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【十六階層八区画】レイノの権能

 ~歓喜の激戦~


 激しい戦闘音が鳴り響く。


「クックックッ。やるではないか」


 錬治は押されていた。


 見えない謎の攻撃。最初は衝撃波の一種かと思ったがそれとは違う。実体をもった衝撃。攻撃の射程は凡そレイノを中心に半径50m。その射程内に入ると何かが自動的に迎撃してくる。


「既に見切り始めているな。いやいや、それよりもこれほど長くもった者はいつ以来であったかな?」

「よくしゃべるヤツ」


 刀を握りなおして何度目かの突進を行う。


「何度でも挑むがいい」


 ゴンッ!――


 ゴンッ!――


 ガンッ!――


 爆音を鳴り響かせ見えない何かと錬治は戦っているが、その姿はまるで王の前で間抜けな踊りを踊らされているようでもあった。


「クックックッ。どうだお前従属神にならないか? ちょうど席が空いたしな」

「嫌だね。お前らのことはすかん!」


 錬治は見えない空間を切り払うとナニかと激突する音が響く。


(こやつ……見えてはいないが感じ取っているのか? 我が権能……面白い。そして、こやつを屈服させ配下にできれば……クックック)


 レイノは歓喜していた。封印されていらいの戦いの愉悦。目覚めた時に出会った少女たちとの戦はそれなりに楽しかったが、やはり自らの肉体でこその楽しみ。


「なんとなく、解ってきたぜ。確かめるか【刃雷轟閃・肆式】刀雷」


 雷光が辺りを埋め尽くす。


「なんだ、その児戯は? 薄皮一枚傷つかんぞ?」


 だが、錬治はニヤリと笑った。


「なるほど。そういう事かよ」

「うん?」


 腰だめに構える。


「【刃雷轟閃・伍式】瞬迦千刀」


 周囲を斬り始めるとレイノは怪訝な顔をする。


「何のつもり……まさか、気づいたのか?」


 まさか、自分の権能に、ここまで早く気付くなどは、流石のレイノも想定していなかった。


「あぁ、お前の周りに見えない腕が四本。それが攻撃と防御をしている。だろ?」

「ほぉ。やるではないか、だが、それが解ったが見えない攻撃にどうするのだ」

「はっ、見えなくてもそこに実体があるなら斬れる」

「ふっ、ハハハハハハハハハハハハハハハハ。それならやってみるがいい」


 高笑いしながら錬治の様子を見つめる。


 あたりを雷光が満たす。さらには何かを斬る音が響き、そこから青い血が滴り落ちる。


「見えているのか?」

「いや、勘だ」


 そういいながらも的確に次々に腕に傷をつけていく。


(この雷……帯電しているのか…くっ、傷が治りがわるいか……人風情と侮ったか……)


「くらいなぁ【瞬迦千刀・終の二番】岱風一華」


 周囲の雷を刀に収束し、雷光がまるで龍の形になると龍の顎がレイノに迫る。


「これはマズい」


 慌てて不可視の腕で防御するがそれらを貫通し余波でレイノの頬に一筋の傷をつける。


「ちっ、まだ威力がたりないかよ」


 悔しがる錬治を尻目に、レイノはワナワナと震えながら頬に手を当てる。


「オノレ!!!!! よくも余の神顔に傷を!」


 その怒りに呼応するように、黒い籠手をつけたズタボロの浅黒い六指の腕が四つ姿を現す。


「いいだろう。ここからが本番だ。覚悟するがいい!」

「いいぜ。やってやる」


 そういいながらも、瞬迦千刀に力を使い、錬治は限界に近づいていた。


『そこまでだレイノ』


 再び声が響く。


「サヴドゥリア! 止めるな!」

『それ以上、暴れると神域干渉を起こして面倒なことになる』

「なに……あの小僧の一撃がそこまでの威力だったというのか?」

『ああ、信じられんがな……』

「わかった……引こう。小僧、名前を聞いておこうか」


 レイノは睨みつけながら錬治に問う。


「尾張錬治だ」

「そうか、もう一度名乗っておこう我は『王国』のレイノ。再び相まみえよう。引くぞ」


 そう命じると、ボロボロのストレインとアスマロも空間に溶け込みレイノも姿を消すのだった。


「なんとか……退けられたか……」


 それだけいうと錬治は気絶し落下を始めるのだった。


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