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【一階層十八区画】対決ゴブリン軍団

ボス戦です。ちょっと悪ふざけが過ぎたかも…

日本ダンジョン戦記【一階層十八区画】対決ゴブリン軍団


 大門を抜けた先は、地面むき出しの地面に粗末な木でくみ上げた台座に松明が証明として壁際にずらりと並べられていた。


 待ち構えていたのは、ゴブリンが30体ほどの軍勢、巨大な石斧をもったホブゴブリンが一体、褌姿のホブゴンプリンが一体。そして、一番奥に羽飾りをつけたゴブリンを肩にのせたホブゴブリンが一体とその足元に動物の骨をかぶったゴブリンがいた。


「石斧をもっているのはホブゴブリン・バーバリアン。褌はホブゴブリン・レスラー。羽飾りをつけてるのはゴブリン・シャーマン。それを担いでいるのがホブゴブリン・ガードナー。足元にいるのはゴブリン・コマンダーと配下のゴブリン・レギオンね」


 特徴から幸がゴブリンの正体を予想する。《鑑定》などのスキルが、あれば確実だがあいにくいないが、特徴からでもある程度の予想は、可能な程度には情報が集まっており探検者協会も率先して情報を集め現在はデータベース化も進んでいる。掲示板もあるのだが、やはり情報の洩れの可能性もあるためにそういう情報を編纂するのも業務の一つである。


 さて、敵であるホブゴブリン・バーバリアンは、知能は低いが力の強さでは同ランクのホブゴブリンの中では一、二を争う強さである。


 ホブゴブリン・レスラーは打撃よりも投げ技を得意とする変則的なモンスターではあるが、最大的な特徴は圧倒的なタフネスをほこる。


 ゴブリン・シャーマンは《精霊魔法》というスキルを所持している。この魔法は媒体を必要とする代わりに低コストで燃費が良く高い効果をほこるという厄介なスキルである。


 それを守るホブゴブリン・ガードナーはダメージを肩代わりスキルをもつホブゴブリンではあるが戦闘能力も攻守ともにとれたバランスタイプのモンスター。


 ゴブリン・コマンダーはゴブリンチーフの上位に位置するモンスターであり配下の数が多いほどその能力は高くなる。


 そして、ゴブリンレギオン。通常のゴブリンではあるのだが集団化したことで凶暴性がましており連携能力が高まっている。


「で、幸。作戦は?」

「まずは、レギオンを錬と銀之助君が殲滅、その後は錬はガードナーを、バーバリアンは銀之助君が、レスラーを金田君、コマンダーは私が、守里は援護をお願い」

「了解っと。ついでに<コーティング>」

「俺も強化しておくかな<エンチャント・ウェポン>」

「では、二人には<アタック・アップ>を頼んだぞ」

「後衛担当…援護射撃とけん制は任せて」


 錬治たちが作戦と補助呪文での自己強化を終えるとゴブリンの軍勢と向き合うとゴブリンシャーマンが余裕にニィと見下したような笑みを浮かべ


「モノドモ コロセ」


 ゴブリンの知能は低い。我武者羅に武器を振り回しながら、先鋒としてゴブリンレギオンが突っ込んでくる…が、ただ、突っ込んでくるだけの有象無象など錬治と銀之助にとっては塵芥と等しく同じにすぎない。なにせ、錬治の自顕流の鍛錬には打ち回しと呼ばれるものがある。これは立てた木を敵に見立て駆けながら打ち倒す鍛錬である。つまり…


「はぁぁぁぁ!」


 気合一閃、稲妻がゴブリンの群れを駆け巡り轟という音ともに瞬く間にゴブリンを叩き伏せる錬治。一方の銀之助といえば長巻の間合いにゴブリンを巻き込むと旋風の如くゴブリンの攻撃をいなし、そのまま円の動きをもって切り伏せていく。

 二人は、まさに嵐となってゴブリン・レギオンを全滅させるのに5分もかからずに掃討した。ゴブリン・シャーマンもゴブリン・コマンダーもこの出来事があまりにも想定外なために反応も指示も遅れ、そしてその隙を見逃す錬治たちではない。


