【十七階層七区画】同じ空の下
今回まで短いです。
錬治たちのレベルが判明してから、周りの人々の対応が大きく変わった。経緯とも畏敬ともいえる視線を向けられ、特に兵士たちから尊敬の眼差しを向けられるようになった。
そんななかで王都へと向けての出立式を執り行い、同行する若き騎士たちと共にパレードを終えて出立した。
同じ頃、エルフたちの聖地でもあるホーリーバウムへと向かっていた、調、一芽、美穂と吸血族の姫レミール、老執事のベンドルフ、メイドのフェリエス、狼の獣人ヴェルフェスと向かっているのであったが、もう何度目かになる襲撃を受けていた。
「チュッチュッ、今日つれてきたのはダイヤモンドスキンフォレストコングっチュ。ダイヤモンドのように固い外皮で覆われたゴリラっチュ。しかも三体でちゅよ」
ラットマンのレオンハルトが高笑いしながらしかけてくるが、
「あーしがやる!」
一芽が飛び出すと、一番近くにいたゴリラの腕をつかむと思い切り振り回して、別のゴリラにぶつけて吹き飛ばし、地面に叩きつけると同時に、最後の一体も掴みながら<地面にめり込んでいる二匹のゴリラ目掛けて叩きつけた。
「まだまだいくしー!」
ゴリラの頭部を掴むと、倒れているゴリラ目掛けて叩き続け、ガンガンガン! という固いものがぶつかり合う音が鳴り響く。
「チュ!?」
レオンハルトは、あんぐりと口を開けて見つめるしかない。
「《ビースト》【ゴリラアームズ】」
地面めり込みながらも、いまだ襲い掛かろうとするゴリラ三匹をまとめて、一芽は殴りつける。
「まだっチュ! いけ! ヘラクレスギガントシザースビートル」
大型4WD車ほどの大きなカブトムシとクワガタが混ざったような昆虫が、ハサミを広げ一芽を挟もうとしたが……
「……<ウォーター・スラッシュ>」
美穂の放った水の糸が、ヘラクレスギガントシザースビートルを格子切りにして、一瞬でバラバラにしてしまった。
「チュゥゥゥゥゥ!? アダマンタイトの原石ですら砕くハサミが!?」
「まぁ、相手が悪かったてことでねっ?」
レオンハルトのいつの間にか、背後に回った調が、鮮やかにレオンハルトを地面に組み伏せてみせた。
「さてと、これから、じっくり話そうか?」
調はニコリと微笑むが、その笑顔は、レオンハルトにとっては何よりも恐ろしいものにしか思えかなった。
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少しだけ調たちのお話になります。




