【十七階層九区画】美穂対壺の男
壺の男――スレーヴェは怒り狂っていた。
「人間風情が! ぶぺっら」
吠えている顔面を、美穂が蹴っ飛ばし20メートル程、吹っ飛んでいきながら周囲の木々がなぎ倒されていく。
「げほっ…神の顔を足蹴にするなど万死に値するぞ! 女! この『混生』のスレーヴェの力を見せて……グハッ…」
追撃と言わんばかりに、赤い杭がスレーヴェの体を貫き木に打ち付け、体を縫い付け、さらに杭には返しがついており、引き抜こうともがくと激痛がスレーヴェを襲う。
「【血ニ染マリシ鮮血の荊杭】はどうだ! てめぇが何者かなんて関係ない。あちきがあんたをブチ潰す」
そういいながら、赤黒い大鎌を作り出し距離を詰め振り下ろし、その首をはねようとするが――
ガキンッ――
スレーヴェの肩から伸びた、美穂の振るう大鎌と同サイズのカマキリの鎌が二つ、美穂の大鎌を受け止めた。
「舐めるな小娘!【バインド】」
「【舞イ踊ル深紅ノ戦輪】」
今度はスレーヴェが下半身から伸びたツタで美穂を絡めとろうとするが、美穂は、深紅のチャクラムを作り出しツタを刈り取り、後方へと美穂は跳躍し間合いをとる。
「いろんな生物を体に中に飼っている?」
「ほう、それに気づくとはバカではないか。【ホーネット・アーミーズ】」
スレーヴェの周囲に毒々しい色合いのスズメバチが舞う。
それに対して、美穂は
「【緋色鴉】」
赤い色の鴉が羽を、まき散らしながらスズメバチに食らいつくしていき、スレーヴェに纏わりついていく
「くっ、己!」
振り払おうと体から様々な生き物の四肢をだそうとした瞬間。
「甘ぇよ! 【餓斗輪愚・杭打】」
一気に間合いを詰めた美穂が連続で太い杭をスレーヴェに打ち込む。
「ガハッ」
何発か貫通し右腕、左足が吹き飛ばし胴体を大木へと縫い付けた。
「フフフフフ、流石は錬治自伝の歩法。気づかないかったよねぇ。やり方は秘密だけど。じゃートドメといくよ」
「舐めるな!」
「そればっかだねぇ。とりあえず首をいただくよ」
大鎌を振るい首を刈り取ろうとするが、右腕でスレーヴェは受け止める。
「これが神の血、イーコールの力だ!」
再生を見せつけ力を誇示するが……
「ハッ! だったら再生ができなくなるまでぶった切る!」
美穂は大鎌を振り回し、何度も何度も斬りつける殴りつけ、そのたびに飛び散る青い血に少しずつ紫に代わりながらスレーヴェの体内へと帰っていく。
「無駄無駄無駄、お前のやってることは、やがて無意味に終わる。せいぜい無駄にあがくがいい」
「そうでもねぇよ【爆ゼル狂宴】」
バン――
鈍い破裂音が響くと
「ガハッ」
スレーヴェは赤い血を吐血する。
「これは…何を」
「あちきの血を送り込ませてもらったのさ! そして、体内で破裂させた」
「馬鹿な! イーコールがなぜに普通の血に!」
「あちきの能力は《ブラッド》。血を支配する程度の能力なんだぜ!」
サーと血の気が引いていく感覚をスレーヴェは味わった。
「【鮮血ノ戦乙女】」
血で作りだした九体の分身と共に美穂はスレーヴェを滅多打ちにしていく。スレーヴェは痛みを受けながら回復されていくことが、逆に地獄の苦痛を味わうことになるのであった。
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