 この異様な状況でまっさきに動いたのは、ホブゴブリン・バーバリン。石斧を振りかぶり叩きつけるように打ち下ろす。が、銀之助は攻撃をいなし相対する。


 それに反応したゴブリン・コマンダーが逃げ出そうと後ろを振り向く。ゴブリンの指揮官系統の特徴は不利になると、逃げるという選択肢を間違いなくとる。上位であればあるほどに逃げる。ただし、今回だけはそうはいかなかった。振り返った瞬間には、既に幸が投げた苦無がコマンダーの足を射抜き動きを鈍らせ一瞬の隙をつくり背中を小太刀で斬りつける。大隅幸という少女の最大の武器は弱さを知っていることである。自らの弱さを知っているからこそ長所もわかる。一撃では仕留められないが、ダメージを与えたことでコマンダーの憎悪を自らにむける。ゴブリンは総じて単純だそして弱そうな相手を狙う傾向がある。つまり、コマンダーは逃げるのをやめて幸に襲い掛かる。幸はその攻撃を躱してながらゆっくりと下がる。


 それに対して前に出たのは剛。ホブゴブリン・レスラーの前に立ちふさがる。


「ふむ、なかなかの筋肉ではあるが、しかし、それはまやかしの筋肉。我が筋肉たちが教えてくれるぞ」


 ホブゴブリン・レスラーはラリアットを繰り出すが、剛はそれをがっしりと腰を落して受け止めそのまま一本背負いで投げ飛ばすもホブゴブリン・レスラーは体躯に似合わず軽やかに宙返りをしながら着地し後ろ蹴りを放つ、剛はそれに合わせて大きく踏み込み腰だめの左のショートアッパーによるレバーブローを叩き込む。人型のモンスターの急所は人と同じらしく例にもれずに少し顎が下がる。その顎めがけて右フックを叩き込む。


「これぞ、鍛えぬいた筋肉による力! さぁ、ゆくぞ」


 途中途中に、ムダとも言えるようなポージングを挟みながらパンチのラッシュを決めたかと思うとホブゴブリンを逆さに担ぎ上げるとホブゴブリン・レスラーの首を肩口で支え両太腿を掴み高く飛び上がる。


「これぞ、我が筋肉の鼓動が導き出したマッスル・バスターだ!」


 着地の衝撃は、ホブゴブリン・レスラーの全身を貫き首、背中、股関節に大きなダメージをうけ悶絶する。


「では、サヨナラだ」


 剛が拳を振り下ろし頭部を地面に叩きつける。鈍い音が決着のゴングへとなった。このゴングがなるときに二つの戦いも決着がついていた。


 一つは、銀之助とホブゴブリン・バーバリアンとの戦い。


「お前は当たりっぽいんだよな。嬉しいねぇ。言葉は通じてないだろうけど感謝するよ。相手のお前が、強い相手であることにたいして本当に感謝する。この技が使えるからな。いくぜ、炎刃点火(えんじんてんか)


 銀之助が、刀を構えなおすと蒼い炎が刀を包む。


「技名は【炎蒼榛名(えんそうはるな)】まぁ、〈ファイア・ウェポン〉て魔法をベースに作ったアーツだ。しっかりと火葬してやるからよ」


 ホブゴブリン・バーバリアンは、ホブゴブリンの中でも獰猛な分類に入り攻撃特化といっていい。攻撃は単純に石斧を振り回す。単純にそれだけではあるが、シンプルゆえに恐さがある。視覚的にも、物理的にも、存在する恐さが動きに迷いを与える。


