【十七階層十二区画】王都までの道程
錬治たち一行は半年の道程を得て、ようやく王都を目前までに迫っていた。
「ようやくであるな。ギムレット」
「そうだなセイエー」
先導するように馬に跨る二人の青年は今までの旅を思い出し思いにふける。
「まさか、領地を出てすぐにカイザー・ダイアウルフが率いるダイアウルフの群れに襲われるとは思わなかったな」
「であるな。しかし、おかげでダイアウルフの毛皮が大量に手に入ったのである」
ちなみにダイアウルフは、地球で確認されたものよりも巨大で全長2mほどの大きさではあるが、その能力は群れになる事で力を発揮する。さらにカイザー・ダイアウルフは額に一本の長い角をモツ個体で、周りにいるウルフ系の魔物を束ね、強化するという伝説級のモンスターである。
「全員分仕立てても余るくらいの数に襲われたときは死を覚悟したがな……」
「うむ、まさか、サエ殿でもあれ程の実力があったとは……」
二人は、戦闘の時の様子を思い出し身震いをする。なにせ、毛皮を採るために毛皮を傷つけないように、4人でダイアウルフの群れを駆逐し、最後になると逃げまどうダイアウルフに美千代が「毛皮おいてけぇ」と追い掛け回す姿に思わずダイアウルフに同情してしまう程であった。
「ツインヘッドアースドラゴンに遭遇とかもあったな」
「あれは、美味であった」
小山かとおもわる巨大な地龍。それも珍しいツインヘッドアーズドラゴン。その歩みだけで並の兵団は太刀打ちかなわず、暴れれば小国を滅ぼす暴龍。なのだが…錬治が一刀両断した。ちなみに使用したのは【瞬閃・一式】隼斗の一撃だった。
「ギムレットよ。良かったなアレを喰らってたら」
「いうな……手加減されているとはわかっていたが……」
遠い目になってしまう。
「フォレスト・ジャイアントにも襲われたな」
「まさかゲンジがあのようなアーティファクトを所持しいたとは、あれは素晴らしいものであった」
セイエーは少し目をキラキラさせながら拳を握った。ちなみに件のフォレスト・ジャイアントは体長10メートル巨人だが、ゲンジがガルドでぶちのめした。
「ワイバーンの群れにも襲われたな」
「うむ、死ぬかと思ったが、あの戦いは貴重であった」
ワイバーンの群れに襲われながらもなんとか撃退したギムレットたち、それとは対照的に錬治たちは一人で何匹かれるか競争をしていた。美千代が一人でワイバーンの群れに突っ込んだときは焦ったが、あっさりと倒してしまい、護衛メンバーのブライドはズタズタになった。
他にもゴブリンに三夜連続で襲われることがあったが、三夜目に睡眠を邪魔されてブチ切れた錬治が、森に突撃しゴブリンの集落と5つを壊滅させたり、オークの大軍、リザードマンの奇襲部隊との激突などなど枚挙にいとわない。
これらは偶然ではなく邪神たちの計略ではあったが尽く失敗に終わった。
もっとも同行した騎士たちにとってはある種のトラウマを植え付けられることにはなったかもしれない。
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