【十六階層四区画】後片付け
~サクバンハオタノシミデシタネ~
ベビースポーンの遺骸は完全に塵になったが、その余波で辺り一帯も壊滅させていた。
「やべぇ……やり過ぎたか?」
「この被害で済んだならまだましじゃよ。ベビーが暴れただけでも街一つは覚悟せねばならんからな」
「そんなにかよ」
「しっかし、レンジよ。お前さん里では手加減しておったな?」
「手加減ていうか……アレ? 反動がこねぇな」
「なんじゃ。使いこなせてなかったんかい」
「まぁーな。けど、使えこなせたみたいだな。次はもっといけるな」
「なんじゃ、アレでも未完成なんか?」
「いや、アレはアレで完了形だ。だが完成はしてねぇんだなコレが」
ギムリとそんな会話しつつ錬治は村人の埋葬や佐江がけが人の手当を始めすべてを終えたのは日が沈み月は高く昇っていた。
そうして、助かったのは、結局、生きていたのは二十人にも満たない大人たちと子供が数人だけだった。
「生き残りがでただけ御の字じゃな」
「そうですね……」
「否定できませんが…」
日が差してた頃、小屋から美千代と、そして源治がでてきた。
「美千代さん。歩きずらそうですが…」
「ハハハハ、ウチナンノコトカ、ウチ、ワカラヘンナ」
「解りやすすぎですわよ。否定できない程」
「……」
「源治お前も無言決めて誤魔化す気かもしれねぇが、気配で分かってたからな」
「……聞くな」
恋人つなぎの源治と美千代が少し遅れたということがあったが、村を捨てて街へと向かう一行であった。
一方――
暗闇の中で三つの意思が語らっていた。
『駒が一つ潰された……』
『ようやくか……任せろといった割には時間がかかったな』
『どうでも良きことでおじゃる。時間がかかろうとかかるまいと結果が同じであればよいでおじゃる』
『黙れ……潰すぞ』
『止めろ。ワレが駒一つを捨てたのに時を無駄にする気か』
『ふん、たかが100人程度の魂を加工して作った玩具で偉そうでおじゃるな』
『素材の為に牧場の管理には、それなりに手がかかっておるのだ……これだから虚けは……』
『まったくだ。阿呆のせいで気が逸れたワイ……それで間違いはないのだな?』
『お主ら……』
『で、居るのだな?』
『居なければ倒せまい。ベビースポーンとはいえ倒せるものなど、そうそう居るまいよ』
『ならばよし……場所はなるほど……あそこかならばよい場所がある。そこで終いぞ』
『早く終わらせるでおじゃる』
三つの意志は再び闇へと沈んだ。
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