばれた男に向けて持ち上げていた男を投げ飛ばし、投げ飛ばされた男は壁に激突した。


「このっ…くそガキが!」

「リーダー! さっき飛んできたのジャンとグリンですぜ」

「舐めやがって! ぶっ殺してヤル」


 酒場にいた男たちは武器を構え一気に殺気立つが、光太郎は慌てることなく構える。


「≪イクイップメント≫」


 呪文を唱えると光太郎の手には巨大すぎる片手斧が握られていた。


「コケ脅しかよ! そんなバカでかい斧なんて振り回せるわけが……」


 言い終わるよりも早く、光太郎が斧を軽く一振り。それだけで酒場が半壊した。


「ケケケケケ、さぁさぁ、やろうぜ」

「この!」


 近くにいた男がナイフで刺そうとしたが、その腕を光太郎が掴むと、ゴキリと鈍い音を立ててあり肘から先が得ない方向へと折れ曲がり、さらに足払いで床に転がしたところで、光太郎は思い切り踏みつけ床板が砕ける音と別の音が響く。


「これでも喰らえ!」


 男二人が矢を放つが


「ケケケケ、崇高の矢と比べたらハエがとまるぜ」


 そういって、近くのテーブルを蹴飛ばし矢を放った男へとぶつけた。


「ガハッ…なんて無茶苦茶しやが……」

「オラ! オラ! オラ!」


 のしかかっているテーブル、光太郎が蹴りまくり、挟まった男たちはたまったものではない。やがて、テーブルが砕け散る挟まっていた男たちは木の破片が刺さり、ズタボロになっているが、光太郎は容赦なく利き手を踏みつけ砕くと、顔面に膝蹴りを叩き込む。


「いい加減にしかやがれ!」


 槍をもった小柄の青年が鋭い突きを放つが、光太郎は軽く跳躍して躱すと、そのまま空中で体を捻り、空中回し蹴りを、一発、二発、三発と叩き込むと青年の顔面に拳を叩き込み、青年の顔は陥没し、着地の時に倒れた青年の肩を踏み砕いてみせた。


 光太郎は容赦はない。敵と認識した相手に対して一切の迷いなく蹂躙し殲滅する。徹底的に破壊するのが藤堂光太郎なのである。


 餓狼の牙の面々は絶望しかなかった。逃げようとしても、そこらへんに落ちているモノが飛んできて膝や足の骨を折ることになる。挑んでも、骨が折られて、生きていても二度と傭兵稼業ができないほどの重症を負わされる。


 なんとか逃げ出そうと散り散りになって逃げようとしたが……それも無意味に終わることになる。


「ケケケケ、≪ガイア・プリズン≫」


 光太郎のオリジナル魔法。≪ガイア・プリズン≫は岩壁が周りを取り囲み岩の壁に閉じ込める。


「ワイの魔法て、仲間じゃ不評なんだよな……まわりに被害がデカすぎる。てよく言われるから使うことなかったんやけど……こういう状況ならやはり便利やな≪クエイク・インパクト≫」


 震脚の要領で、地面を蹴りつけると、地面を衝撃波が波打ち、大勢を吹き飛ばす。正直、チームプレイでならこの魔法も使い勝手は最悪である。錬治や一芽などの戦闘力が高いメンバーなら、気にせずに戦えるが、ぼたんや美千代がいる場合だと、まず使えない。というか、試しに使ったさいに巻き込んで佐江にしこたま説教をされた。


「一人だと、思い切り使えて楽しいもんだな≪ギガント・ダブル・アームズ》」


 巨大な岩の腕が聳え立ち、暴れまわり餓狼の牙の面々が、どんどんと排除されていき残ったのはリーダーが、ただ一人となっているだけであった。

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