 普通ならば…銀之助はその例外にあたる。なにせ自顕流を相手に戦い続けてきたのだ。そんなのはいつもの事である。


円点火(えんてんか)…」


 長巻を振りながら舞う火の粉かバーバリアンと銀之助を囲みまるで闘技場の壁となる。それでもバーバリアンは止まらない。否、止まれないだけ。


「鬼灯一刀流…不知火」


 鬼灯一刀流・不知火。相手の攻撃をいなす技ではあるが【炎蒼榛名】が加わることでその技は凶悪さが加わる。なにせ受け流す度に蒼炎がバーバリアンの腕や体を炙る。


「鬼灯一刀流は相手を死にいざなう鬼火の剣。しっかりと味わってくれ。炎刃全開(えんじんぜんかい)…【炎蒼(えんそう)・霧島連斬】」


 蒼い火の粉が舞い踊る。炎を纏った刃は、陽炎と共にバーバリアンの四肢を焼き、無数の剣線が体躯を切り裂く。


「こいつで終いだ…【炎蒼解(えんそうかい)・比叡一閃】」


 心臓部めがけて突き出された突きをバーバリアンは反応もできずに深々とささり、そして、それと共に蒼い炎がバーバリアンを焼き尽くした。


「ありがとうよ。なかなか燃える闘いだったぜ」


 そういい刀を鞘に納める銀之助であった。


 そして…


 最後の一つの戦い錬治対ホブゴブリン・ガードナーとゴブリン・シャーマンの戦い。


 錬治が有利に進めていっているといって間違いはない。


 錬治のスキル《チェンジリング》は、対魔法使いにおいて大きなアドバンテージになる。と、いうのも魔法は位置や空間を対して発動するので、位置を取り換える《チェンジリング》だとまず当たらない。広範囲を対象にすることは、可能だがそうするとガードナーも巻き込むどころか、自分すらもまきこんでしまう。自らの盾を自ら破壊するわけにもいかずかといって範囲を絞れば一瞬で範囲の外にいる。とくに、精霊魔法というのは、他の系統と異なり精霊の力を借りて行う魔法なので指示を正確にださなければいけないためにそれが顕著に表れている。

 

 その戦いの中、ちらりと銀之助を確認すると蒼い炎を纏った刀を振る姿が目に入る。


「派手にやってるな…さてと、なら俺も…」


 一瞬の隙、もちろん攻撃魔法は警戒し当たらない立ち回りをしていたのだが、あくまでも攻撃魔法に対してである。


「怒リ司ル精霊フィーリーヨ…カノ者ニ怒リ〈バーサーク〉」


 それは怒りを発現させる魔法。怒りで力を増強させるかわりに、冷静な判断力を奪う魔法である。つまり、能力の向上ではあるが、それよって持たされるのは、ガードナーの動きは攻撃的になるが今まで防いでいた攻撃すらも防げなくなり、傷を増やしていく。もちろん錬治にも影響があり攻撃が当たる。


 だがそれよりも錬治の内心は…


(なんだ…コレは…なんのマネだ…ふざけるな…)


 怒り、それも魔法で誘発させられた怒りなどではない。地の底よりも深いところより湧き上がる怒り


(今、最高に楽しい時だったんだぞ! 俺の攻撃を防ぐそんな奴が敵として現れた。なのになんだこれは舐めるな! 許さねぇ…許さねぇ!)


(!?!?)


 その怒りは心の中に潜り込んでいた精霊フィーリーは、恐怖した。怒りの精霊が恐怖した。


「…興ざめだ…最悪の気分だ…もういい、終わらせる…見せてやるよ俺の取って置き。〈戦道(ウォーロード)〉」


 光の道があたりを駆け巡り繭のように取り囲む。


「行くぞ…」


 錬治は()()で地面をける。


 蹴る。加速。

 蹴る。加速。加速。

 蹴る。加速。加速。加速。


 〈ウォーロード〉の効果、それは100%の加速を得られそして、光の道は、錬治の足場となる。それは、垂直でも天地逆転でも足の裏に吸い付くかの如く作用する。その効果は、最大最速の速度を超える。


「うぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ【瞬閃・一式】隼斗!」


 頑強な足場をえることにより、正真正銘の完全な威力での隼斗が、ガードナーを防御ごと一閃。胴切りにする。


「ぐっ」


 錬治がこのアーツの全力使用を避けたのは、その負担が大きく冷静さを欠いた状態での全力使用。大きな反動が襲い光の道は、輝きを失い崩れて塵へと変わっていく。


「ゲヒヒヒヒ、ストーンブ…」


 その硬直を狙って、シャーマンが魔法を撃とうとするが


「フルチャージ〈インパクトショット〉」


 シャーマンに守里の強烈な一撃が炸裂する。


「シャーマンは防御面は脆い…勝利」


 これにて戦闘終了となり錬治たちは、大きなケガもなく無事に三級ダンジョン走破を中学生で突破した。


 なお、錬治が二日ほど筋肉痛で行動不能になったのはご愛嬌である。


錬「ごうのアレって筋肉バス……」

剛「気にしてはいかんぞ」


錬「銀の必殺技、滅茶苦茶派手なんだけど…」

銀「気にすんな!」


錬「俺のウォーロードてなんだよ…」

作「道を造る魔法だよ。領主とかけて」

錬「地味じゃね?」

作「気にしたら負けだと思う」


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